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f(n)を含む二項間漸化式の2通りの解法

f(n)f(n) が多項式のとき二項間漸化式

an+1=pan+f(n)a_{n+1}=pa_n+f(n)

を解く方法を3通り紹介します。2つ目の方法「一般項を予想する」というのが計算量が少ないのでオススメです!

f(n)f(n) が定数とのき

f(n)=qf(n)=q (定数)のときは an+1=pan+qa_{n+1}=pa_n+q となり,教科書に最初に登場する有名な漸化式です。

f(n)f(n) が一般的な場合の議論に入る前に確認しておきます。

例題1

漸化式 a1=1,an+1=2an+3a_1=1, a_{n+1}=2a_n+3 を解け。

特性方程式を用いて以下のように一般項を求めることができます:

解答

特性方程式 α=2α+3\alpha=2\alpha+3 の解は α=3\alpha=-3 であり,もとの漸化式と特性方程式を辺々引くと,an+1+3=2(an+3)a_{n+1}+3=2(a_{n}+3)

よって,数列 an+3a_{n}+3 は初項 1+3=41+3=4 公比 22 の等比数列なので,

an+3=42n1a_n+3=4\cdot 2^{n-1}

よって,an=2n+13a_n=2^{n+1}-3

a1=1,a2=5a_1=1,a_2=5 となることを確認してみましょう。 (漸化式の問題では必ず n=1,2n=1,2 を代入して検算しましょう)

それでは,これをふまえて一般の f(n)f(n) の場合をやってみます。

漸化式の解き方1:階差を dd 回取る方法

多項式 f(n)f(n) の次数を dd とおきます。 d=1d=1 の場合が頻出で,d=2d=2 は稀に出題されます。 d3d\geqq 3 は見たことがありません。

an+1=pan+f(n)a_{n+1}=pa_n+f(n)dd 回階差を取ることによって上記の「f(n)f(n) が定数の場合」に帰着できる

頻出の d=1d=1 の場合をやってみます。 d2d\geq 2 の場合も同様の手順を繰り返すだけです。

例題2

a1=1,an+1=2an+3n3a_1=1,a_{n+1}=2a_n+3n-3

解答

与えられた漸化式と,nn+1n→n+1 としたもの: an+2=2an+1+3(n+1)3a_{n+2}=2a_{n+1}+3(n+1)-3 の差を取ると,an+2an+1=2(an+1an)+3a_{n+2}-a_{n+1}=2(a_{n+1}-a_n)+3

ここで,an+1an=bna_{n+1}-a_{n}=b_{n} とおくと,

bn+1=2bn+3b1=a2a1=21=1b_{n+1}=2b_n+3,b_1=a_2-a_1=2-1=1 となり,これは例題1で解いた:

bn=2n+13b_{n}=2^{n+1}-3

よって,階差数列が求まったので一般項も求まる:

an=a1+k=1n1bk=13(n1)+k=1n12k+1=3n+4+4(2n11)=2n+13na_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\ =1-3(n-1)+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}2^{k+1}\\ =-3n+4+4(2^{n-1}-1)\\ =2^{n+1}-3n

階差を dd 回取る,つまりシグマ計算を dd 回やることになるので計算が大変です。大学入試共通テストはめんどうな計算をさせるのが好きなので d=2d=2 くらいなら誘導つきで出題してくるかもしれません。

漸化式の解き方2:予想して係数比較

p=1p=1 のときはただの階差数列になってつまらないので p1p\neq 1 の場合を考えます。

an+1=pan+f(n)a_{n+1}=pa_n+f(n) の一般項は,an=Apn+g(n)a_n=Ap^n+g(n) (ただし,AA は定数で g(n)g(n)dd 次多項式)と表せるので,AAg(n)g(n) を係数比較により求めて,その式が漸化式を満たすことを示せば良い

解き方1よりも少ない計算量で一般項を求めることができます!

例題2(再掲)

a1=1,an+1=2an+3n3a_1=1,a_{n+1}=2a_n+3n-3

別解

一般項を an=A2n+Bn+Ca_n=A\cdot 2^n+Bn+C と予想する,

漸化式を満たす

A2n+1+B(n+1)+C=2(A2n+Bn+C)+3n3A\cdot 2^{n+1}+B(n+1)+C=2(A\cdot 2^{n}+Bn+C)+3n-3

B=2B+3B=2B+3 かつ B+C=2C3B+C=2C-3

B=3,C=0B=-3,C=0

よって,an=A2n3na_n=A\cdot 2^n-3n が漸化式の解となるが,初期条件 a1=1a_1=1 より A=2A=2 となるので求める一般項は

an=2n+13na_n=2^{n+1}-3n

さらに,おもしろい別解も紹介します。

別解

f(n+1)=2f(n)+3n3f(n+1)=2f(n)+3n-3

を満たす1次式 f(n)f(n) を探す。もしこのような f(n)=An+Bf(n)=An+B が見つれば,もとの漸化式と引き算して

an+1f(n+1)=2(anf(n))a_{n+1}-f(n+1)=2(a_{n}-f(n))

より anf(n)=2n1(a1f(1))a_n-f(n)=2^{n-1}(a_1-f(1))

となり解けるからである。実際

A(n+1)+B=2An+2B+3n3A(n+1)+B=2An+2B+3n-3

より A=2A+3,A+B=2B3A=2A+3,A+B=2B-3

A=3,B=0A=-3,B=0

よって f(n)=3nf(n)=-3n

an=f(n)+2n1(a1f(1))=3n+2n1(1+3)=2n+13na_n=f(n)+2^{n-1}(a_1-f(1))\\ =-3n+2^{n-1}(1+3)=2^{n+1}-3n

この「予想して係数比較」というのは漸化式の多くの問題で有効です。例えば,→三項間漸化式の3通りの解き方

定番の漸化式に関しては解の一般的な構造を覚えておくとよいでしょう。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT68では,さらに計算が複雑な応用問題と「計算ミスを減らすコツ」を紹介しています。

予想する部分は少し天下り的ですが解き方2の方が断然楽ですね

Tag:漸化式の解き方11パターンと応用例まとめ