再生エネと一体活用で価値、「コージェネレーション」の重要度
コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(コージェネ財団)によると、コージェネレーション(熱電併給)システムの国内導入量は約1400万キロワット(2022年度)。電気と熱の総合効率で最大80%台と省エネルギー性が高いコージェネは、天然ガスによるガスタービンやガスエンジンが中心だ。今後はさらに水素ガスエンジン、ガスタービンコージェネシステムも実用化する。水素燃料電池(FC)やバイオマスを用いたコージェネも含むカーボン排出ゼロの電気・熱供給システムを工場やビル、家庭に導入する時代に入る。
国の第7次エネルギー基本計画では電力需要の増加を踏まえ、コージェネは再生可能エネルギーと一体化した分散電源として、30年に全体で8%の発電量実現を掲げる。40年に累積導入台数2万2504台、産業用は1108万キロワット、民生用は284万キロワットを見込む。ガスエンジンは出力1万キロワット程度まで実用化し、発電効率は26―51%。ガスタービンは5万キロワットまでで発電効率が17―40%。熱との総合効率は70―86%だ。
FCコージェネは家庭用に1キロワット級で累計52万台の導入を予想する。水素ガスタービン、ガスエンジンコージェネで、ガスタービンは水素専焼開発が進む。三菱重工業はコージェネ利用が多い出力3万―4万キロワットのガスタービンで水素専焼を実現し、日立工場勝田地区でアンモニア専焼にも成功している。燃焼器の高濃度化、リーン燃焼などで窒素酸化物(NOx)の発生を抑制する。
川崎重工業は1800キロワット級ガスタービンで水素専焼可能なガスタービンコージェネ機を事業化。神戸市が導入し、事業化が進む。2000時間運転してトラブルはゼロだ。
ヤンマーエネルギーシステムは岡山市の実証基地で都市ガスと水素混焼、水素専焼ガスエンジンを開発する。水素専焼ガスエンジンは35キロワットで26―27年にも開発し、水素燃焼マイクロコージェネで実用化する。
コージェネは再生可能エネルギーが増加していく中、系統電力の安定化、エネルギーの強靱(きょうじん)化に貢献する。水素やeメタン、バイオマス燃料を活用するカーボンフリーな省エネシステムとして40年代に広く普及が見込まれる。大規模電源と分散電源が共生する時代に電力需要の増加に応える電源として、再生エネの変動をコントロールする効率的な使い方が重要だ。
コージェネ財団の柏木孝夫理事長は「電力需要の増加に再生エネ、原子力電源の調整電源としてコージェネは生かされ、電力需要に対応したコージェネの利用は価値あるモデルだ。コージェネの大規模電源化も成り立つ」と説明。そして「天然ガスコージェネが高発電効率での実用化が続き、そしてグリーン水素コージェネが普及してコージェネでの電気は全電気の20%程度になるかもしれない」と指摘する。