日銀の利上げ決定で住宅ローン、銀行預金はどうすべき?金利引き上げで「損しない方法」をFPが解説
日銀が追加利上げに踏み切った。これによって日本の政策金利は0.5%になった格好だ。今後も金利上昇が予想されるなか、預金、住宅ローン、投資など「お金の常識」をどう変えていくべきなのか。最新刊『金利で損しない方法、教えてください!人気FPが教える金利上昇時代の「お金の新ルール」』の著者でFP歴35年の深野康彦氏に、「利上げ時代の必須知識」を解説してもらった。
振り返れば、’24年は日本経済にとって分岐点になるような年でした。3月には日銀がマイナス金利を解除し、7月には追加利上げを発表。それによって政策金利が0.25%に引き上げられ、株式市場が「令和のブラックマンデー」と呼ばれる大暴落に襲われたのは記憶に新しいと思います。
そして、今回の追加利上げによって政策金利は0.5%へと引き上げられました。これは’95年9月以来、約30年ぶりの金利水準ですから、多くの人にとっては「未体験ゾーン」に突入したことになります。
金利とは経済に大きな影響を及ぼすモノです。しかし、日本人にとって金利は長らく「無視してもいい存在」でした。ゼロ金利、もしくはマイナス金利政策だと、銀行普通預金の金利は0.01%~0.001%程度。100万円を預けても利息は1年間に10円つくかつかないかという水準ですから、どの銀行に預けようが気にならないのも当然です。恐らく、自分の預金口座の金利がどれくらいか知らない人も多いと思います。
しかし、それはもう過去の話だと考えたほうがいいです。
これから先の「金利がある世界」では、今までのお金の常識は通用しなくなると思うべき。預金、保険、投資といったさまざまな金融領域において、一日でも早くマインドセットを変える必要性が出てきます。しかも、年齢は関係なく、どの世代に対しても全方位で影響が出るのです。
なぜなら、金利とはありとあらゆる金融領域に関係するからです。銀行預金や住宅ローンがわかりやすいですが、ほかに株価や保険などあらゆる金融商品やサービスにも徐々に影響が出てきます。
例えば生命保険です。これからの金利上昇局面では、保険会社が掛け金の一部で運用する債券などの利回りが上がり、運用利回りが改善した結果、各種保険の「予定利率」(保険会社が契約者に約束する運用利回り)が引き上げられるからです。
実際に、日本生命保険は’25年1月から一部の年金保険や終身保険、学資保険などを対象に予定利率を引き上げると発表しています。この予定利率上げは約40年ぶりのこと。金利のある世界の到来によって、我々を取り巻く環境は確実に変わりつつあるのです。
そのように広く影響を及ぼす金利ですが、「そもそも金利とは何か?」と問われれば、私は「お金を貸し借りするときの手数料」だと答えます。そう考えると、金利という存在の本質がわかりやすくなるからです。
例えば、住宅ローンを借りて家を買う際には、借りた人は銀行に金利を支払います。銀行側から見れば、貸し出しているお金に加えて金利を「手数料」として数十年かけて返してもらう。その手数料が銀行の収入になるわけです。
反対に、私たちが「銀行にお金を預ける」というのは、銀行から見たら「私たちからお金を借りている」という状態になります。銀行は集めたお金を原資にしてまた別の人に貸し出し、さらに手数料を得るという「預貸ビジネス」を行っています。ですから、私たちには借りているお金に対して「預金金利」をつけて利息を払ってくれるわけです。
知らないと損する「金利」最新事情
これから先は「金利がある世界」へ。マインドセットを変えるべき
日本生命も40年ぶりに予定利率を引き上げた
ファイナンシャルリサーチ代表。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。その後、1996年に独立し、現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2社目の起業。FP業界歴35年(2024年10月現在)を誇り、そのキャリアを通じて日本経済の浮沈を見守ってきた。メディア出演やセミナーを通じて、資産運用や住宅ローン、生命保険、税金、年金など幅広く「お金の知識」を発信している
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