解像度の「350dpi」という数値は絶対的なものではありません。
パンフレットなど、手に持って鑑賞するのが前提の高級印刷物に対して
その数値が基準とされているだけです。
ですから画像の精度や絵柄によってはもっと低いdpiでも充分に実用できます。
現実的な数値では一般印刷で200~240dpiでも充分な品質です。
さらに目的がポスターなどの大判印刷物の場合では100dpiでも問題ありません。
昔のアナログ製版の時代でも、デジタルの350dpiに相当する175線が使われていましたが
B全ポスター等の場合はいったんB3原寸、175線で製作して
校了後にB全まで引き伸ばしていましたから(面積で4倍)、
それを線数に換算すれば約45線、dpiに置き換えて90dpiほどの数値でした。
それで品質的には立派に通用していました。
あまり「画像解像度」という数値にこだわりすぎても不自由なだけです。
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それよりも撮影画像をより精緻に仕上げる事に神経を使ったほうがいいです。
その点ではRAWは大きな意味があります。
RAWは「画像解像度」はJPEG撮影画像と変わりませんが(少し後述あり)「解像感」が違ってきます。
つまり同じ大きさに出力した場合、dpiが同じでも画像の精緻さが違うという事です。
もちろん適切に画像生成処理をした場合に限りますが
同じ800万画素の画像が吐き出されるとしても、細部の描写に大きな違いが出ます。
ですから、少しでも精度の高い画像を得ようと思われるのなら
RAWを積極的に使う事をお勧めします。
逆に言えばこれは、それほど精度を必要としないものなら
JPEG撮影でも充分に実用できると言う意味でもあります。
一度RAW撮影~画像生成を経験されてみるのが一番でしょう。
特にハイライト、シャドウの階調再現性と細部の解像などで
JPEGとは明らかな違いがあります。
ただ、勘違いしてはいけないのは
「適正露出」で撮影されたものでなければ違いが出ません。
デジカメ雑誌等でRAWは万能などと書かれてきた時代もありましたが
それは大きな間違いです。
適正露出のRAW画像を適切に処理したものが最良ですが
不適正露出のRAW画像を処理したものと適正露出のJPEG画像とでは
後者の方が結果が良い場合が多いです。
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私は600万画素の135サイズデジタルと1200万画素のAPSデジタルを
仕事では使っていますが、RAWから生成したものなら
どちらでも新聞1ページ程度の拡大には問題なく使えています。
アオリが必要な撮影の場合にはデジタルバックをレンタルで使う事もありますが
普通の撮影では上記の機材で充分です。
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(後述部分)
キヤノン製のRAW現像ソフトを詳しく知りませんが
他社製のものでは画像生成時に画像解像度を大きく出来るものもあります。
600万画素のRAW画像を1,000万画素相当で出力できるものや
300万画素のものを1,100万画素相当に出力できるものなどです。
「素」の1,000万画素と比較すれば解像感が劣りますが
600万画素をPhotoshopなどで補完拡大したものに比べれば遥かに高品質です。
お礼
詳しく、分かりやすい説明をありがとうございます。 なんとなく見えてきました。 たちまちは、RAWで練習してみますね! お世話になりました。