美味しい中華料理を食べるのだったら、横浜中華街が一番間違いない。
私の父は食いしん坊で、美味しいものには正に太っ腹で散財ができる人であった。
お酒も好きだし、美味しいものを食べながら美味しく飲むのが一番好きだった。
中華街では大体決まった店で、ピータンと酢豚は必ず注文する。
そしてお燗した紹興酒にザラメを少し入れて飲むのが定番。
家族でタラフク食べて、タラフク飲んで、お家に帰る。
口福で幸福いっぱい。
私が子供の頃の中華街は今ほど大幅な観光地化はされておらず、
路地にあるような個人商店は、中国語しか通用しないお店も多かったように思う。
店に入ると愛想のない店員が、商売っ気もなくこちらをジロッとみている。
私の中では魯迅やパール・バックの小説にある場面に出てくるような雰囲気。
そんな空気感も決して嫌悪感はなく、勝手な妄想に浸ってしまっていた。
メインの通りは観光客向けのお店で、吊るされたチャーシューやロースト、
臓物の煮物などがレストランのショウウインドウに飾られている。
乾物店には高価なナマコやフカヒレやアワビやら、漢方の薬材のような乾物も
あったり、見慣れない調味料や漬物が特有の匂いを放ちながら並べてあり、
好奇心がむくむくっと湧いてくる。
そんなものを色々買い込んで、家で中華料理の実験をする。
長い時代を超えて横浜中華街は変化してきたが
質の高い中華料理がいつも食べられる場所であることは変わらない。
また中華街に行って食事したくなってしまった。
今度一緒に香港料理の釜めしを食べませんか? ピウプより。