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ドクター・ストレンジ(映画)

登録日:2017/02/04 (土) 20:39:21
更新日:2024/12/02 Mon 08:35:45
所要時間:約 9 分で読めます




◆ドクター・ストレンジ




上から目線の天才外科医。


彼を目覚めさせたのは、魔術―――




▽目次

概要

『ドクター・ストレンジ(Doctor Strange)』とは、2016年に製作された米映画。
MARVEL社のコミックヒーロー「ドクター・ストレンジ」の実写映画化作品。
MARVELコミックヒーロー映画化シリーズ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の映画通算14作目にしてフェーズ3の第2弾。

交通事故で医師としての道を絶たれた天才外科医が、秘境で魔術師として才能を開花させていく物語。
MCUとしては異色の作品である。
というのもMCUでは、アイアンマンキャプテン・アメリカというように、科学由来のヒーローが多数であり
ソーガーディアンズ(サノスも)などは異世界、あるいは異星出身のキャラクター。
いわゆる「ファンタジー」「魔法」由来の概念は浸透していなかった。
(日本では異世界モノも宇宙人も非現実的なものは全部まとめて「ファンタジー」と称される風潮があるが、SFやスペースオペラとファンタジーとはまた別物である)

しかし今作では、多元宇宙(マルチバース)と魔術をテーマにして、アベンジャーズの感知しない(できていない)「異次元からの脅威」が敵となる。戦闘も主に幾何学的異空間で行われる。精神世界、時の概念、東洋的要素など今までになかったものが前面に押し出されている。
物理法則を無視して建築物や道路がメチャメチャに折れ曲がる映像描写や、あるキャラクターが主人公に見せた幻覚シーンなどから、葉っぱキメた作品と言われたりもしてる(当時の作者的にはあながち間違いではないのだが)。

また、ドクター・ストレンジのキャラクターは、「傲慢な天才だったが、ある事件でその道から引き、改心しヒーローとして目覚める」という点で
アイアンマンことトニー・スタークと共通している。
フェーズ4以降、MCUのキーパーソンとしての活躍が期待される。

主演にはドラマ『SHERLOCK』のホームズ役で注目を浴び、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたベネディクト・カンバーバッチ。
製作側の強い要望で、カンバーバッチのスケジュールが空くまで本作を延期していたりもする。
そのほか、『コンスタンティン』のティルダ・スウィントン、ドラマ『ハンニバル』のマッツ・ミケルセンといった大物俳優が名を連ねる。
監督は、『エミリー・ローズ』『フッテージ』『NY心霊捜査官』などホラー映画で活躍したスコット・デリクソン。



ストーリー

天才的頭脳を持つ脳神経外科医、スティーヴン・ストレンジ。
人一倍の自信家で傲岸不遜な態度が玉に瑕だが、医師としての腕前は誰もが認めるものである。
ある日、運転中に単独事故を起こしてしまったことで人生が一変。
一命は取り留めたが両手に麻痺が残り、外科医を引退せざるを得なくなる。
資産をはたいて様々な最先端治療を試すが上手くいかず、絶望と苛立ちに満ちた日々を送っていた。
それでも諦めきれずに情報を集める中、半身麻痺から完全回復を果たした患者にたどり着く。「カトマンズにあるカーマ・タージ寺院で治った」と教えられ、さっそくカーマ・タージ寺院を尋ねる。

そこで彼を待ち受けていたのは、自らの精神をもって力へと変える秘術―――魔術の使い手たちと、魔術修行のための寺院、そして「エンシェント・ワン」と呼ばれる偉大な魔術師であった。
新たな世界を知ったストレンジは、エンシェント・ワンの弟子入りを果たし、魔術修行を積み重ねる。

だが、彼ら魔術師には敵がいた。
エンシェント・ワンの元弟子だが暗黒魔術に魅せられ離反したカエシリウスと、カエシリウス率いる闇の集団「ゼロッツ」である。

カエシリウスはついに行動を起こした。
あらゆる次元を超越した「暗黒次元」の支配者を目覚めさせ、世界を不死のモノで満たした理想郷に変えるためだ。

戦いを通じてエンシェント・ワンに使命を託されたストレンジは、自らの使命を果たすために、圧倒的な闇へと立ち向かう…。



登場人物

  • スティーヴン・ストレンジ
演:ベネディクト・カンバーバッチ/吹き替え:三上哲
NYの大病院に勤める脳神経外科医。天才的頭脳と天性の記憶力を持ち、実力と名声を備えた名医。
自信とプライドに満ち、傍目には傲慢にすら見えるが確かな実績を残している。
しかしある日、自身の脇見運転が原因で単独事故を起こし瀕死の重症を負ってしまう。
なんとか一命はとりとめたものの両手の神経が麻痺。現代の医学では治せない後遺症であり、外科医としての道を断たれることとなった。

プライドはズタズタ、全財産を治療につぎ込むもすべて上手くいかずにほぼ文無しとなる。
それでも支えようとしてくれた元恋人にも自棄になって酷い罵倒をしてしまい、ついに見放される。
全てを失ってどん底に突き落とされたさなか、「半身不随の患者を治したカーマ・タージ寺院」の情報へたどり着いた。
「エンシェント・ワン」と呼ばれる女性がなんらかの医療を極めた人をと思って会いに行ったのだが、彼女は「至高の魔術師」であり、ここは魔術を極める場だと教えられる。
はじめはオカルトだと決めつけ「なけなしの金でここまで来たのに」などと悪態をついて絶望。
しかし魔術による様々な事象を実際に見せつけられ、新しい道を示されたことで、自分も魔術修行を始めることを決心する。

はじめは修行仲間達からかなり遅れており、まったく魔術を発動できない日々が続いていたが
エンシェント・ワンによるもしクリア出来なかったら死ぬような指導を経て初めて発動に成功。
その後は持ち前の高い集中力と根気と天性の記憶力を発揮し、貪欲なまでの探究心で魔術の力を伸ばして行く。

そんな矢先に、サンクタムがカエシリウスに襲撃される。
初実戦なりに奮闘するも、暗黒次元から力を得ているカエシリウスにはまったく適わず、その戦いで師であるエンシェント・ワンを失ってしまう。
エンシェント・ワンから使命を託され、世界を救うため魔術師として立ち上がる。


魔術師に転身した後も、自分は人を救う医者だという誇りは強固である。
カエシリウスの部下に抵抗し結果として殺してしまった際には、深い葛藤と自分への嫌悪感を抱いている。
作中では寺院の見習い→エンシェント・ワンからマスターと認められる という流れなので、魔術師としての肩書きなら「マスター・ストレンジ」が正しいのだが
「わたしは「ドクター」だ。マスターやミスターとは呼ばないでくれ」
と、注文をつけるほど呼び名にはこだわっている。

なお、「プロとして実績を積み重ね、その誇りとプライドのために他者の言葉にケンカ腰になりがち」という人物像はトニー・スタークと丸かぶり。
ファン達が心配した通り、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』において出会った当初から全面的にケンカになっていた。
一方で、お互い苦手な分野の専門家として敬意を持っていた節もあり、難儀なツンデレ同士という側面もある。


  • エンシェント・ワン
演:ティルダ・スウィントン/吹き替え:樋口可南子
「至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)」の異名を持つ最古の魔術師。魔術師達からの尊敬を一心に集める人物。
常に達観した冷静な態度を保ち、最強の魔術を繰り出す。
年齢不詳だが、実は不死の力を得てずっと昔から地球を守り続けている。
街中での戦闘を除いてカーマ・タージおよびサンクタムの外に出ている描写はないが、完全に浮世と隔絶しているという訳ではなく
魔術をプログラムに例えて話す、ストレンジの事故後の体について正確に言い当ててみせる、など、現代に応じた知識と語彙をしっかり持っている。

ストレンジに魔術の才能を見出しており、修行に戸惑う彼の思い違いやこれまでの常識から抜け出せない傾向を正して大きく成長させている。
一方で、彼があまりに貪欲に魔術を学ぼうとすること、次々と吸収していく能力の高さに、カエシリウスに近い危うさを感じてもいる。

とはいえ魔術師としてこれまでになかったタイプであるストレンジに、魔術師の次なる希望を見出している。
後のMCUにも出演し、果てしない先を見据える魔術師業界の最長老として存在感を示している。

  • モルド
演:キウェテル・イジョフォー/吹き替え:小野大輔
エンシェント・ワンの弟子。マスター。
カトマンズに到着後のストレンジをカーマ・タージに案内することとなった魔術師。
自然の秩序を守る魔術師であることに誇りを持ち、エンシェント・ワンにも高い敬意を示す。
武術に長けており、魔術によらない直接戦闘の指導役もしている。
自然の秩序を破る者を許さないという信念が強い。修行中のストレンジが時間逆行の魔法を(危険なものとは知らずに)使ってしまった時には厳しく叱責した。

カエシリウスによりエンシェント・ワンの秘密が暴露され、尊敬していたはずの師が秩序に反する力で不死を得ていたことに深く失望。
それでもドルマムゥとカエシリウスによる被害から人々を守るため一旦はストレンジと共闘するが、最後には別離の道を選び姿を消してしまった。


  • ウォン
演:ベネディクト・ウォン/吹き替え:田中美央
カーマ・タージの書庫番。マスター。
登場時点では、ジョークにも表情ひとつ変えない寡黙な大男。
閲覧禁止の書物を読もうとするストレンジをにべもなく追い返し続けていたが、魔術を会得し始めたストレンジに何度も出し抜かれている。
クライマックスでは香港を守るため、果敢に戦場に立つ。
時間逆行の際の描写から、ウォンを含め香港の魔術師達が一度全滅していることがうかがえる。

ドルマムゥを退けた後の会話ではじめて、腹を抱えて大笑いする姿を見せた。
2021年時点で「ドクター・ストレンジ」シリーズはまだ1作目のみなので、以降は別作品での登場となっているが
ストレンジに軽い憎まれ口を叩いたりジョークを飛ばしたりと大変気さくに話している様子である。



  • クリスティーン・パーマー
演:レイチェル・マクアダムス/吹き替え:松下奈緒
ストレンジと同じ病院で働く救急救命医。
ストレンジの元恋人で、破局したものの現在も仕事面で信頼し合える良き同僚。
事故以来、荒むストレンジをしばらくは支えようとしていたものの酷い罵倒をされて限界を迎え、決裂。

その後、行方不明になったと思っていたストレンジが深手を負って病院に現れたために驚愕。
魔術がどうの危険な魔術師に襲われてどうのと説明されたため、ストレンジがカルトにはまったのだと一度は確信する。そりゃそうだ
見たこともない傷(魔術によるもの)を懸命に治療するが、周囲ではアストラル体となったストレンジとゼロッツの戦いの余波で怪奇現象が勃発。恐怖に耐えながら治療を成功させる。
また、アストラル体のストレンジが姿を見せて治療の指示を直接出したこと、別れ際に魔術で移動する光景を直接見ていることから、最終的に魔術の存在は信じていると思われる。


  • ニコデマス・ウェスト
演:マイケル・スタールバーグ/吹き替え:志村知幸
ストレンジの同僚医師。通称ニック。
優秀な医師ではあるがストレンジには及ばず、若干見下されている。
最初の交通事故で搬送されてきたストレンジの手術を担当。結果としては麻痺が残っているが、決してニックの手術に問題があった訳ではない。現代医学ではそれ以上どうしようもないくらいの酷い怪我だったためである。
終盤、カエシリウスとの闘いで重傷を負ったエンシェント・ワンの治療をストレンジから直接託されるあたり
ストレンジ自身も、内心では彼を認めていたのかも知れない。


  • ジョナサン・パングポーン
演:ベンジャミン・プラット/吹き替え:根本泰彦
半身不随から奇跡の回復を果たした男。
実はストレンジに治療を依頼したこともあったが、不可能だとして断られた経緯を持つ。
体はもうどうしようもないのだと諦め、ならば徳を高めようと世界中の寺院や聖堂を渡り歩いた末、カーマ・タージにたどり着く。
半年間、エンシェント・ワンから魔術を教わった。マスターズ・オブ・ミスティックアーツ入りを辞退し、代わりに健康な肉体を手に入れたという経緯を持つ。



  • カエシリウス
演:マッツ・ミケルセン/吹き替え:井上和彦
闇の魔術師集団「ゼロッツ」の指導者。闇の魔術に傾倒し、禁断の儀式のための人殺しも辞さない危険人物。
暗黒次元の支配者・ドルマムゥを召喚し、世界を不死の存在で満たすことを目的としている。
かつて愛する妻子を失い、取り戻すためにエンシェント・ワンに弟子入りした。しかし不死を克服できない魔術に失望し、やがて暗黒次元の力に魅せられた。
エンシェント・ワン、ひいては彼女の後を継ぐことになるストレンジと敵対する。


暗黒次元を支配する超生命体。
時間や老いすらも超越しており、倒す方法は現時点で存在しない。
現実世界の侵略を望んでおり、その機会を虎視眈々と狙っていたが、ニューヨーク・ロンドン・香港の3都市を中核に構えられた守りは破れずにいた。が、カエシリウス率いるゼロッツによってとうとう香港の街に召還された。

ちなみにドルマムゥのモーションキャプチャーはストレンジ役のカンバーバッチが担当している。


  • スタン・リー
…また出てるよ!





用語集



  • 魔術(ミスティック・アーツ)
多元宇宙(マルチバース)への扉を精神力にて開き、そこから得た力にて発動する技法。
本シリーズにおいては「本当は誰にでもできる。けれど皆扉を閉ざしている」という位置づけのもの。
戦い方としては、光の鞭(リビング・トリビューナル)、空間を歪めて作る飛び道具、盾を出現させるエルドリッチ・ライトなどが基本形。


  • レリック
魔力を収めたアイテム。様々な形状・目的のものがあると思われる。作中で最も多く出てくるのは空間移動が可能なスリング・リング。


  • 浮遊マント
NYのサンクタム・サンクトラムに陳列されていたレリックのひとつ。赤色の長いマントで、身に纏うと宙に浮ける。
モルドとエンシェント・ワンの発言からすると「とても気まぐれで持ち主を選ぶはずだが、どうやらストレンジを気に入った」らしい。
明らかに自我があり、高所から落下したストレンジを助けにすっ飛んで行く・自主的に防御する・敵を拘束して締め付けびったんびったんする・どの魔道具を使ったらいいか教えようと必死に引っ張る、涙をそっと拭って励ます、など
とてもお利口で可愛いマント。

エンシェント・ワンもマントの持ち主ではなかったのは明らかなので、強力な魔術師や歴代エンシェント・ワンを選んできたという訳ではないと思われる。
よって、ストレンジが選ばれた理由はいまのところ謎。



  • ミラー次元
現実世界と密接につながってはいるが、鏡映しの次元であり、現実から隔離されている。
暗黒次元の力を用いると、空間構造を自在に操り物理法則を無視した不可思議な空間を構築できる。


  • アストラル次元
現実の物質のエネルギーで構成された次元。
魔術師がアストラル体となって行き来できる。いわゆる精神の世界。
幽体離脱のようにも見えるが日本のホラーでいうところの「幽体」「幽霊」とは異なる概念である。


  • アガモットの目
カマー・タージの奥に安置されている、緑色の石の入ったネックレス。…ん?
初代・至高の魔術師にしてサンクタムの創始者であるアガモットが所有していた。
時間を操る能力を持ち、対象物の時間を逆転、早送りすることができる。
扱うには超難解な書物を解読する必要があり、呪文もたいへん複雑で、詠唱すら難しい代物である。
読み解けるほど熟練した人物は大抵思慮深さを兼ね備えているため、悪用されることはないはずだったが…
ストレンジは経験が浅いにもかかわらず天才的頭脳で読み解いてしまい、持ち前の「映像記憶」という特性によって複雑な呪文も一瞬で記憶できてしまった。



「管理人!話をしよう、追記修正に来た!」

「貴様!何をしたァ!?」

「何度でもアク禁されてやる」



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演:クリス・ヘムズワース/吹き替え:三宅健太
神の国・アスガルドの王子。
インフィニティ・ストーンを巡る事件について調査するためあらゆる世界を飛び回っていた。
ロキがオーディンになり変わっていた事を暴いた後、行方不明の父オーディンを探すために、厄介者である弟ロキと共に再建されたNYのサンクタムを守護するストレンジのもとを訪ねた。
そしてそれは、ストレンジの持つ石に深く関係がある。

  • モルド
香港での決戦では説得されストレンジとウォンと共闘したものの、アガモットの目で時間を巻き戻してサンクタムの崩壊を防ぎ、ドルマムゥをタイムリープにハメて撃退したストレンジの偉業すらも秩序を侵すものであると強く非難、彼らと袂を分かった。
その後パンクボーンの元を訪れて彼から魔力を奪い、再び半身不随にしてしまうと「するべきことが解った」「この世には魔術師が多すぎる」等と、不穏な事を呟く。




Doctor Strange will return
ドクター・ストレンジは帰って来る

IN 11.03.2017 at "THOR:RAGNAROK"
マイティ・ソー/バトルロイヤル』にて
2017年11月3日 日米同時公開


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最終更新:2024年12月02日 08:35