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Xbox360

登録日:2020/04/14 Tue 22:32:21
更新日:2024/12/03 Tue 16:33:28
所要時間:約 12 分で読めます






do! do! do!しようぜ。




Xbox360とは、マイクロソフト(以下、MS表記)より発売された家庭用ゲーム機。通称「360」「X360」「箱◯」。

【解説】


日本では2005年12月10日発売。第7世代ハードでは一番早く発売された。

MSが開発及び発売した家庭用ゲーム機Xboxの次世代機種。開発コード名は『Xenon』。
ハード名で印象的な「360」の数字だが、これは「360度全方向のエンターテインメント体験」を意味するらしい。
ちなみに、日本ではこの数字部分は「サンロクマル」と発音するが、海外(というか英語)だと「スリーシックスティー」と発音する。
日本での愛称は引き続き「」の他、360から取って「箱三郎」とも。

ゲーム機としては初のハイビジョンに対応し、高性能なハードスペックを活かした美しいゲーム画面を見せた。
Xbox LIVE』などのオンラインコンテンツや各サポートにも力を入れており、新しいゲームスタイルを提供。
新たなゲームシステムとして、ユーザーのやり込みに応じた「ゲーマースコア」と「実績システム」を投入し、これもゲームプレイに大きな革新をもたらした。
この実績システムの革新性にはソニーも危機感を抱いたようで、後にPS3でも似たような機能である「トロフィー」が実装された。

他社との競合では、同じHDハードで前世代機では激しく争ったPlayStation3(以下、PS3表記)がメインの競合機として見られていた。
その最大のライバルであるPS3が初動で躓いたこともあって、欧米市場を当初は抑え込みシェアを上回り、前世代から大躍進をしたWiiと市場を二分する程に迫る勢いを見せた。
前世代からの難関である日本では色々とあったが(後述)、Xboxブランドは引き続き安定して保ったと言える。

初代Xboxと同様、他のプレイヤーとオンラインマルチプレイを行うには、有料のゴールドメンバーシップに加入する必要がある。
ただしXbox360ではゲームショップやコンビニなどでプリベイトカードを購入出来るようになり、クレジットカードを所持していなくても容易に加入出来るようになった。
クレジットカードでの決済も引き続き可能。

2014年に後継機種『Xbox One』にMSのハード事業の展開を引き継がせ、2016年に生産を終了した。
修理サポートやXboxLiveに関しては、2020年4月現在も継続している。

【日本での状況】


海外に反して国内では惨敗したXboxの反省を踏まえ、国内ユーザーの趣向に合わせた宣伝に動いた。

イメージキャラクターには国民的農家アイドル・TOKIOを起用し、ジャニーズパワーによる効果を期待した。
しかし、TOKIOのファン層と従来のXboxのユーザー層が噛み合わなかったことで効果は薄く、TOKIOの利用は短命に終わった。前機種で生じた日本ユーザーとの感覚の違いによる宣伝のズレは、360でも挽回することなく引きずってしまったと言える。
前世代機では取りこぼした、ライトゲーマーやファミリー層への挽回を目指した宣伝戦略、という意味では確かに間違ってはいなかったのだが…

後述する「ブルードラゴン」やKinectなどの展開を見るに、MSはコアゲーマー以外も含んだ手広い普及を一貫して狙い、結局それが叶わなかったハードとも言える。
これはWiiがファミリー向け路線で成功すると同時にカジュアル・ライトユーザー向けな印象の強いハードとなり、コアゲーマー向けソフトが全体的に伸び悩んだ点と対照的とも言えるだろう。

それでも、何だかんだで販売台数は150万台と前世代と比べると普及率は3倍程度伸びている。
現状国内で一番売れたXboxハードなのは間違いなく、「Xboxと言われれば360」というユーザーが日本では一番多いだろう。
宣伝やソフトラインナップで一定の努力を見せたこと、他社の同世代機よりも発売日が速かったアドバンテージなどが原因として考えられる。

一方で、ハード後期の日本向けソフトの不足や単純な長期販売による停滞感などもあって、ハード末期には完全に勢いは失われていた。
元々ビジネス向けのソフトなどをメインに販売しておりエンターテインメント商品の販促経験が薄かったうえ、日本市場での普及戦略に限界があるとでも判断されたのか、後期のMS日本支社はXbox関係の宣伝に消極的になってしまった。
このやる気のなさを引きずったままXbox Oneの国内展開に突入し、日本市場におけるXboxブランドは存在感が一気に萎み、あるいはWindowsとSteamに食われがちになる。

また、日本におけるXboxの売れ行きの悪さは海外から見ても目立っていたらしく、欧米のゲーム誌や各種ウェブサイトにおいて度々「 なぜ日本ではXboxが売れないのか? 」という特集記事が組まれていた模様。

【性能】


CPU Xenon 3.2GHz
GPU ATIカスタムグラフィックプロセッサ
メインRAM 512MB
ポリゴン描画能力 毎秒5億トライアングル
ソフトメディア DVD-ROM
HDD 20GB~500GB

事実上初のHD画質対応ハードであり、本体性能は前世代機から大幅に上昇。*1
初期型はD4端子での接続だったが、後にHDMI端子にも対応したモデルも発売された。

HDDは初代Xboxと違い換装が可能な外付けタイプの物なのだが、Xbox360でしか使用出来ない独自規格の代物である。
その代わり初代Xboxと違い「容量が無くなりそうだから新しいHDDに交換する」という事が可能になった。
なお専用品以外のHDDやSSDはどう頑張っても認識しないので注意。
HDDの他に別売りの専用メモリーカード(512MB)も記録媒体として販売された。
後にアップデートでUSBメモリーも使用出来るようになった。当初は8GBまでだったが、2015年のアップデートでFAT32の限界レベルである2TBまで対応するようになった。

CPUはXboxファミリーで唯一x86以外が採用されており、PowerPCアーキテクチャの独自拡張の3コアを載せたマルチコアCPUである。
SIMD*2演算が強く、ゲーム機に必要な機能の処理に特化した拡張が行われている。
GPUは「キャッシュに頼らずにメモリアクセスではスレッディングする」という思想で設計された。

ソフト開発環境にはWindowsで採用されているDirectXを採用しているため、前機種同様にソフトの開発や移植の難易度は低かった。
XNA Game Studio Expressというツールによる個人レベルでの開発も容易であり、インディーズゲームに影響を与えた。

発売後の大規模アップデートによってソフトのHDDインストールにも対応しており、これを使ったソフトは極一部を除いてロード時間などが短縮される。
後に更なるアップデートが行われたことでインストールの容量の縮小化が行われた。

一方で、故障率やソフトメディアへの損傷の被害が同世代の他社ハードに比べて高いという欠点を持っている。
かなり有名な問題として「RRoD(Red Ring Of Death)」が存在し、これは本体前面にあるリングライトが赤く点滅して操作を受け付けなくなる故障である。
原因としてはハード設計の歪みによりCPU・GPUの発熱量に対して冷却性能が貧弱になってしまい、CPU・GPUとマザーボードを繋ぐBGA半田が割れる事が原因とされている。
対策としては、HDDにソフトをインストールすることで多少排熱や音が防げる。また、2008年以降の初期型および小型化したS・Eモデルではほとんど問題が発生しなくなった。

このRRoDはマイクロソフト自身が設計ミスが原因である事を公式に認めており、たとえ本体の保証期間が過ぎてしまっていたとしても、マイクロソフトに連絡すれば無償で修理して貰う事が出来る。
また初期型の本体をRRoDで修理に出した場合、HDMI端子に対応した本体に無償で交換して貰える。

ソフトメディアの損傷はディスクトレイとディスクとの間のクリアランスが小さいこととディスクを定位置に固定する機構に欠陥があることが原因で、縦置きにしたりディスクが回転している間に本体を動かしたり*3するとディスクの外側にリング状の傷が付くことがある問題である。
ドライブによっては対策されているものもあるが、RRoDとは違いこのリスクは最終型のEモデルまで引きずってしまっている。

専用コントローラーは有線用とワイヤレスによる無線用が提供された。
無線用は単三電池2本を動力源としているが、設計上どうしても指先が電池カバーのイジェクトボタンに触れてしまいやすく、ちょっと乱暴に扱うとすぐに外れてしまうという問題があった。360Sの時期に出たコントローラーでこの問題は対策済み。
有線コントローラーは、USBゲームパッドとしてそのままWindowsPCへの流用が可能である。当然、Steamなどのプラットフォームでも使用可能。
ボタン配置やストロークが長く、アナログ入力対応ゲームで引き加減をコントロールしやすいLRトリガーの完成度の高さから評価が高く、ゲーム機全体でも屈指の名コントローラーだと支持する声も少なくない。
ただデジタルの十字キーがやたらと柔らかく、斜めに入りやすいという所だけはアレ。故に格ゲーにはあまり向いていない。
この辺はXbox One用コントローラーでは解消されている。

【主な歴代モデル】


モデルのバリエーションはかなり多い。

スタンダードモデル

  • 発売日:2005年12月10日
  • 価格:39,795円→34,800円
最初に販売された初期型及び始祖。ハードディスク容量は20GB。
発売時期によってHDMI端子が搭載されているモデルとされていないモデルがある。RRoDを起こすモデルはほぼ全部これであり、ローンチ直後からゲーム機を買ってはいけない典型的なケースの一つである。電気代も高すぎる上、ユーザーから「カステラ」と称される巨大なアダプターが最大230W出力とかなり太っ腹である(アース線もある)。

Xbox 360 コアシステム

  • 発売日:2006年11月2日
  • 価格:29,800円→27,800円
スタンダードモデルの廉価版。スタンダードモデルには付属していたハードディスクやD端子ケーブルなどが付いていない
まともにゲームで遊ぶにはハードディスクは買い足す必要があり、総合的には言うほど廉価版ではないのではという声もちらほら…。

Xbox 360 エリート

  • 発売日:2007年10月11日
  • 価格:47,800円→39,800円
ハードディスク容量は120GB。発売当時のモデルでは唯一HDMI端子を備えていた。
付属品や特典品も多いので出費面でも総合的にはお得感が強く、後述のSが登場するまでは一番購入を推奨するユーザーが多かったモデルでもある。

Xbox 360 アーケードシステム

  • 発売日:2008年3月6日
  • 価格:27,800円→19,800円→オープン価格
コアシステムに変わる廉価版。コスト削減の為にコアシステムと同様に付属品は省かれている。
ただし、コアシステムと違ってメモリーユニットが同梱された(後期型は内蔵式に変更)事で、最低限ゲームのプレイが可能になった。
コアシステムでは存在しなかったHDMI端子も装備されている。

Xbox 360 S

  • 発売日:250GB/2010年6月24日、4GB/2010年9月9日
  • 価格:250GB/29,800円、4GB/19,800円
名前の『S』はスリム。その名前が示す通り、設計の変更で本体が小型化されている。
変更点としては、CPUとGPUをワンチップにした*4事でマザーボード上での占有面積が狭まり、消費電力や発熱問題が改善されている。
これにより排熱機構も簡略化されてファンが1個だけとなった事で、騒音も改善された。ただし、本体のディスクドライブやWiFiモジュールなどの一部部品はかなり経年劣化しやすい。
結果として360の問題点だった故障率が改善されており、安定した稼働力を入手している。

4GBモデルは、250GBモデルではハードディスクだった記憶装置が4GBの内蔵メモリに変更。

Xbox 360 E

  • 発売日:250GB・4GB/2013年9月19日、500GB/2014年12月4日
  • 価格:250GB/29,800円→23,600円(税別)、4GB/19,800円、500GB/29,800円
360の最終モデル。500GBモデルは本体カラーが青色であり、Amazon限定販売。
光デジタル音声出力端子廃止、背面AVコネクタ廃止、背面USB端子の個数変更、4端子AV出力端子廃止などの変更が行われた。
Sよりも静粛性が向上しているが、一部端子の廃止などで決定的な優位性はない。マイナーモデルだが基板変更を発売中に一度行っている。

Oneとハードの外観が似ているため、関連性を指摘する声も多い。
また、最終モデルであることや発売から1年程度でOneが展開された影響から、流通がやや少なく比較的レアなモデルと化している。

【主な周辺機器】


Kinect for Xbox 360

  • 発売日:2010年11月20日
  • 価格:14,800円
物理的なコントローラを使わないで身体による操作が可能な体感型ゲームを提供するための周辺機器。専用のソフトも提供された。
センサーにRGBカメラ、マルチアレイマイクロフォン、深度センサーなどを内蔵して、使用者の身体情報や状況をキャッチする。
Wiiのウリであった体感ゲーム分野での対抗馬で、あちらと違ってコントローラーを持つ必要が無いのがウリ。
本体の全モデルに対応しているが、初期型に関しては専用のケーブルによる接続が必須となる。

MSは「セガの『スーパー32X』のようにならへんわ」と証言しており、実際に『Kinect スポーツ』がヒットするなど実績を残した。
本機の展開の成功を受けて次世代機のOneでも後継機が展開されたが、こちらでは期待に応じる程の大きな実績は見せられなかった。しかもプロセッサをKinect側に依存させたためか、XboxOneと互換を取ることもできなかった。

【ソフト展開】


ゲームソフト自体の開発費が高騰したことにより、PS3とのマルチソフトが多い。

初期はPS3のソフト開発難易度が高かった事に加えてWiiが第7世代ハードとしては大きく性能で劣っていた事、さらにXbox360のソフト製作がPS3に比べて遥かに容易だった影響により、360で積極的に開発するメーカーが多かった。
日本のサードパーティも360に好意的な姿勢を見せ、続々とソフト展開を行うことになった。

当初は360のキラータイトルと期待され、本体と同時発売を予定していた『DEAD OR ALIVE4』が突然発売延期になるなどのトラブルもあり、初動には失敗。
坂口博信を初めとする豪華スタッフが送る『ブルードラゴン』などがキラーソフトとして期待されたが、大きな成果は残せなかった。
しかし、『THE IDOLM@STER』や『ドリームクラブ』シリーズなど、Xboxで飛躍するゲームシリーズも現れ始めた。アイドルマスター初代はまだオンラインサーバーが稼働しているほどの大作だった。2のサーバーは....
テイルズ オブ ヴェスペリア』などの国内ユーザーに向けた強力キラータイトルも供給された。
前世代に比べるとギャルゲーやSTGなどのジャンルも充実しており、そちらのファン層の需要も大きかった。
特に2DSTGの数がPS3やWiiと比べて非常に多く、過去作の移植から完全新作まで多くの2DSTGが登場した。

しばらくするとPS3で完全版を出す国内サードが目立ち、アイマスなどもPS3(とソシャゲ)に活動の場を移してしまった。たぶんアイドルゲーム自体がXboxの倫理観にリジェクトされることに気が付いてしまったからである
末期にはPS3の普及スピードや加速するソフトのマルチ展開化の流れに押され、国内に向けてアピールするタイトルは減少してしまった。

前世代から得意としていた洋ゲーのラインナップは充実しており、Xboxの代表作『HALO』シリーズの新作も引き続き投入された。
この世代から時代の変化で日本市場も洋ゲーを受け入れるようになったが、360はそれに貢献した一因と言っても過言ではない。

Xboxとのタイトルは後方互換を実現し、一定数のタイトルを360でもプレイが可能。
360が前世代から国内普及を大きく伸ばしたことにより、国内では埋もれていたXboxのソフトが再評価される機会となった。

【余談】


  • ロゴマークやコントローラーのガイドボタンのデザインは「しいたけ」という愛称?が付けられている。

  • アイドルマスターのアイコンを使ってFPSなどの洋ゲーをプレイすると、外人プレイヤーが美少女アイコンを見て対面している相手を女性だと思い込んでナンパしにくるというネタがある。

  • S以前のACアダプターは、サイズが26.4×16.4×7.4cmで重量は1.33kgとかなりデカい。それはアダプターと言うにはあまりにも大きすぎた。その為上記したように「カステラ」という通称が付いてしまった。

  • 第5回東方M-1グランプリにて『スピンカッパー』が披露した「コンビニ定員」というネタの中で、河城にとりがxbox360の基板らしきもの(ご丁寧にヒートシンクも外して)を見ながら笑っているシーンがある。基板の画像自体はかなり荒くぼかされているがパーツの形状や配置から初期の基板と思われる。
  RRoD頻発していた設計不良の初期基板だったので一応技術者であるにとりが笑うのも無理はないか...。




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最終更新:2024年12月03日 16:33

*1 HD出力そのものは初代Xboxの地点で対応していたが、本体性能の限界でHD画質で描画できたソフトはごくわずかに留まった。

*2 single instruction, multiple data

*3 もっともディスク回転中に本体を動かすことは360に限らずどのマシンでもやってはいけないことではあるが。

*4 これによりそのまま動かした際に動作に悪影響が出る程CPU・GPU間の転送速度が上がってしまった為、ファームウェアでリミッターをかけている。