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醤油

登録日:2012/09/14(金) 17:27:58
更新日:2024/12/23 Mon 15:51:33
所要時間:約 3 分で読めます




画像出展:ヤマサ醤油株式会社公式ホームページ 商品情報 家庭用商品 ヤマサしょうゆ




■概要

醤油は中国の醤(ひしお)と呼ばれた調味料が日本に伝来・改良され発展した調味料。

主な原料は大豆、小麦、で麹菌、乳酸菌、酵母による複雑な醗酵過程を経て生成される。
この過程で醤油はアルコールやバニリン等の香気成分による香り、大豆由来のアミノ酸によるうまみと小麦由来の糖による甘みを持つ。

そのままかけたり、少量を浸す「つけ・かけ」、煮物の味付け、汁やたれの味の基調にしたりと利用範囲が広い。
ちなみに致死量は168~1500ml、頑張れば何とか飲めそうな量である。

■歴史

大陸から由来した調味料「醤」を原型として日本で発展した調味料。
「豆を塩漬けにして調味料にする」味噌や醤油の原型と呼べるものは古墳時代・ヤマト調停時代には既に存在していたとされる。
日本で醤油が現在の形として形成されたのは鎌倉時代後期で、それ以降各地で独自の風味や味わいを持つ醤油が開発されてきた。
江戸中期以降から一般に普及し、全国に広まったのはガラス容器が一般的になった大正時代からである。

小麦が採れる地域の農家はかつて自家製もしていたが、味噌や漬物よりも難度が高く、購入に任せる事も珍しくなかった。
一番搾りはハレの日や来客用、二番絞りは普段遣いに回された。三番絞りを得ることもあったが、風味も旨味も殆ど損なわれていて、色も薄いために黒糖などで着色していた例があったという。
また、すまし(手前味噌をお湯か水で溶かして木綿袋や麻袋に入れ、放置して垂れた物を集めて作る液体調味料)で代用する場合もあった。
メーカー品の出回る現代では廃れており、絞る手間もあってチャレンジする人はあまり多くない。

■主な産地

千葉県銚子市
千葉県野田市
兵庫県龍野市
香川県小豆島

■種類

日本農林規格(JAS)では製造方法、原料、特徴などから、「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類に分類されている。

【こいくち(濃口)】

江戸時代に関東地方で発達した最も一般的な醤油。
醤油の生産高の約9割はこれを占め、通常、単に「醤油」というとこれを指す。
様々な料理の味付けに使われる。
原料の大豆と小麦の比率は半々程度。
主な生産地として、千葉県の野田市や銚子市、香川県の小豆島がある。

【うすくち(淡口)】

濃口より先に、兵庫県龍野市で誕生。
濃口に比べると色や香りは薄いが、塩分濃度が高い。
濃口よりも原料の麦を浅く炒り、酒を加えるのが特徴。
食材の色や風味を生かしやすいため、汁物、煮物、うどんつゆなどに好んで使われる。*1
仕込み時に、麹の量を少なく、仕込み塩水の比率を高くする。圧搾前に甘酒を加えることもある。

【たまり(溜り)】

歴史が最も古い醤油で、風味、色ともに濃厚。
刺身につけたり、照焼きのタレなどに向く。
原料は大豆が中心で、小麦は使わないか使っても少量。
東海3県・九州地方が主な生産地。

【再仕込み】

山口県柳井地方が発祥。
甘露醤油とも呼ばれる、風味、色ともに濃厚な醤油。
刺身、寿司などに向く。
仕込工程にて、塩水のかわりに生醤油や醤油を用いて造る。

【しろ(白)】

19世紀頃に誕生した醤油で、色は薄く、醤油というよりナンプラーのような色をしている。
味は塩分が強く、少し甘みを含む。煮物に向く。
原料は大豆が少なく、小麦が中心。
色の淡さが特に重要なため、淡口よりさらに賞味期限が短くなる。

■海外では

ちなみに穀物を主原料とした穀醤以外に、魚介類を使った魚醤(例:しょっつる、ナンプラー)や筍による竹醤(チクジャン)(雲南省)なども存在する。
魚醤と塩辛との線引きは難しい所もあるが、概ね調味料か食べ物かの違いと言える。
その他の野菜や山菜、果実や海草を使った草醤は、現代では漬け物と呼ぶ。

製造過程で微量のアルコールが発生する関係上、アルコール摂取を厳禁とするイスラム圏では基本的に日本で普通に売られている醤油(をはじめとするほとんどの発酵食品全般)は
販売することができない(外国人向け食料品売り場などでは売られていることもあるが非常に高価)。
そのため、そういった地域ではアルコール分を発生させない製法で製造された「ハラール醤油」が売られている。

英語では現在「ソイ・ソース」と呼ばれているが、これは江戸時代に日本からオランダへ伝わった醤油が「soya」と呼ばれていたためである。
実際20世紀初頭までは英語の「soy」で醤油の意味があり、大豆は「しょうゆ豆」(醤油を作る材料の豆)という意味で「soybean」と呼ばれた。
しかし、いつのころからかは不明だが「soy sauce」が醤油を意味する語となり、「soy」単体では使われない単語になってしまった。

■余談

髪の毛から醤油が出来る?

タグに「髪の毛」が入っているのを見て「醤油と髪の毛に何の関係が?」と思った人は少なくないだろう。実は髪の毛からでも醤油の原料の一つになるアミノ酸は作れるのだ!
昭和初期、毛髪科学者の大門一夫が研究の一環として、髪の毛を塩酸で10時間煮込んで醤油のようなものを作ったが、とても料理に使えたものではなかったらしい。
また真偽は不明ながら中国で似たものが作られていたという話がある。

その他

  • キッコーマンなど大豆ベースの醤油は海外で人気。
というかKikkomanで普通に醤油の意味で伝わる。
学園祭などで漫才が披露される時には正義のヒーローとしても登場する。


  • 兵役逃れに醤油が使われたこともあった。(大量に一気飲みすると簡単に発熱するため。)

  • 最近ではスイーツに使われる事もある。

コロッケやたこ焼きに醤油はアリだと思う人、追記・修正お願いします。


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最終更新:2024年12月23日 15:51
添付ファイル

*1 逆に蕎麦の場合はそば粉の風味に淡口醤油が負けてしまうので濃口醤油が望ましいと言われる