登録日:2022/06/18 (土) 12:07:02
更新日:2024/10/20 Sun 14:42:10
所要時間:約 19 分で読めます
落第騎士の英雄譚とは、GA文庫で発売されているライトノベルである。
全19巻。
海空りく先生の作品の中で初めてメディア化した作品であり、執筆なさっている作品の中で最も長く続いている。
2015年には
アニメ化されており、10月から12月にかけて放送された。全12話。制作はSILVER LINK.とNexus。
監督は
大沼心、シリーズ構成はヤスカワショウゴが担当。
音楽面では海空先生の希望もあり、中川幸太郎と酒井ミキオが劇伴と主題歌をそれぞれ担当し、ファンの間で「『
スクライド』の再来」と言われる事態となった。
2022年現在、dアニメストアで全話配信中。
コミカライズもされており、ガンガンONLINEで4巻までの内容を描いてもらい、最終回は「俺たちの戦いはこれからだ!!」ENDで締めくくられた。担当は空路恵先生。全11巻。
●目次
◆あらすじ
己の魂を魔剣に変えて戦う現代の魔法使い《魔導騎士》その学園に通う
黒鉄一輝は、
魔導騎士としての能力が低すぎて留年した《
落第騎士》だった。
そんな彼は、10年に一人の天才と呼ばれる《
A級騎士》の異国の皇女ステラ・ヴァーミリオンから一方的に決闘を挑まれる。
だが、彼は周囲の予想に反し勝利してしまう。一輝は魔法の代わりに剣技を極めた異端の実力者だった。
騎士の頂点を争う戦いの中で最底辺から並み居る強敵を倒し駆け上がっていく一輝。かつての《落第騎士》は、やがて《
無冠の剣王》としてすべての騎士から注目されるようになっていく。そして圧倒的な才能不足を克服して高みを目指す一輝に、ステラは次第に惹かれていく…
(公式サイトより)
◆概要
魔法と魔法使いが存在している現代世界で、現代の魔法使いこと魔導騎士が己の強さを競い合うのが主軸になっている英雄譚。
戦いの様相は知的で中距離、遠距離戦に長けた魔法使いのイメージに反して、固有霊装と呼ばれる剣とか槍の武器で魔法と武術を繰り広げるといった、非常に武闘派な様相を呈している。
魔導騎士たる者の能力が
生まれながらの才能ではっきり規定されているという世界設定が特徴的。
使える魔法も産まれた時に生得していた魔法に限定されていて、後天的に新たな魔法を覚える事は不可能となっている。
ならば魔法の燃料としてお馴染みの魔力の保有量を底上げして
極端に強くなれば無問題かと思えばどっこい、
魔力の保有量すらも産まれた時の値に固定されていて、鍛錬、訓練等では決して伸ばす事ができないとされている。
曰く「魔力量は世界から与えられた
生まれながらの運命量」だそうな。
この様に、主人公が騎士の頂点を目指す話なのに、多種多様の魔法を覚えられなければ魔力量すらも伸ばせられないといった努力云々では決して変えようのない現実の壁に阻まれる。
おまけに戦闘原理に支配された世界(魔導騎士は学園内の競技にとどまらず、国家戦力としての在り方を求められる)なので、
「不意打ち・騙し討ち・詐欺・反則オールオッケー、むしろ推奨」
「負けたら命も女も全部奪われて当然」
という非常にシビアな作風で、その現実と自身の夢に板挟みされつつも藻掻く主人公の姿が本作の見所となっている。
しかし、シリアス一辺倒にならない様に適度のギャグとラブコメの要素が含まれているので、読みやすさのバランスにちゃんとした調整が入っている。
特にメインヒロインとのやり取りは非常に甘々である。そして最終的には……
◆専門用語
落第騎士に登場する「魔法使い」達の総称。1000人に1人の割合しか存在せず、社会的にその存在を認知されている。
魔力を保有している関係で魔力を一切帯びていない攻撃、衝撃に強い耐性がある。
総合的には、いわゆる「魔法使い」というよりは、「能力者」のイメージの方が近い部分もある。
ファンタジー作品でお馴染みの魔法に必要な特殊エネルギー。前述で語られた通り自発的に総量を伸ばす事ができない産物。諸星曰く「一日に一度だけ湧き出てくる一定量の水」。
基本的な運用としては伐刀絶技の行使に終始するが、纏えば衝撃を緩和してくれる効果があるので使い方次第では鎧の様に運用する事もできる。多くの伐刀者が非魔力系の攻撃等で傷が付かないのはこのお陰。
伐刀者が行使する事ができる魔法の総称。
悪魔の実みたいに『因果干渉系』『自然干渉系』『概念干渉系』の三系統に分かれていて、これまた
悪魔の実みたいに『因果干渉系』が他二系統よりも、希少かつ強力な能力だと言われている。
なお、伐刀絶技とは関係なく身体能力を向上させる魔法があり、伐刀者なら誰でも行使する事ができる。
一定のルールの下で伐刀絶技の自由使用が認められた伐刀者の総称。魔導騎士になるには騎士免許が必要で、それを得るには魔導騎士育成学校を卒業する必要がある。学校に通っている間は魔導騎士予備軍である《学生騎士》として扱われる関係で、入学と同時に元服が下りる仕様になる。
伐刀者としての能力に応じて、A~Fのランクが振り分けられている。ただし、Fランクの伐刀者は魔導騎士としては あまりにも能力値が低すぎるので、よほどの例外が無い場合はどの高校からも入学を拒否される。
見世物としての闘技大会で名を馳せる実力者もいるが、前述のようにその本来の役割は「騎士」の名の通り軍事力であり、「邪悪な伐刀者を倒して世界を守る」といった能力バトル的な仕事だけではなく、国家間の戦争にも普通に駆り出される宿命である。
伐刀者が抜刀絶技を行使するのに必要な『魔法の杖』。「霊装」と略して表記されることも多い。魂の一部を魔力で顕現したものであり、魔力によるものを含む尋常の攻撃では破壊されることはないが、破壊されると強い精神的ダメージを負う。
多くは武具の形をとるが、傾向にすぎず例外もそれなりにある。
肉体的ダメージを与えないようにできる「幻想形態」という機能を持っており、訓練や手加減を要する状況でも気兼ねなく振るえる。
日本一の《学生騎士》の座を巡って伐刀者達が雌雄を決する大会。9巻までがこの大会で優勝するまでの話になっている。
なお、言ってしまえばアマチュアの試合ではあるが幻想形態は使用されず、バリバリの真剣勝負となる。
切断された四肢や臓器くらいなら容易に再生してしまう最先端医療機器。
同性との間で子供を作るための設備ではない
さすがに高級設備なのだが、魔導騎士はこれを気軽に利用できる待遇を受けており、実戦はもちろん試合の場で多少やっちゃっても問題ないという体裁になっている。
本来は死ぬまで総量が変化しない魔力を訓練次第で伸ばすことが出来るようになった特殊な伐刀者。
運命を真っ向から打破する現象である『
覚醒』が起こることにより魔人になることが出来る。
一見メリットだらけに聞こえるが、運命を打破するということは同時に運命に守られなくなることを意味し、それは自殺にも等しい行為と言ってもいい。現に魔人になった者は全員生死関係なく悲惨な目に遭っている。地の文曰く「運命は人を縛ると同時に人を守っている」とのこと。
某奇妙な冒険において運命が『鎖』ならば、落第騎士の運命は『鎖』であると同時に『檻』も兼ねているイメージ。
ジョジョの奇妙な冒険の
スタンド能力のように伐刀者は必ず、攻撃力、防御力、魔力量、魔力制御、身体能力、運の六つのステータスにA~Fの9段階の評価が与えられて、A~Fの6つのランクに区分される。作中では確認できないが、これまたジョジョの様に単行本のおまけページで人物紹介と一緒に各ステータスが割り振られているパラメーターが記載されているので、そこで確認することができる。
しかし、そのおまけ要素は残念なことに途中から消滅した。
ランクの目安としては、Aが
規格外であり、BとCは優秀であり、DとEが平凡であり、Fは
論外である。大抵の伐刀者はDとEに区分されている。
◆登場人物
メインキャラクター
- 伐刀者ランク - F
攻撃力 - F 防御力 - F 魔力 - F 魔力制御 - E 身体能力 - A 運 - F
主人公。
英雄の直系血族である名家の生まれながら、その保有出来る魔力量が平均の1/10しか無いという、伐刀者としては悲惨過ぎるスペック。
普通の魔導騎士が身体にまとう防護壁を貫くのにフルパワーの一撃が必要という有様で、
実の父親から「世に出すのも恥の不良品」とされ、存在しないも同然に扱われたという育ちの持ち主。それ故に《落第騎士》という不名誉な二つ名を付けられている。
伐刀者は個々の力量に応じてA~Fのランクが設けられるのだが、作中でFの評価を貰っているのは今のところ彼1人だけ。
しかし、魔力が少ないのなら少ない魔力を1分間で使い切る事で一時的にFランクの殻を破る伐刀絶技《一刀修羅》と卓越した剣技と洞察力で戦う。
他者の技能を見て盗む観察眼、見た技術を自分のものにする反復練習に耐える忍耐力、
政治的・軍事的な物事を俯瞰・理解する頭脳など、魔力量以外の全てをその意志力と聡明さ、努力の才能で身に付けている。
妹の珠雫から「魔導騎士以外なら何やっても大成するのに」と呆れられるほどの
完璧超人。
パワーに恵まれないのを頭脳とイカサマで補う
業師タイプの主人公はラノベ界に散見されるが、
その中でも特に厳しい環境に立たされている少年である。
- 伐刀者ランク - A
攻撃力 - A 防御力 - A 魔力 - A 魔力制御 - B+ 身体能力 - B+ 運 - A
メインヒロイン。
一輝とは対照的に莫大な魔力量を秘めた天才伐刀者の少女。
二つ名は《紅蓮の皇女》。
才能が有って容姿に優れていて生まれが王族であるにも関わらず、その事を一切鼻に掛けないどころか誰よりも強くなるために修羅の道を歩くべく日本に留学してきたストイックな皇女様。
経歴だけ聞けば、堅苦しくて冗談の通じない武人に聞こえるが実際は誰よりも優しくて少し天然
で色ボケな性格をした美少女であり、母国を出たのも母国を想っての事だったりする。
最初期は刺々しい態度が目立ったが、要は勝負事に非常に厳しい性格なため。自分の中に負けた要素があればすぐ認めるし、普段の人間関係は優等生そのもの。理不尽暴力は一切見られない。
ツンデレの中でも古風なタイプである。
炎を操る伐刀者で、戦闘スタイルは「重戦車」に喩えられるゴリ押し。並大抵の攻撃は魔力による防御だけで防ぎ、攻撃すればリング全部が火の海になるので普通の伐刀者は丸焦げという極悪。
ただしその有り余るパワーがそういうスタイルに導いているだけで、バトルIQも低くない。剣士としても一輝が別次元すぎるだけでいっぱしの実力者。
実はその能力の本質は「炎」ではなく「ドラゴン」であり、それまで振るっていた能力は一側面でしかなかったことが判明し、後にますます手のつけられない暴力的な戦闘力を獲得する。
- 伐刀者ランク - B
攻撃力 - D 防御力 - B 魔力 - C 魔力制御 - A 身体能力 - E 運 - C
サブヒロイン。
一輝の実妹。ステラほどではないが彼女もまた伐刀者としての才能に恵まれた才女であったが、それが原因で人間嫌いになって荒れていた時期があったのだが一輝からの叱咤を受けて改心した。
その後は“お兄様”を慕い気遣う様になったのだが、慕い過ぎて
妹でありながら一輝を1人の女性として愛し、そしてそのラインを飛び越えて
「母、姉、妹、恋人、その他女としての正の人間関係の全てを、自分が兄に与えよう」
という斜め直上の結論に到達。それを本気で実現しようとしており、学園で一輝と再会を果たした際は
いきなりディープキス(フルネッチョ)をかましてステラを発狂させた。
改心したと言っても、結果
「兄大好きの人間嫌い」になっただけとも言う。
後に一輝とステラの交際を渋々ながら認めるものの、それでもステラに対して
小姑のような態度でネチネチと接してくる。まあ、さすがになんだかんだ兄を愛する者として信頼を置いてはいるのだが。
水を操る能力を有し、
二つ名は《深海の魔女(ローレライ)》。魔力も高いがコントロールの才能が飛び抜けており、肉体を分解・再構成する離れ業すら実現する。
伐刀者としてはBランクと高評価だが、身体能力・武術面が劣っているのもあって直接戦闘に関してはやや遅れをとる。
- 伐刀者ランク - D
攻撃力 - E 防御力 - D 魔力 - D 魔力制御 - C 身体能力 - C 運 - D
愛称はアリス。珠雫のルームメイトであり、コミュニケーションに長けた姉御肌……でオカマな青年。「兄さえいればいい」レベルの人間嫌いな珠雫を以って、兄の次に好感が持てる相手。
ランクはDと平凡の域だが戦闘能力は侮れず、影を用いる伐刀絶技によるトリッキーな戦法を披露する。
実は後述の「暁学園」の一員として送り込まれた
スパイだったが、珠雫への情から離反する。
破軍学園
- 伐刀者ランク - B
攻撃力 - A 防御力 - C 魔力 - B 魔力制御 - B 身体能力 - A 運 - D
一輝達が通っている破軍学園の
生徒会長にして学園最強の学生騎士。純粋な剣技では一輝に軍配が上がるが、電気を司る『自然干渉系』の伐刀絶技と剣術を組み合わせた必殺の伐刀絶技《雷切》は強烈の一言に尽きる。あまりに強烈過ぎて《雷切》の名がそのまま自身の
二つ名になるほど鮮烈を極めている。
そんな実力とは裏腹に、容姿・人柄はいかにもな心優しい委員長タイプ。ただし本作にはよくあることだが、性根はわりと
戦闘狂武人気質であり、強者との戦いに胸を躍らせる一面がある。《闘神》南郷寅次郎の弟子の1人。
CV:東内マリ子
- 伐刀者ランク - A
攻撃力 - A 防御力 - B 魔力 - B 魔力制御 - A 身体能力 - A 運 - A
破軍学園の理事長を務めている妙齢の美女。
二つ名は《世界時計(ワールドクロック)》。
かつては最強の魔導騎士を決める大会であるKOKで3位まで上り詰めた事があったのだが、結婚して子供ができた事を期にKOKを去った。
時を操る『因果干渉系』の伐刀絶技と二丁拳銃を使って戦う。
超広範囲の時止めや、時の巻き戻しすら可能であり、真剣での試合故シャレにならないトラブルが起きる七星剣武祭の大会運営にある意味非常に貢献する。
- 伐刀者ランク - A
攻撃力 - A 防御力 - A 魔力 - A 魔力制御 - E 身体能力 - A 運 - A
破軍学園の教師の一人にしてKOKで序列3位に輝いている最強格の魔導騎士。
二つ名は《夜叉姫》。
新宮寺とはタメなのだが、自由気ままでちゃらんぽらんな性格をした困った大人で新宮寺をよく困らせる。かつては新宮寺とは鎬を削っていた好敵手同士だったのだが、新宮寺がKOKを去ったことで心に空白を抱える事になった。
重力を操る『因果干渉系』の伐刀絶技と二対の扇子を使って戦う。格闘戦など得意そうにないちんまい容姿だが武術も卓越しており、《闘神》南郷寅次郎の弟子の1人。
- 伐刀者ランク - C
攻撃力 - B 防御力 - E 魔力 - D 魔力制御 - C 身体能力 - C 運 - F
破軍学園の教師の一人。上2名とは比べ物にならないがCランクとなかなかの伐刀者。
陰気な雰囲気に反して生徒に「ユリちゃん」と呼ばせるなど陽気に振る舞うが、とてつもなく病弱で数多の病気を抱えており、1日1リットル吐血しているらしい。
自身の受けているダメージを周囲にばら撒く伐刀絶技《血染めの海原(ヴァイオレットペイン)》の使い手で、本人の体質によって彼女自身が特に攻撃を受けるまでもなく、持病の数々によるダメージだけで周囲を激痛に悶え苦しませるという極悪な技と化している。
一輝が(無理やり)学園に入学する際に試験官の役を担った人物であり、一輝にとっては大事な恩人。
- 伐刀者ランク - C
攻撃力 - E 防御力 - D 魔力 - D 魔力制御 - B 身体能力 - D 運 - B
昨年の七星剣武祭破軍学園代表の一人。容姿はまあまあ美形だが、性格は卑劣漢そのもので、入学初年度の一輝への迫害にも進んで参加していた。
桐ヶ谷ではない。
先頭の漢字や母音、中の人が同じだから、少しややこしい。
不可知化を実現する伐刀絶技《狩人の森(エリア・インビジブル)》を武器とする弓使いで、
二つ名はまんま《狩人》。
抵抗できない相手を徹底的にいたぶり倒すが、不利な相手との勝負は棄権するという潔すぎるスタンスで、《狩人》には「『騎士』としてふさわしくない」というニュアンスも込められている。
1巻の大ボスとして一輝に完敗して物語からはあっさりフェードアウトするが、能力自体は凶悪であり、「1対1の『試合』」という舞台が彼にとって逆風なのは間違いない。
七星剣武祭の終盤に至っても一輝に強敵として回想されてたりしており、2部ではついに実戦の場に送り込まれる形で再登場、その能力を戦場で遺憾なく発揮した。
アニメ版では「闘技場でステルスしてちまちまいたぶる」という戦いが画的に面白くなさすぎるためか、《狩人の森》を使った途端フィールドが森になったり、森に引きずられてか固有霊装のデザインが植物系になっているなどのアレンジが加えられた。あと声優の怪演でキャラがひときわ濃くなった。
暁学園
七星剣武祭を崩壊させることを目的に設立された組織。
学園を名乗っているのは「七星剣武祭に参戦する」建前上のものであり、単に各方面から伐刀者をかき集めた非常にキナ臭い集団。
一輝の兄。《風の剣帝》の
二つ名を持つ、日本人唯一の学生Aランク騎士であり、力を奉じ、強くなること以外には微塵も関心のない生粋の求道者。
武術も魔力も超一流であり幼少期から勇名を馳せていたが、本気の戦いを求めて中学時代から失踪。
世界を渡り、自身の風の能力でギプスの如く己を拘束した状態で延々戦い続けるという昭和レベルのイカれた修行を積んだ結果、
曰く
常人の数十倍の筋密度を有し、見た目は普通の細マッチョながら体重はおよそ500kgという完全に人間をやめた肉体を手にしている。
奉ずるのはあくまで魔導騎士としての「力」であり、劣った力を卓越した「技」と豊富な「知識」で補う一輝のことは強者として認めず軽蔑していたが、七星剣武祭の終盤には評価を改めた。
《血濡れのダ・ヴィンチ》の二つ名を持つ少女。産まれつきの持病で体が非常にひ弱だが、描いた物を具現化する強力な伐刀絶技《幻想戯画(パープル・カリカチュア)》と筆の霊装《デミウルゴスの筆》を使う実力者。その対象はまさに何でもあり、
巡航ミサイルやら
一刀修羅なども使用できる一輝のコピー(複数人)などやりたい放題で弱点らしい弱点はない。
伐刀者であると同時に、表ではマリオ・ロッソと言う名前で活動している高名な画家でもある。画家らしく絵に掛ける情熱は人並外れていて、絵を完成させるためなら何歩でも譲歩できる画家の鑑だが、絵描き以外の物事には てんで無頓着で着ている服も
裸エプロンと
手ブラジーンズを足して割った様な
ナイスなけしからん格好をした
痴女残念美少女。
劣化裸エプロンと取るか、劣化手ブラジーンズと取るかは あなた次第。裸エプロンジーンズ先パイ。
しかも、グラマラス系ヒロインであるステラを上回るほどの巨乳の持ち主なので、その格好で動き回ると非常に危ない。
《魔獣使い(ビーストテイマー)》の
二つ名を持つ眼帯の少女。『黄昏の魔眼』なる漫画の大ファンで、その漫画の影響を受けて重度の
厨二病患者になった残念美少女。厨二病ゆえに
普段から芝居の掛かった口調で他人と接するが、本性は子供っぽい性格をしている。実父がサラ・ブラッドリリーを養子にした関係で、サラとは姉妹同士の関係を結んでいる。
能力は支配を司る『概念干渉系』の伐刀絶技《隷属の首輪》であり、首輪を付けさせた非伐刀者の人間と動物を伐刀者に変える事ができる。この伐刀絶技で自身の
メイドとペットのライオンを伐刀者に変えて使役している。ちなみに戦闘は完全に他者に預けているので、凛奈自身は弱い。
風祭凛奈の専属
メイドを務めている外国人。なぜか、歴史上の偉人と同名になっている。凛奈に絶対の忠誠を誓っていて、常に凛奈を守護する役目を背負っている。詳細は不明だが凛奈に救われた過去を持っていて、凛奈に深い恩義を感じている。その事から単なる部下としてではなく、一個人として凛奈を心から慕っているのだが、珠雫みたいに親しみの感情が行き過ぎて凛奈に
百合的な感情を抱いている。その為、凛奈に近づく者は男性 女性、果ては動物だろうと憎悪の感情を向ける嫉妬深い性格をしている。従者として凛奈が意思疎通に困らない様に、凛奈の難解な言い回しを翻訳して相手に逐一相手に伝えているのだが、翻訳内容は凛奈の可愛いらしい本性に沿っている様な文面になっている。
能力は『障壁』を展開する伐刀絶技《一輪楯花》を使う。前述の通り、この能力は凛奈の伐刀絶技によるものであり純粋な伐刀者ではない。
《凶運(バッドラック)》の
二つ名を持つ中性的な少年。
黒鉄一輝の大ファンを自称していて、一輝にサインをせがむほど一輝に惚れこんでいるのだが、一輝からはそんな天音に一切の好感を持てない事が不気味で避けられている。
伐刀者としての能力は『未来予知』で、初登場時、ナイフを持った悪漢の凶行を阻止しようとしていた。その他にも仕合に出場しようとすると、何故か対戦相手が仕合前に不調を起こしてしまい、全ての仕合が不戦勝になるという不気味過ぎる経歴がある。この不戦勝が不審に思った人はいるにはいるのだが、肝心の天音を調べても、裏工作をしたという証拠が一切出てこないので、ただただ天音の運が良かっただけで片付けられている。
伐刀絶技が『未来予知』と言うのは全くの嘘。真の能力は、偶然を司る『因果干渉系』の伐刀絶技《過剰なる女神の寵愛(ネームレスグローリー)》であり、その能力は『願った事を現実にする』。特殊能力物において、この手の能力は無制限だと強力過ぎて話が成立しなくなるので、大なり小なり厳しい制限、条件を付けていい塩梅にさせるのが定番だが、天音の伐刀絶技にはその手の制限等が一切存在しない。文字通り『願う』だけで『願った事が現実になる』というチート極まりない代物であり、戦闘となれば天音を狙うどんな攻撃も運悪く外れ、天音の素人レベルの攻撃が必殺の刃になる。
前述のナイフを持った悪漢の件も『黒鉄一輝に出会いたい』という願いを伐刀絶技で現実にした結果であり、一輝の前で未来を予知していた事を装っていただけ。ついでに言うと、一輝に惚れこんでいるのも大嘘。本当はFランクのくせに上り調子になっている一輝にムカついていて、心からの憎悪を彼に向けている。一輝が天音を好きになれなかったのも、生来の勘の良さで無意識にその事に気付いていたから。
《不転》の
二つ名を持つ厚着の少女。筋金入りの暗殺者であり、幼少期から暗殺の英才教育で何度も死にかけた過去を持つ。基本的に真面目な性格をしているが、前述の通り育ちがめちゃくちゃ悪いせいで好戦的で非常に柄の悪い性格をしている。依頼自体は完璧にこなそうとするほど高いプロ意識を見せる一方で、長年殺しに携わってきた影響で殺しで退屈を紛らわせようとする危険人物の一面を持つ。
能力は、あまねく動体物を反射させる伐刀絶技《完全反射(トータルリフレクト)》とチェーンソーの霊装である《地擦り蜈蚣》を使用する。伐刀絶技《完全反射》は正常に働けば強烈なカウンターと鉄壁の防御を同時にこなす攻防一体の奥義である一方で、認識した動体物にしか発動しない弱点を抱えているので
某レベル5のように常時展開・自動迎撃といった芸当は不可能。しかし、前述の英才教育で獲得した凄まじい動体視力でその弱点をほぼ完璧にカバーしており、その動体視力の冴えっぷりは
ステラに奇襲策を捨てさせて、捨て身の策を強行させるほど卓越している。
第2部では敵だった立場から一転してステラ達の味方として再登場を果たす。出番も大量に与えられており主人公の一人として活躍する。
《道化師》の二つ名を持つピエロ姿の男性。ピエロらしく喜々とした振る舞いが目立つ男だが、あまりに胡散臭くて他者からは訝しめられている。一方で個人主義の強い暁学園の生徒の中では珍しく協調性のあるので、まとめ役を担っているのだが、その実態は誰よりも悪事を心から楽しんでいる根っからの外道であり、その危険性は多々良を優に上回る。前述の胡散臭さは、その腐った性根から臭ってきているもの。
能力は糸を司る伐刀絶技《地獄蜘蛛の糸》と糸の霊装であり、他人の体の主導権を強奪したり、岩や廃棄物で作った人形を使役するといった、傀儡戦法を得手とする。
自身の腕を躊躇なく斬り落としている描写があることから、平賀自身も糸で操られている人形にすぎないようで、本体は別の所にいるようだ。
その正体は第2部にて対峙する凶悪犯罪者オル=ゴールであり、平賀を通してステラの存在を知り、ステラに執着するようになる。
他校
CV:
細谷佳正
貪狼学園の3年生で昨年度の七星剣武祭ベスト8の実績を持つ、見るからにガラの悪い不良。
強さを求めて道場破りをしており、綾辻一刀流の道場を乗っ取り、師範の綾辻海斗に重傷を負わせた……というと完全に悪党だが、
性根は良くも悪くもバトルマニアで、そのためには暴力を厭わないだけである。見るに堪えない外道も頻出する本作ではマシな方とは言えばマシな方。
剣士としては荒削りだが、超人的な反射神経を有する特異体質《神速反射(マージナルカウンター)》と
固有霊装を
蛇腹剣のように可変させる伐刀絶技「蛇骨刃」によって真っ当な剣士では戦い難い相手であることから《剣士殺し(ソードイーター)》の
二つ名を持つ。
一輝に敗れた後は一輝を強く
ライバル視するようになり、自ら倒した海斗に師事して修行を積んで七星剣武祭に参戦する。
前年度七星剣武祭優勝者。七星剣武祭優勝の常連である名門・武曲学園に所属している。
二つ名は《七星剣王》&《浪速の星》。
気のいい関西人の兄ちゃんだが、電車事故で両足を失い、再生治療の過酷なリハビリを乗り越えて第一線に復帰した過去を持つ苦労人。
固有霊装の槍さえ当てれば相手の伐刀絶技と霊装を無効化する伐刀絶技《虎喰い》を切り札とし、槍のリーチと卓越した武術で敵を追い詰める、意外と硬派な戦闘スタイルの持ち主。
前年度七星剣武祭準優勝者で、第3位だった浅木椛ともども諸星の友人。
二つ名は《天眼》。
理知的な人物でリサーチを欠かさず、直接戦わずとも対戦相手の戦闘能力を完全に分析し、勝利までの道筋を組み上げることができる。
伐刀絶技《白い手(ゴッドハンド)》は半径50m以内の物体を転移させることができるが、人間などは一度固有霊装を当てないと転移できない。とはいえ
七星剣武祭にはリングアウトの概念があるため、
一撃当てればリングアウト確定という
セコい戦法で結果を出してきた。
劇中では一輝と戦い、一輝の観察眼に匹敵するその分析能力によって勝利を確信する。しかし
それは「一輝が超強いサラと次戦、しかも1日空けずに戦うことが決まっているため、優勝が最大目標の一輝は一刀修羅/一刀羅刹を温存しようとする」という見通しが前提であり、一輝が同じ結論を導いて開幕一刀羅刹というカードを切ったため開始0.8秒(大会新記録)で瞬殺された。という結果だけ見るとアレだが、剣術超人の一輝に真っ向勝負で一撃当てられる見込みだっただけでも立派ではある。一応。
廉貞学園に所属している3年生の少女。
二つ名は《白衣の騎士》。
珠雫を優に上回る水使いの伐刀者であり、その伐刀絶技を用いて高度の治癒術を編み出している天才肌の美女。学生でありながら世界有数の医者でもあり、諸星の両足の再生させてあげた。本人は自身の力を医療で役に立たせることは意識しているので、他の学生騎士とは違い最強への野心は無い。しかし、自身が所属している学園の必死の頼みで仕方なく七星剣武祭に出場することになった。固有霊装はメス。
その他
CV:
速水奨
黒鉄家現当主で国際魔導騎士連盟日本支部長、そして一輝らの父。
ひらがなで書くと異常に紛らわしい。二つ名は《鉄血》であり、戦闘は行わないが一応伐刀者。
一輝がひたすらに冷遇を受け続けてきたのはひとえに彼の方針によるものであり、言ってしまえば諸悪の根源で、珠雫には蛇蝎の如く嫌われている。
その本質は、幼少期から当主となるべく教育を施されてきたがために
親として以前に個人としての感情が死んでおり、公人としての正しい在り方でしか生きることができなくなっている人物であり、悪人というわけではない。
一輝に対する扱いも、前述した「黒鉄家の恥」という面が本質ではなく、「一輝のような存在が活躍するサクセスストーリーが、劣った能力で無謀にも夢を見る伐刀者を生んでしまう」という、「魔導騎士の未来を考えての行動」という面を持っている。
つまり彼にとっては
一輝がハンデを乗り越えて成功できても問題になるので許容し難いのである。
当の一輝はこのような扱いを受けながらも恨みを募らせているわけではなく、結果を出せば認められるという期待も抱いていたのがあっけなく絶たれて一度は絶望するが、一連の事態を乗り越えて再会した際には、お互いある種の諦めを含んだ和解を実現してはいる。
日本の現内閣総理大臣その人。かつては破軍学園の理事長を務めており、黒乃は当時の教え子。
総理としての顔の裏で「七星剣武祭を崩壊させる」目的の下に多方面から強い伐刀者を「生徒」として雇い入れ、超武闘派組織「暁学園」を創設した張本人。
10年前に自身の固有霊装「月天宝珠」で10年後の東京が惨事に見舞われる様子を未来視したため、暁学園の一件も含めて未来を変えんと行動を起こしていることを七星剣武祭後に告白した。
僕の追記修正を以て、この項目を編集する!
- 登場人物の九割(主人公とヒロイン含む)が戦闘狂というのが濃いw -- 名無しさん (2022-06-18 13:08:17)
- あちゃー、記事立て先を越されちまったかw 終わり際を得損なったという意見もあるけど、新章も面白いんだよなコレ。 -- 名無しさん (2022-06-18 13:09:25)
- もし一輝がワールドトリガーのランク戦に参加したら大活躍しそうなのになぁ〜って思いながら読んでた -- 名無しさん (2022-06-18 18:54:51)
- 現在、次で最終章に入る所で止まっていたっけ。音沙汰無いけど続き書くんだろうか -- 名無しさん (2022-06-18 19:11:50)
- 終わり際を見誤った…と言うか、インフレする展開に対して主人公の厳しい設定が足引っ張ってる印象受ける。雷切とか珠雫のバトルは -- 名無しさん (2022-06-18 20:00:27)
- >続 すごく超次元バトルって感じで書いてらっしゃるだけに、剣技の描写に関しては結構限界が近いのでは…と思うな -- 名無しさん (2022-06-18 20:02:18)
- 何気に「決勝で会おう」の敗北フラグを叩き折った数少ない作品 -- 名無しさん (2022-06-18 20:14:21)
- 最後に最新刊が発売されたのは2020年の6月か。続きは書けるのか? -- 名無しさん (2022-06-18 21:58:46)
- 因果干渉っていうか運命干渉系で、戦闘開始してから近寄るだけで心臓発作が起きるとかいう、なんじゃそりゃな能力持ってる奴が居た気もする。(同能力の常時干渉で、相手が攻撃しても外れるように補正されるとかいう) -- 名無しさん (2022-06-18 22:03:00)
- アニメOPが章ボスで3パターンあった記憶 「狩人」桐原、「剣士殺し」倉敷、「雷切」東堂の順で -- 名無しさん (2022-06-18 22:19:26)
- ↑2 天音くんの能力は願ったことが現実になる(剣技の知識もないのに剣閃が常に最適な軌道になる、死ねと命じれば心臓が止まる)けど、本人が全く制御できていないのと「不随意筋の心臓が止まっても意識して動かせるトンチキ野郎」は流石に相手が悪かった -- 名無しさん (2022-06-18 22:54:20)
- 頑なに心臓発作にこだわる天音君の女神様 -- 名無しさん (2022-06-18 23:15:55)
- アニメ放送時はアスタリスクと冒頭がほぼ同じ流れだった -- 名無しさん (2022-06-19 00:00:23)
- じゃんけんで決めよう!好き -- 名無しさん (2022-06-19 07:29:39)
- ↑3女神(能力)「ミスで死にそうもないし誰かが突っ込んできて殺そうとしても対処されちゃう、対処できない大規模災害起こしたら周り巻き込んじゃうしそれでも死ななそう……いやもうこれ心臓止めるしかないじゃない!」ってことなんじゃろうな、ギャグ的にも実際に「死」を与えるにしても -- 名無しさん (2022-06-19 18:29:24)
- 一応キリコ先生いなかったらちゃんと死んでたな。試合終了後だけど -- 名無しさん (2022-06-19 19:00:04)
- アニメ二期やってほしいなぁ。せめて七星剣武祭まではやってほしい -- 名無しさん (2022-06-20 12:11:23)
- でもアスタリスクはX-MENとかインヒューマンズといった超人系アクションで、こっちは現代にも似た異世界が舞台の剣士モノって感じ -- 名無しさん (2022-06-20 12:12:50)
- 明月千里はこの作品を見習うべき -- 名無しさん (2022-06-23 19:38:08)
- ↑5 くも膜下出血とかでもよさそうだが -- 名無しさん (2022-06-23 19:55:02)
- 一輝と厳のアレは、和解というより「離れ切った現実の承認」という感じ。 -- 名無しさん (2022-06-30 19:02:55)
- 一輝と厳のあれは下手をすれば『騎士社会を乱す異分子として公然と実力で排除する』ということにもなり兼ねないよね。前科がある以上、冤罪すらやりそう。というか、最初はそれが目的だったのでは…? -- 名無しさん (2022-07-01 11:16:22)
- ↑ そういう方法で潰そうという意見も上がっただろうけど、七星剣舞祭で要注目ファイターになった人物にあまりアヤをつけたら破軍でイッキが受けた仕打ちをマスコミに調べられる。手が打ちにくくなったんじゃないかな。 -- 名無しさん (2022-07-01 20:53:59)
- ステラ王女の人柄は、某お馬さんゲーのふさふさツインテールと被る -- 名無しさん (2022-07-03 15:33:34)
- ステラは本当に希少な古風ツンデレ。あと最初の頃のストリップショーは思い切ったな。もっと薄い本増えてほしかったy -- 名無しさん (2022-10-15 23:52:43)
- ↑本作の薄い本の冊数は同時期に放送された石鹸枠の中ではトップクラス -- 名無しさん (2022-10-20 12:40:46)
- ようやく最新刊にして最終巻が発売されることが発表された -- 名無しさん (2023-07-23 09:28:53)
- ニコ百のステラの記事を見ると、伏字でナナ・テスカトリと書かれているんだよな。確かに炎を操り竜の力を持っているからね。 -- 名無しさん (2024-10-20 14:42:10)
最終更新:2024年10月20日 14:42