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メロン(植物)

登録日:2024/07/17 Wed 17:20:18
更新日:2025/02/11 Tue 11:00:23
所要時間:約 3 分で読めます








メロン(英:melon)とは、食用植物の一種である。
科名:ウリ科キュウリ
学名:Cucumis melo



【概要】

茎はつる性で、全体に細かな毛がある。葉は切れ込みの浅い掌型で、直径7㎝~13㎝ほど。夏に同じ株に雄花と雌花を咲かせ、花色は黄色で直径2cmほどとなり、同じ科だけありキュウリのそれによく似ている。
果実は品種によって様々な色合いと形状があり、真球形のものから俵型までさまざま。原産地と目される中近東には蛇を思わせるような細長い形状のものもあるという。
表皮はやや厚くて硬く、切るには包丁が必要。果肉は鮮やかな緑色やオレンジ色などで果汁も多い。かつてオレンジ色の果肉の品種は「カロテン臭」という独特の臭気があり、あまり好まれていなかったが、品種改良によってそうした臭気を抑えることに成功し、「クインシーメロン」など美味な品種が多くある。
スターバックスのフラペチーノに使われる「カンタループ」という果物はこの赤肉メロンの一系統である。
大まかに、ネットメロン(アミメロン)とノーネットメロンに分けることができ、わが国では前者を温室やまれに露地で栽培し、後者を露地で栽培する。
ネットメロンの表面のネットは言うなれば「傷跡」に相当するもの。
果実が成長するにつれて果皮にひびが入って果汁が漏れ出て、成長するにつれて固まってできたかさぶたのようなものである。農場によっては、見た目をメロンっぽくするためにワザと刃物で切れ込みを入れるところもあるんだとか。
また、ノーネットメロンも品種や栽培環境によっては、まれにネットを出すことがあるという。とはいえ、この場合はある種のストレス的反応であるといえる。

南アジアや中近東がルーツであるとされ、野生種が中国や日本などの東方に伝播して東洋系メロンであるマクワウリやシロウリに、ヨーロッパ州などの西方に伝播してマスクメロン等の西洋系メロンになったとされる。
ついでに地域によっては雑草化しているが、さすがに雑草メロンの果実は小さくて苦く、熟しても苦味こそ消えるが甘みが出ないので、食用には向かない。
これらは生物学的には別種ではなく、同じメロンという植物の変種扱い。

東洋系メロンはかなり古くから「ウリ」「カラウリ」の名称で親しまれてきた。
つまり『万葉集』などの古典文学に出てくる「瓜」とは(広義の)メロンのことなのだ。
日本には弥生時代初期の遺跡から種の残骸が出土している事から、それ以前に栽培が始まっていた可能性が極めて高く、日本の農耕史ではかなりの古参組*1である。

そうして長らく食されてきた東洋系メロンだが、西洋系メロンの台頭や食生活の洋風化により、現在では出回る数はごくわずかとなっている。
とはいえ、マクワウリはお盆の時期にはお供え用*2としてスーパーやデパートで売っていることがあるし、シロウリもかつては漬物用に栽培されていたほか、現在はサラダ野菜としての人気も出ている。

西洋系品種は日本には明治時代に導入され、現在の主流はこの系統。
導入された当時は栽培が難しく、一般人には高嶺の花であったため、昭和までは夏の果物といえばスイカ、ブドウと並ぶ地位にマクワウリが君臨していた。
有名な逸話として、早稲田大学創設者で元総理大臣の大隈重信が自邸でマスクメロンを栽培していたという。

平成頃になると品種改良や生産技術の向上によって甘味の強い西洋系メロンが一般にも普及し、東洋系メロンはあまり見られなくなった。
プリンスメロンのように東洋系と西洋系の品種を交配し、食味を良くして病害虫への耐性を強めた品種も多く栽培されている。


【花言葉】

メロンの花言葉 は「裕福」「豊富」「多産」「飽食」 である。その意味合いから、結婚祝いや出産祝いに贈られる。
そこの君、「豊富」と聞いて今何か連想したね? きみは きょうから おっぱいせいじんだ!
スイカップの亜種表現として「デカメロン」という言葉がたまに使われることもある。


【食べ方】

マスクメロンやマクワウリの果実を食べやすい大きさに切り、種子を除いてから生食する。ただし、マクワウリは種子を除く際に若干ワタが残るようにする。マクワウリはその部分が最も甘みが強いためだ。

  • 飲料
甘い香りがしていたにもかかわらず、いざ割って食べてみたらそれほど甘くなかった……ということはよくある。
でもそういう場合でも諦めちゃあダメよ。適当な大きさに切って砂糖を加えてジュースにするほか、他の果物と一緒にミックスジュースにしてもいいね!
牛乳やヨーグルトと混ぜてスムージーにすればヘルシー!
炭酸水を注げば、みんな大好きメロンソーダの出来上がり〜。20歳以上の人なら果肉や果汁何かのお酒と合わせてオトナの味わいに仕上げるのもオツ。あるいは市販のリキュールやメロンワイン、自家製の果実酒でメロンのお酒を楽しんじゃったりして。
あと、手間は要るが上半分以上の位置で切った実から果肉をくり抜いてから、それを器にするとゴージャス。

ちなみに記事冒頭のセリフはゴローちゃんのチェリオのメロンソーダへの感想だが、同製品にメロン果汁は入っていない。それも込みで「ワザとらしいメロン味」である。
チェリオ以外でも流通しているメロンソーダは無果汁のものが多く、逆に果汁入りの方がアピールポイントとなっている。
じゃあ無果汁はまがい物で劣っているのかと言えば、そうではない。無果汁は無果汁という別ジャンルの飲み物で、果汁入りとの好き嫌いはあれど、比較されるものではないのだ。

  • 製菓
甘くなかったメロンの活用法ならこっちだって!
家庭で手軽に作るならゼリーやコンポート、シャーベット。ちょっと頑張ってショートケーキやタルト、パフェ。生クリームと一緒にパンに挟んでサンドイッチにしてもいいかも!
果肉をくりぬいたメロン器にフルーツとソーダを入れればフルーツポンチ。中に生クリームとスポンジと果肉を重ねて切り分ければ、美しい断面に盛り上がること間違いなし!!

  • 漬物
スイカとは違い、熟したメロンの果皮は固いので食用にはしないが、マスクメロンを栽培するにあたって、「摘果」という作業が必要になる。
これは、養分を一つの果実に効率よく回すための作業で、質の良い果実を作るために欠かせない。摘果した果実は「小メロン」の名称で漬物にされる。
メロンを漬物に?と思うかもしれないが、摘果された未熟果はちょっと甘めのキュウリのようなもの。上で触れたようにかつてはシロウリの漬物があったし、似たようなのにスイカの皮の漬物もある。
東洋系メロンには熟しても甘くならない、もともと漬物用途の品種もある。「アルメニアンメロン」という品種がそれで、わが国のシロウリを大きくかつ細長くしたような見た目である。こちらもシロウリ同様、熟しても糖の発現はない。

  • 煮物、炒め物
こちらも小メロンの活用法。和風も中華もイケるので瓜感覚で気軽に使えばよい。肉との相性もよい。

  • サラダ
果物やヨーグルトと合わせてフルーツサラダが定番。
小メロンを野菜サラダにするのもいいだろう。
だが甘いメロンと野菜でオシャレサラダなんてのもあり。特に同じウリ科のキュウリとは相性がよい。流石に抵抗がある人はカプレーゼから試してみよう。

インドや中近東では、蛇のような細長い果実をつけ、熟しても甘くならない「アルメニアンメロン」という品種をカレーや漬物、サラダにして食する。
わが国の熟したメロンで試したらアカン飯確定だが、小メロンが手に入ったら試してみるのもよいだろう。
実は国内にメロンを使用したレトルトカレーや、メロンカレーを提供する居酒屋が実在している。

俗に言う「生ハムメロン」
味のほうは微妙だが栄養価としては普通に良いらしい。
実のところ、生ハムメロンに用いられてきたメロンは今よりも甘みが強くない昔のメロンであり、現代の甘くてジューシーなメロンとの相性が特別にいいわけではない。
いわばいまいち熟れていないスイカに塩をかけると甘味が増したように感じる、といった、不味いものを美味く食べる工夫の産物といった料理である。
イメージとしては、キュウリと生ハムを一緒に食べるほうが本来の生ハムメロンに近いのではないだろうか。まるで冷やし中華の具である。
ちなみにこの生ハムメロン、一部界隈ではこの人の好物として有名だったりする。

  • シロップ
メロンソーダやメロンかき氷でお馴染みだがだがメロンは入っていない。緑色の着色料が使用された甘い飲み物や菓子をメロンと称しているだけである。
ただし近年ではメロン果汁を使用して高級感や本格派を謳った商品もある。それこそメロン果汁100%を凍らせて削った超高級かき氷なんてのも。

パン屋さんでお馴染みだが基本的にメロンは入っていない。丸い形と網目模様がメロンに似ていることからの命名という説が有力。
ただし近年では生地にメロン果汁を入れたり、中にメロンクリームが入っている商品も普通にスーパーやコンビニにある。もちろん自家製も可能。



【関連するあれこれ】

《創作》

〈見た目がメロン〉
〈名前がメロン〉
〈好物がメロン〉
メロン果汁入りメロンパン〉
  • メロンパン(こげぱん)※中身は最高級な夕張メロンクリーム
  • メロンパンナ(それいけ! アンパンマン)※公式でメロン果汁入り
〈その他〉
〈関係ないもの〉
  • デカメロン
    • ポッカッチョによる戯曲。和訳名は「10日物語」。
      名称はギリシャ語の“deka hemerai”(「10日」の意味)に由来し、果物のメロンは全くもって関係がない。

《現実》

  • メロンバー(アイス)
  • メロンボール(アイス)
  • メロンボール(カクテル)
  • メロンブックス(同人ショップ)
    • 社名の由来は創業地である北海道の名物だったから
  • メロン肩
    • 三角筋がメロンが入っているかのごとく丸く発達している状態
  • 小池栄子(俳優)
    • デビュー当時のキャッチコピーが「宇宙一のメロンパイ」
  • 山口めろん(アイドル)
  • メロンビーズ
    • 丸型で縦筋が入ったチェコビーズの一種
  • メロンの日(日本)
    • 毎月6日。由来は「6」の字がメロンの形に似ていることから。
  • メロンの日(トルクメニスタン)
8月の第2日曜日。初代大統領サパルムラト・ニヤゾフがメロンが好き過ぎるゆえに制定した。ただしトルクメニスタンがメロンの産地であることも紛れもない事実である。
関係ないもの
  • メロン村、メロン山
    • イスラエルの地名。スペルは“meron”なので果物のメロンとは無関係。同国には同名のワインもあるが原材料はブドウ100%である。
  • キャメロン
    • スコットランド系の人名。姓名、男女問わず使われる。スペルは“Cameron”。意味は「曲がった鼻」で、外見的特徴由来のあだ名だったものが人名として定着したもので、果物のメロンは全くもって関係がない。


【余談】

  • 果物を保存する際、メロンはなるべく同居させないこと。
    これは、物質の老化を早めるエチレンガスがメロンから放出されているので、メロンの周囲に置かれた果物の傷みを早める恐れがあるためである。
    リンゴにも同様の効果があるという。
  • マスクメロンのマスクはmask(仮面)ではなくmusk(麝香)で、香りと甘味の強いネットメロンの総称。かつては「ジャコウウリ」という和名で呼ばれていたが、これは英名のmuskmelonをそのまま和訳したものである。現在はこの和名はほとんど用いられていない。
    具体的な品種としては高級品種の「アールス」ことアールスフェボリットのほか、もう少しお手頃なアンデスメロンや夕張メロン等がある。


追記・修正はマスクメロンを独り占めして丸ごと食べてからお願いします。

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最終更新:2025年02月11日 11:00

*1 わが国の農耕史の古参組にはほかに、麦や稲、蕎麦、ヤマノイモ、大豆、粟、稗、ひょうたん等が挙げられる。

*2 もちろん、甘い香りが出るまで置いておけば人間が食べてもおいしい。

*3 ただしモデルとなった艦名の由来はメロンではなく、夕張市に流れる夕張川。夕張メロンの誕生は史実の夕張の戦没後