仮面ライダー対傷だらけの天使
<昨日より続く>
横溝正史先生の「三つ首塔」は、一般的に知られている金田一耕助もののイメージと、キャリア後半になって書かれた風俗ものの中間にあるといえる、微妙な位置づけの作品です。
全編を通して、ヒロインである宮本音禰の一人称で書かれており、おっさんが女性の一人称で書くという作品がイタくなる条件の第一を満たしています。
主人公である音禰は、遠い親戚の大富豪の遺言により、遠縁にあたる高頭俊作という男との結婚を条件として百億円(昭和30年当時の金で)の遺産を相続することになる。
しかし、俊作は音禰と会うことなく毒殺され、音禰は俊作のイトコである五郎に出会って一目惚れし、そのままレイプされる。
いきなり飛ばしてます。
俊作の死亡により、遺産相続の条件が変更され、音禰を含む数人の相続権利者の間で等分することとなった。
権利者が死亡した場合は、生き残った人間の取り分が増える。
これ、もう「殺し合って取り合え」って言ってるのと同じですね。「バトル・ロワイヤル」ですか。
おまけに、この権利者たちがそろいもそろってスケベ系の悪党。
義理の父娘でSMショーをやってたり、双子の姉妹をヒロポン中毒にして3Pしてたり、昭和30年の作品としてはかなり飛ばしています。
もちろん、この悪党どもの魔の手がヒロインに迫るわけです。
そんなとき、助けに来るのはレイプ犯の五郎。この男、裏社会にも顔が利くらしく、ハプニングバーみたいな怪しげなパーティに音禰を連れて行ったりして、そのうちに音禰は完全にこの男にデレデレ状態になってしまいます。
・・・なんか、新條まゆの漫画みたいな展開ですね。
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そして、権利者の悪党たちは次々に何者かに殺されていき、音禰は警察(及び金田一耕助)に疑われたり、全身タイツ姿で監禁されたりしながら遺産相続の決め手が眠る三つ首塔にたどり着き、そこでまた五郎ともども枯れ井戸に落とされて死にそうになりますが、ここで、実は音禰を犯した五郎が本物の許婚の俊作で、俊作と思われていた死んだ男の方が五郎だったということが明らかになります。嬉しくなって、死にそうだというのにやりまくる二人。少しは自重しなさい。
まぁ音禰たちが地下でやりまくっている間に、こいつらのあずかり知らぬところで金田一耕助がいろいろと尽力してくれて、悪党軍団は仲間割れで全滅し、バカップルは地下から助け出されてハッピーエンドを迎えます。
・・・なにかが間違っているような気がします。
この作品、何度か映像化されています。
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これより以前、昭和47年には、サスペンスドラマの先駆けともいえる「火曜日の女」シリーズで、金田一耕助抜きでのドラマ化もされています。
こちらの音禰と俊作は、島田陽子と佐々木剛という「仮面ライダー」色の強いキャスティングでした。
おまけに、音禰を狙う悪党の一人として登場するのが水谷豊。アキラ対一文字隼人というトンデモない組み合わせになってしまいました。
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こちらのサイトでは、歴代の金田一作品の役柄と出演者を紹介しています。写真についているキャプションもいちいち芸が細かく、実に楽しめるますので金田一ファンの方は是非。
「獄門島」に登場する池田秀一氏の写真をポイントすると、「シャア専用」というキャプションが出るあたりなんかサイコーに笑えます。