印刷インキの世界最大手「DIC」 米社買収、売上高1兆円【経済トレンド】

2025年02月26日 07時04分
化学メーカーで印刷インキの世界最大手「DIC」。創業者の川村喜十郎が1908年、現在の東京都墨田区で川村インキ製造所を創業したのが起源だ。川村は成功を夢見て栃木県から家族を伴って上京。「顔料とワニスを練り合わせる簡単な作業で、資本が少なくても開業できる」という同郷の知人の誘いでインキの世界に飛び込んだ。(共同通信=出井隆裕記者)
後発ながら海外から導入されたばかりのオフセット印刷にいち早く着目し、研究を重ねて専用インキの開発に成功。鮮明で大量印刷が可能なオフセットの普及とともに事業を拡大した。輸入に頼っていた顔料の国産化を進め、化学メーカーに発展する土台も築いた。
太平洋戦争後はバブル経済期の1986年に米国の有力化学メーカー、サンケミカル社を買収し、印刷インキで世界トップに。米企業の巨額買収が産業界で話題となった。
創業100周年の2008年に大日本インキ化学工業からDIC(ディーアイシー)に社名を改めた。現在、印刷インキと顔料、合成樹脂の3事業を柱とし、連結売上高1兆円の規模を誇る。