IS攻撃で77人死亡、シーア派巡礼者が多数占める
イラク中部で24日、トラックに積まれた爆弾による自爆攻撃があり、77人が死亡、約40人が負傷した。犠牲者の多くはイスラム教シーア派の巡礼者。過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。
爆発現場は、バグダッドの南約100キロにある町ヒッラに近い給油所とレストランで、巡礼者を乗せたバスが停車していた。
イランやアフガニスタンからイラクを訪れていた巡礼者たちは、シーア派の聖地であるイラク中部のカルバラで宗教行事「アルバイーン」を終えて帰国途中だった。
濃い煙
地元警察幹部はBBCに対し、カルバラから南東に80キロのショマリ村近くで、給油のため停車していた4台のバスの乗客が犠牲になった、と語った。
トラックに積まれたアンモニア硝酸などの爆発物が給油所に貯蔵された燃料にも点火し、大規模な爆発になったという。
現場を撮影した写真からは濃い黒い煙が立ち上る様子や、大破したミニバスや自動車が確認できる。レストランや給油所も破壊されたもよう。高速道路には遺体が散らばっていた。
BBCのオルラ・ゲリン中東特派員は、ある場所で味方が劣勢になった時に、別の場所で攻撃を実施するのは、ISがよく使う戦術だと指摘した。同国北部にあるISの要衝モスルでは、イラク軍が奪還に向けた攻撃を進めている。
シーア派の宗教行事「アルバイーン」は、預言者ムハンマドの孫で、7世紀に生きたシーア派の指導者フセインの殉教を追悼する40日間の最終日に行われ、カルバラに何百万人もの巡礼者が集まる。今年はそれが今月20日にあたった。
フセイン殉教の日は「アシュラ」と呼ばれ、シーア派とスンニ派の分裂における最も重要な出来事とされている。
スンニ派に属するISは、シーア派がムハンマドだけでなく、その家族も崇敬の対象にしていることや、異なる教条や慣習を理由に、シーア派を背教者とみなしている。
ゲリン特派員によると、「アルバイーン」の時期にはシーア派巡礼者が頻繁に攻撃の標的にされている。カルバラには約2万5000人の治安部隊が配置されたが、一部は前線に戻ったという。
イラク当局によると、先週にはカルバラに向かっていたIS戦闘員6人と治安部隊が遭遇し、戦闘員のうち5人が射殺され1人が自爆死した。事件では8人の民間人も死亡した。
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