昨日発表されたビルボードジャパンアルバムチャート(2月5日公開分(集計期間:1月27日~2月2日))。ZEROBASEONE『PREZENT』が初登場で首位を獲得しています。
【ビルボード】ZEROBASEONE『PREZENT』が総合アルバム首位 ちゃんみな『Never Grow Up』が上昇 https://t.co/BRoAlXGgur
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年2月6日
『PREZENT』はフィジカルセールスが39万枚近くに達した一方、ダウンロードは284DL(同指標9位)、そしてストリーミングは100位未満という状況。上記CHART insightのポイント構成比では、ダウンロード(紫で表示)やストリーミング(青)よりも、フィジカルセールス(黄)の割合が圧倒的に大きくなっています。
ビルボードジャパンアルバムチャートにストリーミング指標が導入された昨年末以降、フィジカルセールスが10万台後半を記録すれば総合チャートを制しやすい一方、ストリーミングが強くないならばフィジカルセールスで強くとも翌週総合で急落する傾向がみえてきました。同規模のフィジカルセールスを記録した&TEAM『雪明かり (Yukiakari)』等の動向を踏まえれば、ZEROBASEONE『PREZENT』も似た流れをたどると考えます。
【今週の総合アルバム・チャート“Hot Albums”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年2月6日
1位 ZEROBASEONE
2位 Mrs. GREEN APPLE
3位 Mrs. GREEN APPLE
4位 Number_i
5位 ちゃんみな
6位 Vaundy
7位 Vaundy
8位 ロゼ
9位 米津玄師
10位 ちゃんみなhttps://t.co/QAlh0NPig3 pic.twitter.com/JzcSht3qyH
さて前週、143万を超えるフィジカルセールスに伴いビルボードジャパンアルバムチャートを制したSnow Manのベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』は、当週もフィジカルセールスが69,874枚と好調ながらトップ10から後退。当週は13位を記録しています。
今回の推移は、ビルボードジャパンアルバムチャートのチャートポリシー(集計方法)変更を踏まえれば予測可能なことでした。
ビルボードジャパンアルバムチャート初登場週における収録曲のソングチャート100位以内未達の状況、またストリーミング指標を導入したアルバムチャートにおける2週目の傾向を踏まえれば、チャートポリシー変更前は年間チャートで常勝といえたSnow Manが今後も安泰とはいえません。一方で、Number_iのアルバムチャート動向を踏まえればアイドル系作品のロングヒットは可能です。
デジタルを解禁しない以上、アルバム収録曲のソングチャートへの反映はほぼありません(リリースタイミングでラジオOAが伸びることはありますがしかしその期間は限定的)。他方、デジタルを解禁すればいつ何時でもフックアップされる可能性があり、またわずかでも着実に利益は入ります。フィジカルセールスを大きく阻害するわけではない以上、デジタル未解禁歌手の解禁は必須だというのが上記の動向から断言可能です。
一方、Number_iは「GOD_i」が最新のビルボードジャパンソングチャートを制したことで、勢いがアルバムにも波及。『No.Ⅰ』はダウンロードが前週比341%を記録したほか(冒頭の記事より)、ストリーミング指標が6→3位となり、総合では7→4位に上昇。デジタルを解禁していることで、歌手の勢いがよりはっきりと可視化されています。
Number_iのソングチャートにおけるチャートアクション、特にストリーミングにおけるSpotifyと他のサブスクサービスでの乖離を踏まえれば、音楽チャートにも精通するファンダムの聴取割合が他の歌手のファンに比べて大きいことが考えられますが、常時聴かれることで音楽チャートでの安定につながり、また歌手側への利益にもなっていることが読み取れます。
アイドルやダンスボーカルグループはフィジカルありき、またデジタルがフィジカルセールスを阻害するとの考えを持つ音楽関係者やコアファンがいらっしゃるかもしれませんが、デジタルとフィジカルは両立可能であり、仮にフィジカルセールスが下がってもデジタルで中長期的に補完できるはずです。日本の音楽業界全体の世界からの信頼構築という点でも、未解禁を続ける歌手や芸能事務所側のデジタルシフトは必須です。