先週、マネジメント理論の変遷を見てきました。その中では、「業務」と「人」の両面から議論がなされていました。ただ、黎明期のマネジメント理論は、組織として未発達な段階であったこともあり、経営者のマネジメントを対象とした内容が多く含まれました。一方、マネジメント・サイクルはその源流となる考え方を辿ると、管理過程論という分野に繋がります。今日はこの管理過程論について解説します。
アンリ・ファヨール
管理過程論は、20世紀初頭にフランスの起業家ファヨールが著者「産業ならびに一般管理」で提唱したことから広まりました。ファヨール自身はスーパービジネスマンでした。25歳で炭鉱技師から主任技師に昇進し、31歳で鉱山部門役員、37歳には鉱山の経営を任せられ、47歳には社長に就任します。リストラや新規事業開発を推進し、倒産寸前だった会社を見事復活させます。その経験をまとめたのが、「産業ならびに一般管理」でした。
企業活動を6つに分類
ファヨールは企業における不可欠な活動を6つに分類します。
- 技術活動
- 商業活動
- 財務活動
- 保全活動
- 会計活動
- 経営活動
今でいうバリューチェーンそのものです。
PDCAの概念も生み出す
さらに彼は企業経営の管理プロセスを示します。
- 計画
- 組織化
- 指令
- 調整
- 統制
この五つのサイクルを回し続けることが企業を経営・管理することだと主張しました。ファヨールは実務家であったため、この管理過程が経営者だけに当てはまるものではなく、個々の組織の管理者にも当てはまることを見抜いていました。その為、著書の中でも、この管理過程を、他の生産技術や販売技術、会計といった職能と同様に、管理を担う者の専門的な職能として身につけるべきであるとします。
プロ経営者だからこそ、生み出すことかできた知恵でした。またこの人が凄いのは、管理過程だけでなく、人の側面の重要性も謳っていた点です。「規則を守りつつも、思いやりある配慮してこそ企業は統治できる」と述べていました。本当に凄い実務家だったんですね。