LIXILの配当は続くのか?
投資家であるあなたは、「事業は多少厳しくても、配当が続くのなら大丈夫」と思うかもしれません。しかし、現状は厳しい状態です
表の最後の通り、24年3月期の配当を予定通り捻出した場合は、配当性向が234%となる計算です。つまり、稼いだ利益以上の配当金を、これまでの利益を切り崩しながら分配しているのです。
なぜこのような配当政策をとっているのでしょうか?
それはリフォーム需要の追い風がきているため、と考えられます。
リフォームで活路を見出せるか?
先に述べたとおり、新築需要はすでに下火であり、好転することは考えづらいでしょう。代わりにLIXILが狙うのは、リフォームによる成長です。
すでにウォーターテクノロジー事業の半分以上が、リフォーム需要によるものです。
出典:決算短信より作成
市場の予測では、住宅リフォームの市場は団塊ジュニア世代のリフォーム需要増加や、単価の上昇によって、長期的に拡大する見込みです。
出典:矢野経済研究所
この波をうまく捉えることができれば、新築需要の減少をカバーできるかもしれません。
そして、目先LIXILにとって嬉しいトピックがあります。
それは、政府の補助金です。
先進的窓リノベ事業が追い風になる
その補助金とは、先進的窓リノベ事業です。ガラス工事(既存窓のガラスのみを取り外し、既存サッシをそのまま利用して、複層ガラス等に交換する工事)や内窓工事(既存窓の内側に新たに内窓を新設する、または既存の内窓を取り除き新たな内窓に交換する工事)を行うと一戸あたり200万円まで政府から補助金が出るのです。
窓・内窓ともにLIXILの主要製品ですから、この政策は事業にプラスです。実際、最新の24年3月期3Q時点では、補助金による需要増加と値上げを行なったことで、利益率が改善しています。
出典:決算説明資料
問題はこの補助金の継続性です。参考になる文を引用します
新たに新設された先進的窓リノベ事業は、経済産業省と環境省による支援事業です。
「この事業がつくられた背景には、2050年カーボンニュートラルの実現や、それに向けた2030年度の目標達成などがあげられます。目的は、既存住宅に設置されている窓の断熱性能を高めることで、既存住宅の省エネ化や冷暖房費の負担の軽減などがあります」
この動機であれば、先進的窓リノベ事業が、中長期的に継続する可能性も考えられます。ホームテクノロジー事業で窓やドアを取り扱うLIXILにとっては、新設住宅着工戸数の減少に対応できる1つのトピックかもしれません。