環境の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 00:43 UTC 版)
性格の特徴は、研究者が当初考えていたよりも、環境の影響を受けやすくなることが示されている。性格の違いから、特定の人生経験が生じることを予測することができる。 家庭環境、具体的にはその人の両親のタイプは、子供の人格に影響を与え、形作ることができる方法を示している研究がある。メアリー・エインスワースの「ストレンジ・シチュエーション」という実験では、母親が見知らぬ人と一緒の部屋で一人で過ごすことに赤ちゃんがどのように反応したかを紹介している。エインスワースによって示された異なる愛着スタイルは、それぞれ不安-回避(Aタイプ)、安全(Bタイプ)、不安-両面感情ないし抵抗(Cタイプ)であった。しっかりとした愛着を持っていた子供たちは、より信頼され、社交的で、日々の生活に自信を持っている傾向がある。無秩序な子どもは、不安、怒り、リスクを冒す行動のレベルが高いと報告されていた。 ジュディス・リッチ・ハリスの集団社会化理論は、成人した人物の人格や行動に主に影響を与えるものは、親の姿よりもむしろその人が所属する仲間のグループであると仮定している。親子関係のような二重関係ではなく、グループ内およびグループ間での過程は、文化の伝達と子供の人格特性の環境修正の機会になっている。このように、この理論は親のスタイルや家庭環境ではなく、子どもの人格に対する環境的な影響を代表する仲間集団を指し示している。 心理学者の川本哲也による論文「生活経験からみたパーソナリティの変化:愛着の安全性の中和効果(Personality Change from Life Experiences: Moderation Effect of Attachment Security)」では、実験室での行われた話が示されている。この研究では、主に人生経験が人格の変化に及ぼす影響に焦点を当てた。そしてその結果は、「日々の小さな経験の積み重ねが大学生の人格形成に効く可能性があり、環境の影響は、愛着の安全性のような経験に対する個人の感受性によって異なる可能性がある」ことが示唆された。
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