けっ‐かく【結核】
結核(けっかく)
主に空気を媒介として、結核菌が肺に定着し感染する。発病すると、肺が炎症を起こし、その部分の組織が崩れて空洞ができる。胸部X線検査を行うと、X線写真には病巣部分が影のように写る。
結核に感染しても、多くの場合、免疫システムが作用して発病を抑えるので、実際に発病するのは10~15%程度であると言われている。発病すると、咳(せき)や痰(たん)、そして微熱が続いたり、体重が減少したりする。さらに、肺機能が著しく低下して死に至ることもある。
結核の検査には、ツベルクリン反応検査がある。体が結核菌を認識している場合、ツベルクリンを注射するとその部分が赤く腫れ、陽性であることが判る。また、非常に弱い結核菌を体内に入れ、結核菌に対する免疫を向上させるというBCG接種も行われている。
1935年~50年までの間、結核は日本における死因のトップであり、「国民病」と言われていた。その後、新規患者数は急激に減少していきたが、1997年には一転して微増し、病院や老人ホームでの集団感染が問題となっている。現在、新規患者数は年間で4万人を超え、3000人が死亡するという感染病である。
(2000.04.23掲載)
結核
結核菌、Mycobacterium tuberculosis、の感染が原因となって発症する疾患。
結核
結核
結核
世界人口の3分の1、約2億人が結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に感染(空気感染)し、感染した人(潜在性結核感染症)の10%が一生の間に発病する。特に結核高蔓延地域に住むHIV感染者はさらに結核発病率が高くなる。2005年には880万人の新規結核患者が発生し、158人が死亡したと推計され、その大半はアフリカおよびアジアである。これらの患者の95%以上は途上国に住み、しかも15-45歳の生産年齢層が患者の75%を占め、結核がもたらす社会への負担が大きい。世界的に貧富の差の拡がり、HIV感染の拡大、過去の非効率な結核対策が治療中断者および耐性化による慢性患者が増加する原因であった。途上国における診断方法としては、胸部X線検査よりも喀痰塗抹検査の方が技術的、費用的にも適した方法であり、排菌している患者を村レベルでも確実に発見することができる。一次抗結核薬はヒドラジド、リファンピシン、エタンブトール(ストレプトマイシン)、ピラジナミドであり、6-8ヶ月の標準治療で15-20米ドルの費用で可能である。2005年の目標は「患者の70%以上を治療し、治療成功率を85%以上にすること」であったが、WHO西太平洋地域だけで達成された。ここには中国、フィリピン、ベトナムの高蔓延国が含まれている。WHOは2006年に今後10年(2006-2015)の新しいストップ結核戦略を作成した。それは、特に高蔓延国におけるの拡大、HIV合併結核および多剤耐性結核対策、公的機関だけでなく民間団体も含む対策などに焦点を当てている。(下内 昭)
参考URL:WHO ホームページ http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs104/
結核
結核 [Tuberculosis]
ヒトの結核はほとんどが飛沫や塵(ちり)による気道感染であるが、まれに消化管や皮膚を経た感染もある。感染初期は結核菌がリンパ節に病変をおこし、ツベルクリン反応が陽性になる。そのままリンパ節が石灰化して治ることもるが、通常は病巣の結核菌によって病変が気管や腸管などへ広がる。種々の器管や臓器が冒されるが肺に空洞ができる肺結核が最も多い。早期の診断は胸部X線撮影や喀痰(かくたん)検査による。治療はストレプトマイシンをはじめカナマイシン、リファンピシン、イソニコチン酸ヒドラジド、エタンブトールなどの化学療法剤が効果的である。また、予防にはビーシージー(BCG)が用いられる。これはフランスのパスツール研究所で開発されたもので、ウシ型結核菌から得られた病原性がない菌株で、皮内注射法で免疫効果がある。かつて蔓延した結核は有用な化学療法剤の適用で1950年以降は激減したが、最近、再び感染者が増加する危険性が高まっているので注意が必要である。
結核
結核
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 07:42 UTC 版)
詳細は「結核の歴史」を参照 結核は、結核菌によって引き起こされ、全身の倦怠感、食欲不振、体重減少、37℃前後の微熱が長期間にわたって続く、就寝中に大量の汗をかくなどの症状をともない、咳嗽(痰をともなうこともともなわないこともある)が疾患の進行にしたがって発症してくる。かつては「不治の病」「死の病」「難病」とされ、「白いペスト」と呼ばれることもあった。 結核菌は1882年、細菌学者ロベルト・コッホにより発見され、1943年にはセルマン・ワクスマンとワクスマン研究室の学生であったアルバート・シャッツ(英語版)によるストレプトマイシンなどの抗生物質があらわれて、結核は完治する病気となって、患者はいったん激減した。 しかし、近年、学校や老人関係施設、医療機関等での集団感染が増加しており、結核治療中の患者は日本だけで約27万人にのぼり、新たな結核患者が年間3万人も増加している。世界保健機関(WHO)の推計では世界人口60億人の3分の1にあたる20億人が結核菌に感染していると発表している。これは、抗生物質の効かない耐性結核菌の発生によっており、「菌の逆襲」 とよばれることがある。また、後天性免疫不全症候群(AIDS)との結びつきが指摘され、「今や結核対策はAIDS対策でもある」 と考えられるにいたっている。
※この「結核」の解説は、「感染症の歴史」の解説の一部です。
「結核」を含む「感染症の歴史」の記事については、「感染症の歴史」の概要を参照ください。
「結核」の例文・使い方・用例・文例
- 結核
- イソニアジドは結核の治療に使われる。
- ミコバクテリアは結核のような重病の原因となる。
- 抗酸性染色検査で結核菌が見つかった。
- 多剤耐性結核
- 世界の結核患者人口
- あなたは結核にかかっています。
- あなたは結核の治療を優先させなければならない。
- 彼は結核と診断されました。
- 結核の感染者
- 最近、肺結核を患う人はほとんどいない。
- 何年か前には、結核にかかっていると知らされることは死の宣告を聞くのに等しかった。
- 結核にかかる.
- 紅潮 《結核患者のほおに現われる》.
- 彼は依然として結核と闘病を続けている.
- 消耗性疾患 《結核など》.
- 彼女は結核の治療中で, 昼食後 1 時間の安静時間をとらなければならなかった.
- 結核で死んだ.
- 昔は結核は死病と考えられていた.
結核と同じ種類の言葉
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