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MathJaxとは? わかりやすく解説

MathJax

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 02:25 UTC 版)

MathJax
開発元 アメリカ数学会
最新版
3.2.2[1] / 2022年6月8日 (2年前)
リポジトリ
プログラミング
言語
JavaScript
対応OS クロスプラットフォーム
サポート状況 Active
種別 数学ソフト
ライセンス Apache License 2.0
公式サイト www.mathjax.org
テンプレートを表示

MathJaxMathMLLaTeXASCIIMathMLで記述された数式ウェブブラウザ上で表示するクロスブラウザJavaScriptライブラリである[2][3][4]。MathJaxはApache Licenseのもとでオープンソースソフトウェアとしてリリースされている。

先行のJavaScript数式フォーマットライブラリのjsMath英語版の後継としてMathJaxプロジェクトは2009年に開始し[5]アメリカ数学会によって管理されている[6]。プロジェクトはアメリカ数学会、デザインサイエンス社、応用数理学会によって設立され、米国物理学協会Stack Exchange Networkのような多数のスポンサーによってサポートされている[7]

MathJaxはarXiv[8]エルゼビアScienceDirect[9]MathSciNet[10]n-category cafe英語版[11]MathOverflow[12]ウィキペディア(バックエンドで)[13][14]スカラーペディア、Project Euclid journals[15]IEEE Xplore英語版[16]Publons英語版コーセラAll-Russian Mathematical Portal英語版[17]を含むウェブサイトで利用されている。

特徴

MathJaxをウェブページコンテンツと一緒にダウンロードし、ページ中の数式マークアップを走査し、数式を組版する。したがって、MathJaxは読者のシステム上にソフトウェアや追加フォントをインストールする必要はない。これはモバイルデバイスを含むJavaScriptに対応したあらゆるブラウザでの動作を可能にする[18]

MathJaxはHTMLCSSの組み合わせを使用するか、対応していればブラウザのネイティブMathMLサポートを使用することで数式を表示することができる。MathJaxが数式を組版するために使う厳密法はユーザのブラウザ、ユーザのシステム上で利用可能なフォント、コンフィグレーション設定によって決定される。MathJax v2.0-betaはSVGレンダリングを導入した[19]

HTMLとCSSによる組版の場合、利用可能ならば数式フォントを使用し、古いブラウザでは画像に頼ることで、MathJaxは数式表示品質を最大限にする。Webフォントをサポートする新しいブラウザでは、MathJaxは必要に応じてダウンロードするWebフォントの包括的なセットを提供する。ブラウザがWebフォントをサポートしない場合、MathJaxは有効なフォントがユーザのシステム上で利用可能かチェックする。これが機能しない場合、MathJaxは必要な記号の画像を提供する。[要説明]MathJaxはWebフォント、ローカルフォント、イメージフォントを有効・無効に設定することができる。

MathJaxはウェブページで数式を含むためにSTIXフォントを使用する。ローカルコンピュータ上にそのフォントをインストールすることでMathJaxの組版速度が向上する[20]

MathJaxはLaTeXまたはMathMLのマークアップで記述された数学的表記を表示することができる。MathJaxは数式表示のためのものであり、LaTeXは文書レイアウト言語なので、MathJaxは数学的表記を記述するために使用されるLaTeXのサブセットだけをサポートする。[18]

基本的なWAI-ARIAの“role”と古い“altext”属性と同様に、支援技術ソフトウェアに自身のAPIを通してMathMLを公開することによって、MathJaxは数式のアクセシビリティもサポートする[21]

MathJaxアーキテクチャはダイナミックにロードしたモジュールによって将来的に入力言語や表示方法の追加をサポートするように設計されている。MathJaxはページの数式インスタンスと一緒に列挙と対話のためのJavaScript APIも含む。

ブラウザの互換性

MathJaxはInternet Explorer 6、Firefox 3、Google Chrome 0.3、Safari 2.0、Opera 9.5、iPhone/iPad Safari、Androidブラウザを含む代表的なブラウザで数式をレンダリングする。いくつかの古いバージョンのブラウザはWebフォント(@font-face CSS構文)をサポートしないので、それらはMathJaxイメージフォントモードを使う必要がある。ブラウザ互換性リストは公式サイトで入手できる[22]

プラグインサポート

MathJaxはMediaWikiDrupalWordPressJoomla!を含む多くのポピュラーなウェブプラットフォームに容易に追加することができる[23]

Node.js

MathJax は、バージョン3からNodeJSで使用できる[24]。バージョン2では、MathJax-nodeライブラリ[25]がNodeJSとの互換性を提供している。

数式エディタの互換性

ブラウザに表示されているMathJax数式は、右クリックまたはControl-クリックした場合、サブメニュー「Show Math As」でMathMLLaTeX形式でコピーすることができる。コピーした数式はMathematicaMathTypeMathMagic英語版Firemath英語版のようなMathMLやLaTeXをサポートする数式エディタにペーストできる[26]

MathMLやLaTeX形式で生成されたサードパーティの数式エディタによる数式はMathJax対応のウェブページで利用できる。

TeXサポート

MathJaxはLaTeXの数学環境コマンドを再現する。エクステンションを介してAMS-LaTeX数学コマンドがサポートされる。MathJaxはTeXマクロや、\color\underline のような種々の書式設定をサポートする[27]

MathMLサポート

MathJaxはbeta 2リリースでMathML 2.0と、MathML 3.0のいくつかのコンストラクトの部分的なサポートを追加した。MathJaxはPresentation MathMLをサポートし、さらにバージョン2.2以降、content MathMLの実験的サポートを提供する[28]

CDN

MathJaxはコンテンツデリバリネットワーク(CDN)を提供しており、MathJaxをブラウザで表示する際にJavaScriptを読み込むことができる。これにより、インストールが不要になり、また、最新バージョンのライブラリを使用することができる。このサーバーの使用量は、2011年の月間トラフィック1.3TBから、2017年には月間70TBへ増加した。サーバーのホスティングコストが上昇したため、メインのCDNサーバーは2017年4月30日に停止したが、代替のサードパーティCDNサーバーは利用可能である[29]

関連項目

脚注

  1. ^ "Release 3.2.2"; 閲覧日: 2022年10月28日; 出版日: 2022年6月8日.
  2. ^ MathJax: Rich Math display from LaTeX and MathML”. 2013年8月8日閲覧。
  3. ^ MathJax AsciiMath support”. 2018年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月7日閲覧。
  4. ^ Cuellar, Autumn; Topping, Paul (June 2013). Mathews, Bob. ed. “What you need to know about the Maths Stack”. XML London 2013: 63–68. doi:10.14337/XMLLondon13.Cuellar01. ISBN 978-0-9926471-0-0. http://xmllondon.com/2013/presentations/cuellar/. 
  5. ^ Hayes, Brian (2009), “Writing Math on the Web: The Web would make a dandy blackboard if only we could scribble an equation”, American Scientist 92 (2): 98, doi:10.1511/2009.77.98 .
  6. ^ AMS becomes managing partner of the MathJax Consortium”. 2013年8月8日閲覧。
  7. ^ MathJax Sponsorship”. 2013年8月8日閲覧。
  8. ^ arXiv.org help - What is MathJax?”. 2013年11月19日閲覧。
  9. ^ Archived copy”. 2014年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月24日閲覧。
  10. ^ MathSciNet What's New”. 2013年8月8日閲覧。
  11. ^ The n-Category Café”. 2013年8月8日閲覧。
  12. ^ MathOverflow”. 2013年8月8日閲覧。
  13. ^ Schubotz, Moritz; Wicke, Gabriel (2014-01-01). “Mathoid: Robust, Scalable, Fast and Accessible Math Rendering for Wikipedia”. Intelligent Computer Mathematics. Lecture Notes in Computer Science. 8543. pp. 224–235. arXiv:1404.6179. doi:10.1007/978-3-319-08434-3_17. ISBN 978-3-319-08434-3 
  14. ^ Extension:Math - MediaWiki” (英語). www.mediawiki.org. 2017年4月6日閲覧。
  15. ^ What is MathJax?”. 2013年8月8日閲覧。
  16. ^ New features in IEEE Xplore, retrieved 2015-04-20.
  17. ^ All-Russian Mathematical Portal”. 2013年8月8日閲覧。
  18. ^ a b Cervone, Davide (2012), “Math Jax: A Platform for Mathematics on the Web” (PDF), Notices of the American Mathematical Society 59 (2): 312–316, doi:10.1090/noti794, http://www.ams.org/notices/201202/rtx120200312p.pdf 
  19. ^ MathJax v2.0-beta now available on CDN”. 2013年8月8日閲覧。
  20. ^ MathJax Font Help Archived 2012-07-28 at the Wayback Machine. accessed 2012-08-14.
  21. ^ MathJax: Accessibility”. 2013年8月8日閲覧。
  22. ^ MathJax: Browser Compatibility”. 2015年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月5日閲覧。
  23. ^ Using MathJax in popular web platforms”. 2017年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月5日閲覧。
  24. ^ What's New in MathJax 3”. 2020年6月1日閲覧。
  25. ^ mathjax-node”. 2020年6月1日閲覧。
  26. ^ Copy and Paste Math”. 2013年8月8日閲覧。
  27. ^ MathJax: Supported LaTeX Commands”. 2018年12月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月5日閲覧。
  28. ^ MathJax MathML Support — MathJax 2.3 documentation”. 2018年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年2月14日閲覧。
  29. ^ MathJax CDN shutting down on April 30, 2017”. MathJax (2017年3月31日). 2020年6月1日閲覧。

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