・職場に新規入場者への教育の仕組みがない場合、業務マニュアルが教育用資料として使われることになる。
「新人にはとりあえずあのマニュアル渡して一通りやらせて覚えさせとけ」という具合にだ。
・当然、新人は単語も内容も理解できないので、マニュアル制作者が手取り足取り教える羽目になる。
上司に教育時間を設けるよう言っても「マニュアルあれば誰でもすぐできるようになるだろ?できないってことはお前のマニュアルに問題があるんだろ?」とこちらのせいにされて終わり。
かくして、手順を記載するはずのマニュアルに「そもそも〇〇とは~」のような説明文が追加され、資料はどんどん肥大化し読みづらくなっていく。
・新人がちゃんと覚えてくれるなら救いはあるが、「エクセルとか触ったことないっス。『詳細はタブ〇〇を参照』ってどういう意味っすか?」
みたいな「なんでこいつ雇ったの?」レベルの奴のお守りもする羽目になった。
・上司が「マニュアルがあれば誰でも業務ができるはず」という考えに固執していると非常に厄介である。
この考えは「俺が理解できなかったらそれはマニュアルが悪い」という他責志向と一体であるからだ。
・マニュアルの修正のレビューでこの手の上司がレビュアーにいると
「俺がわからなかったところは全て追記しろ」「文章で書かれてもわからないから図で書け」という要求が無限に追加され、レビューを何回やっても終わらない無間地獄に陥る。
やっとレビューが通った頃には「この程度の修正で10日もかけるな」と、遅延の張本人が言い出すというおまけつきだった。
・マニュアルが整備されることで作業ができる人は増えたが、手順をなぞるだけで内容は理解していない人がほとんどであり
イレギュラーやトラブルには対応できないので、トラブルが起こればマニュアルの作成者が対応する羽目になった。
・原因を調査しようにも、自分が何をやっているか理解してないので、状況の聞き取りだけでも一苦労だった。
やらかした当人が自分がどう操作したかを覚えていない場合は、こちらで原因を調査・推測する必要があり、かなり時間を浪費した。
一番ひどかったのは、自分より年上のおっさんから 「「記載を見落としてミスっちゃいました。再発防止策が思いつかないのでそちらで考えてマニュアル直してくれませんか」と言われたことだ。
・サーバに置いていたマニュアルを他部署が勝手に持ち出し、見よう見まねでやってみたところ上手くいかず、こちらに問い合わせしてくることもあった。
「トラブったらその都度連絡するから待っててくれ」といって、深夜まで拘束されたり
「手順通りにやったのにソフトが動かない」と言われ、一日調査した結果向こうが手順を見落として必要なソフトをインストールしていなかっただけ、ということもあった。
・拘束時間が長くて本来の業務に支障をきたすので、どうにかしてほしいと上司に行ったところ
「マニュアルあれば誰でもすぐできるんだから、それができないのはお前の作ったマニュアルが悪い」で終わりだった。
・ある時、マニュアルに見覚えのない目視での確認手順が追加されていた。
調べたところ、他部署の社員が手順の見落としをやらかし、それを顧客とのレビューで見つけられてしまい、再発防止策として追加したようだ。
追加箇所の数手順まえに、まさに今回見落とした箇所を確認するようすでに書かれているにも関わらず、同じ確認をもう一つ追加していた。
・他部署に手順が重複しているので直すようクレームを入れたところ
「顧客も上司もマニュアルなんか読んだことはないし、自分もほとんど内容を理解できていないので気づかなかった」
「この修正内容で顧客と合意しちゃったから、今さらもとに戻せない」とのこと。
・そして、自分のToDoリストに「「何かしらの修正に紛れて、今回追加された手順を消すこと」という負債が増えることとなった。
マニュアル自体は確認用とかのためにもあった方がいいんだろうけどマニュアルを運用する体制がなくて滅茶苦茶になった、みたいな話だな。 言葉を理解するにはそれに付随する経験が...