2025-03-10

anond:20250310153611

質問ポイント整理

Visaは「表現の自由配慮している」のではなく、「表現の自由理由にした訴訟回避する」ために決済制限を設けているという考えには同意する。

しかし、仮にVisa訴訟で敗訴した場合、それはそれでブランドイメージを損なうため、「これは取引禁止ではなく、マーク使用制限の話です」としておきたかったのではないか

この考え方自体は正しいと思うが、「倫理的問題のある商売に加担したくない」という建前で決済制限を設けたにもかかわらず、その管理責任は負わないというのは、ある意味無責任ではないか

Visaが「内容には関与しませんよ?」という立場を取るなら、徹底的にノータッチであるべきだが、実際には「直接取り締まりを始めている」ように見え、矛盾していないか

結局、「表現の自由理由にした訴訟回避」「ブランド保護」「倫理的責任回避」「実際の取引制限」の間でVisa対応一貫性がなく、どっちつかずになっているのでは?

と言う趣旨質問ですね?

この点について、Visaがなぜこうした動きを取るのかを、法的・ビジネス的な観点から説明する。

① 法的な理由訴訟リスク規制リスク回避するため

Visaグローバルに展開する金融企業であり、各国の法制度に従う必要がある。ここで重要なのはVisaが直接「取引の内容」を管理しているわけではなく、決済ネットワークとしての立場を維持しながら、一定リスク管理を求められるという構造 になっていること。

(1) 訴訟リスク回避

Visaが「表現の自由」について直接的なスタンスを取らない理由ひとつは、企業として訴訟に巻き込まれリスクを避けたいから。

もしVisaが「特定取引禁止する」と明確に宣言すると、それを不服とする団体企業から訴訟を起こされる可能性がある。

例えば、「表現の自由侵害された」としてクリエイター団体が訴えるケース。

「我々の取引だけを不当な理由で止めた」として、特定業界団体独占禁止法違反を主張するケース。

📌 結論:「表向きはノータッチ」を貫くことで、Visaはこうした訴訟リスクを最小限に抑えようとしている。

(2) 金融業界としての規制リスク

Visaは国際金融システムの一部であり、各国の政府規制機関FATF米財務省OFACなど)の圧力を受ける立場 にある。

金融機関には「マネーロンダリング防止(AML)」や「テロ資金供与防止(CFT)」の義務があり、犯罪に関与する取引拒否する責務がある。

政府機関特定取引を「リスクがある」と判断した場合Visaはそれを無視できない。

例えば、米財務省OFAC(外国資産管理局)が特定団体や国に対して制裁を課す場合Visaはその指示に従わなければならない。

📌 結論:「決済ネットワークから関与しません」とは言いながらも、法的には一定リスク管理を求められるため、完全なノータッチはできない。

ビジネス的な理由ブランド保護パートナーシップ維持

Visa特定取引制限をかけるのは、単に法的な理由だけではなく、ビジネス上のリスク管理としても必要から だ。

(1) ブランドリスク回避

Visaグローバルブランドであり、消費者パートナー企業の信頼を維持する必要がある。

もしVisaが「問題のある取引」を許可すると、社会的批判不買運動につながる可能性がある。

例:「Visa児童ポルノ取引許可している」と報道されれば、大規模なブランドダメージになる。

例:「Visa違法ギャンブル詐欺的な取引を黙認している」と批判されると、金融当局から監視が強まる。

このため、Visaは『問題があるかもしれない取引』については、できるだけ距離を取ろうとする。

ただし、「企業検閲をしている」と批判されるのも避けたい。

そのため、「特定取引制限するが、内容には関与しません」という矛盾したポジションを取る。

📌 結論:「ブランドを守るために取引制限するが、検閲しているとは見られたくない」というジレンマの中で動いている。

(2) パートナー企業銀行・加盟店)との関係

Visa単独で決済を提供しているのではなく、加盟店(ECサイトサービス提供者)や銀行と協力してシステム運用している。

もしVisaが「問題のある取引」を許可すると、加盟店や銀行側がリスクを感じてVisaとの取引を見直す可能性がある。

例:「Visa違法コンテンツ取引許可しているなら、うちの銀行Visaを通じた決済を取りやめます」という判断が起こり得る。

逆に、「Visaが厳格に規制をするなら、うちの銀行安心してVisa契約できます」という形で、取引関係の安定につながる。

📌 結論Visa銀行や加盟店との取引を円滑にするために、ある程度の規制を行う必要がある。

③ なぜ「マーク使用制限」という形を取るのか?

Visaが「特定取引禁止する」のではなく、「ブランドマーク使用制限」をかける理由は、直接的な法的責任回避するため だ。

「この取引禁止です」と言うと、Visa自身監視責任を持たなければならなくなる。

しかし、「この取引Visaブランドマークは使えません」とすることで、あくまで「ブランド管理」の問題すり替えることができる。

これにより、企業自主規制範囲として処理し、直接的な法的責任を負わずに済む。

📌 結論:「取引禁止」ではなく「ブランドマーク使用禁止」という形式を取ることで、Visa法的責任監視負担を最小限に抑えられる。

結論:「Visa矛盾しているが、合理的理由がある」

あなたの指摘する「Visa矛盾していないか?」という疑問は、確かに一理ある。ただし、その矛盾は法的・ビジネス的なリスク管理の結果として生じているものであり、完全に回避することが難しい。

✅ 法的理由: 訴訟リスク規制リスクを避けるため、企業として「直接関与はしない」という建前を作る必要がある。

ビジネス理由: ブランドイメージを守り、銀行・加盟店との関係を維持するために、一定コンテンツ制限をせざるを得ない。

✅ 実際の運用: 「表向きはノータッチ」と言いながらも、現場レベルでは決済を止めており、企業ガバナンスが一貫していないように見える。

矛盾回避策: 「取引禁止」ではなく「ブランドマーク使用制限」という形式にすることで、法的責任監視負担回避する。

📌 つまりVisaは「完全なノータッチ」でいることは不可能だが、訴訟規制ブランドリスクの間でバランスを取ろうとしている結果、矛盾が生じているというのが実態

質問の返し

Visaの決済制限が「矛盾しているように見えるが、法的・ビジネス的に必要とされている理由」は納得できた?

しまだ疑問があるなら、「どの部分が特に納得できないか?」を教えてほしい!

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      • オッケー、じゃあひとつづつ説明するね 1の「特定の国では「児童ポルノ」に当たらないコンテンツでも、Visaの基準では「児童性的虐待資料」として扱われる可能性があります。」は、...

        • ② 訴訟リスク vs. ブランドイメージ保護 Visaが表現の自由の侵害と批判されるのを避けたいのは、それがブランドイメージを損なうから でもある。 例えば、Visaが「この取引は禁止」と...

          • 「「表現の自由に配慮している」のではなく、「表現の自由を理由にした訴訟を回避する」のが本当の狙い」 いやそうだと思うよ…そう言ってるじゃん。 まあ確かに私企業がそれで詰め...

            • 質問のポイント整理 Visaは「表現の自由に配慮している」のではなく、「表現の自由を理由にした訴訟を回避する」ために決済制限を設けているという考えには同意する。 しかし、仮にV...

              • 別にVisaにその矛盾を回避しろとか言ってないし… そんでこっちの読解力が中高レベルだとか言って馬鹿にしてた話はどうなったの? 結局なんか間違ってたの?

                • この考え方の「ダメな点」を整理すると、主に以下の3つのポイントがある。 Visaの決済制限の背景には、単なる「言論の自由回避」だけでなく、多様な法的・ビジネス的要因が絡んでい...

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          • 「公共性の高い企業」としての議論の中で、Visaが特定の取引を拒否することが「表現の自由の侵害」であるとする論陣に立って表現規制云々の論を言ってるんだろ ローザパークスが捕ま...

            • Visaのような企業が決済を拒否することは、かつての人種差別のように、将来的には違法とされる可能性があるのでは?という質問の趣旨ですね 結論から言うと、「児童ポルノの取引を...

              • https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%95%E3%83%88%E5%AF%BE%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%94%B1%E9%80%A3%E5%90%88%E8%A3%81%E5%88%A4 アメリカってフィクションの児童ポルノに関して...

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