新型コロナウイルス感染症を巡り、抗体検査の「誤用」が相次いでいる。感染歴を調べる抗体検査は「今感染しているかどうか」の診断に使えないが、「陰性証明」のような誤った活用が目立つ。感染症対策を検討する厚生労働省の「アドバイザリーボード」(座長=脇田隆字・国立感染症研究所長)は「適切とは言えない検査が実施されている」と警鐘を鳴らす。 【図解】コロナふまえた避難所のあり方 抗体は、体内に侵入したウイルスなどから体を守るために作られる物質。検出可能になるには感染後2週間程度必要なため、検査時点の感染の有無は確認できない。抗体がどの程度の防御機能を持つかや持続期間も未解明で、検査で陽性になっても再感染しない保証はない。 だが、抗体検査を「陰性証明」に使う例が相次いでいる。集団感染が発生した東京都新宿区の劇場では、体調不良を訴えた出演者1人が抗体検査で「陰性だった」ことなどを理由に出演を継続し、その後陽
