少なくとも橋下徹さんよよりは篠田英朗さんの方が現場のことを知ってると多くの人が判断すると思われます。つまりお得意の「俺に抵抗するやつは現実を知らないやつらだ」「学者は現実を知らない」などのレッテル貼りで黙らせるという戦法が通じません。この状況で橋下さんが篠田先生にファイティングポーズを取り続けられるのかどうかは興味あります
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ハマスによるイスラエル領内での凄惨なテロ攻撃に対して、イスラエルが苛烈な報復攻撃を始めた。ハマス(あるいは「ハマス等テロリスト勢力」)のテロ攻撃は凄惨であるだけではない。ガザ地区住民の生活を犠牲にして、イスラエルの過剰反応を引き出すことを狙った行為だと言わざるを得ない点で、極めて残忍なものだったと言える。 ハマスの勢力は、ガザ地区内でも、海外からの支援の面でも、減退気味であった。暴発的な作戦を行い、イスラエルに過激な反応をさせることによって、あらためて存在感を高めることを狙った行為であったと言える。それに対し、イスラエル政府も、イスラエルとの連帯を表明した欧米諸国も、ハマスの計算通りに過剰反応しようとしているようだ。 イスラエルでは、悪評高い司法改革で、ネタニヤフ首相が支持を失っていたところだった。自らの保身のための起死回生の作戦とすることを狙っているかのような扇動的な態度で、ハマス撲滅の
評論家の橋下徹氏がウクライナ危機に関する発言が物議を醸しだしている。ウクライナ人は国を捨てて逃亡するべきだ、といった趣旨のことを主張している。キャスターの玉川徹氏も、ウクライナは早く降伏して命を守るべきだ、と主張している。 日本のテレビ界は怖いところだ。このようなウクライナ人の決死の努力を馬鹿にするかのような主張が「命を最優先にすべきだ」といった原理的な文言とあわせて流通してしまうのだから。 すでに多くの人々が批判をしているが、現代日本の閉塞を象徴しているようにも思われるので、あえて書いてしまう。説明は不要とも思われるが、ロシアよる占領では、多くの人々が粛清される。命を守る、といっても、降伏さえすれば全員が生き残れるという保証があるわけではない。逃亡すればいいと言われても、逃亡中に命を落としているウクライナ人も多数出ている。降伏後も逃亡後も、抑圧・困窮は必至で、命がけの生活だ。ロシア支配下
大阪府庁のすぐ近く、大阪城正面の大手前交差点にある公益社団法人國民會館で、武藤記念講座の講演をさせていただいた。「憲法と安全保障:国軍としての自衛隊を憲法は禁止していない~悪いのは憲法ではなく憲法学通説~」という内容だったが、冒頭では「橋下徹氏のウクライナ降伏論」について語らせていただいた。 私は、評論家としての彼の活動には関心がなく、橋下徹氏のツィッターをフォローしてもいない。ただウクライナ情勢をめぐる「降伏」論については、大きな話題になったので、ニュース媒体を通じて見た。そして、不愉快になり、拙文を書いた。一カ月ほど前のことだ。 橋下徹氏・玉川徹氏は日本のお茶の間平和主義の象徴か アゴラ これが橋下氏の逆鱗に触れ、その後、かなり頻繁に私についてツィッターで言及しているようである。 ウクライナ侵攻巡り橋下徹氏が国際政治学者の篠田英朗氏を侮辱しているとネット批判 niftyニュース またま
ウクライナのクルスク侵攻で見えた日本の言論空間の事情 ウクライナ軍がロシア領クルスク州への侵攻を開始してから、約一か月がたった。初期の段階では、一般の方々のみならず、数多くの軍事専門家や国際政治学者の先生方の間でも、ウクライナの「戦果」を称賛する高揚感が広がっていた。今にして思うと、瞬間的なお祭り騒ぎのようだった。 他方、私は、ウクライナのクルスク侵攻の意義に、かなり懐疑的だった。そのため、孤独な心細い気がしていた。SNSレベルでは、あいつは親露派だ、老害だ、といった評価もいただいていた。 しかしウクライナに不利な戦況は今や明らかだ。ウクライナ軍のロシア領クルスク州国境地帯への侵攻は、膠着状態に入った。その一方でロシア軍はドネツク州を中心とする東部戦線で、急速な支配地の拡大を続けている。 果たして日本の言論空間は、これからどうなっていくのか。 疑問の残るクルスク侵攻作戦の意味 ウクライナが
長崎市が8月9日の平和祈念式典にイスラエルを招待しなかったため、エマニュエル駐日米国大使やロングボトム駐日英国大使らも式典を欠席することになった。7月19日付で、G7各国と欧州連合(EU)は、イスラエル不招待への懸念を表明する書簡を長崎市に送付していたという。 長崎市の鈴木史朗市長は、8日記者会見を開き、「政治的な理由でイスラエル大使に招待状を出さなかったのではなく、あくまでも平穏かつ厳粛な雰囲気のもと、円滑に式典を行いたい」からだと説明しつつ、G7大使欠席によってイスラエルを招待しない判断を変えることもしない、と述べた。同時に、鈴木市長は、「(イスラエルが)紛争当事国であるからこそ呼ぶべきだと思っている。でも、呼んだことによる式典に与える影響を鑑み、総合的に判断した」とも述べた。 この問題については、賛否両論が生まれているが、幾つかの異なる次元の問題を整理しておきたい。 第一は、イスラエ
トランプ米国大統領が、ゼレンスキー・ウクライナ大統領を「まあまあ成功したコメディアン(a modestly successful comedian)」と描写する表現から始まるSNS投稿で、「選挙のない独裁者」と呼んだことが、大きな話題となっている。 pic.twitter.com/PMcrOwXejI — Donald J. Trump (@realDonaldTrump) February 19, 2025 この投稿で、トランプ大統領は、アメリカがウクライナに提供した3,500億ドルの巨額さを訴えた。それは欧州が提供した資金よりも圧倒的に多額で、しかも大半が使途不明になっているとも指摘した。そのうえで戦争は、ゼレンスキー大統領とバイデン前大統領によって引き起こされたものだが、今やトランプ政権がそれを終わりにする、と主張した。 一斉にトランプ大統領の人格を否定をする感情的な声が巻き起こった
ロシア・ウクライナ戦争の深刻さが増している。そのニュースを見ながら、日本では頓珍漢な議論が横行している。 おそらく危機になればなるほど、日本社会に根差した平時の思考では対応できなくなる。それを率直にふまえた上で、冷静な情勢分析や、重要な判断の検討をするのが、当然であるはずだ。ところが「もうこういうややこしいことは終わりにしてほしい」というお茶の間のテレビ視聴者の要望に応えようとする文化人などが、小学校あたりで習ったかのような紋切り型の世界観を振り回して、「こうしろ、ああしろ」、という独断に満ち満ちた説教をするので、話はややこしくなる。 紋切り型の第一は、「侵略者が来たら降伏しよう」論である。降伏さえすれば、世界の問題は全て解決する、といった話は、全く現実とかけ離れている。ところが日本では、憲法学者の書いた教科書に書いてあるだけでなく、学校教育などにも相当入り込んでいるので、厄介である。 個
東京オリンピック・パラリンピックは、日本が国際社会で生き残れるかどうかの大きな試金石になるかもしれない。 小山田圭吾氏に続き、絵本作家のぶみ氏がオリパラの役職から辞任し、開閉会式の「ショーディレクター」を務める小林賢太郎氏も米ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)」から抗議を受けて、電撃的に解任された。 国際社会の標準的な価値観に真っ向から挑戦している内容を伴っており、いずれも深刻である。女性蔑視発言による辞任が相次いだオリパラだが、開会直前になってメガトン級の価値観をめぐる争いを、日本の電通・博報堂が主導するオリパラ準備チームが仕掛けている流れだ。 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開会式および閉会式コンセプト」なるものが、開会式直前になって出された。 「復興五輪」などの従来から語られてきた理念が盛り込まれなかったことが話題になるとともに、謎めいた英
トランプ大統領の就任から一カ月で、国際情勢は大きく変わった。その象徴が、ウクライナとロシア共和国の間の紛争の早期終結を要請する国連安全保障理事会決議2774だろう。 Resolution 2774 (2025) United Nations 短い文章の決議だが、ロシアの全面侵攻以降では初めて安保理が決議を採択できたことが大きい。紛争の早期終結が「国際の平和と安全に主要な責任を持つ」国連安保理の意思であることが表明された。この要請は、全ての国連加盟国に対して、適用される。「要請」について、安保理は、比較的珍しい「implore」という語を使った。強い表現である「request」などと比べて弱めなのは、国連加盟国が遵守しなければならない具体的な要請内容がないからだろう。しかしそれにしても、今後は戦争の継続を望むことは、国連安保理2774に反することになるわけで、その意味は小さくない。 欧州5カ
ゼレスキー大統領との口論事件の後、バンス副大統領叩きが、流行しているようだ。もともとトランプ大統領が気に入っていない方々であったわけだが、バンス副大統領は、さらに輪をかけて悪い奴だ、しかも小物だ、という侮蔑の言葉を頻繁に見かける。 日本人は一般に彼のような歯切れのよいタイプは嫌いなようである。批判も、ほとんどがイメージ先行での人格批判の侮蔑ばかりである。特に「ウクライナ応援団」界隈では、「トランプ大統領がいつか豹変してくれるのではないか」という期待があるので、横にいるバンス副大統領の存在が邪魔で仕方がないらしい。 バンス副大統領が、トランプ氏によって副大統領候補に選ばれた昨年7月、私は、彼の著作を読んだりして少し調べてみて、これは大変な実力者である、という趣旨の文章を書いた。 ヴァンス副大統領候補を侮るべきではない 篠田 英朗
参議院選挙まで2週間を切ったところで、党首の神谷宗幣氏の過激な発言が目立つ参政党の支持率が急上昇していることが話題のようだ。ただ、その他の新興の政党も支持率を上げ気味だ。基調は、自民党の支持率が低下の一途をたどっていることである。そ... 疑問形の題名にしたとはいえ、当時の私の現状認識は、間違いであったことになった。自民党の徹底したイメージ戦略選挙が、状況を覆した。 もっとも流動化を作り出している状況の分析そのものは、私の分析と、自民党の広報担当(あるいは自民党が雇った広告代理店)のそれとは、同じだったようだ。自民党の課題は、高齢者層に支持者が偏ってしまったことなので、現役層への切込みが必要だったことだ。また、自民党の最大の強みは冷戦期から日米同盟体制を運営してきた政権党であったことなので、石破政権時代のように、そのイメージが弱まると不利になるので、立て直しが必要だった。 55年体制が崩れ
アメリカ大統領選までのタイムリミットが迫るウクライナロシア・ウクライナ戦争の戦況は膠着している。アメリカなどに提供された兵器をロシア領内の目標に対して私用することが「許可」されたといったニュースもあったが、劇的な変化をもたらす要素には見えない。ゼレンスキー大統領は、イタリアのG7会合やスイスで開催された「平和サミット」を続けてこなしたりして、外交を通じた支援の維持拡大に向けた努力にも余念がない。だが支援国と懐疑的な国の構成や様子に変化はなく、こちらも膠着状態だ。 そもそも昨年夏前から「反転攻勢」を仕掛けたのは、アメリカの大統領選挙の選挙戦が本格化する前に、戦場で武器支援の結果を出しておきたかったからだろう。その成果は芳しくなく、責任を取る形でザルジニー総司令官が更迭された。ただしこれは政策の変化を意味せず、戒厳令を根拠にした大統領任期の無期限延長状態に入ったゼレンスキー大統領は、従来の姿勢
アメリカとイスラエルが新たなイラン攻撃に踏み切った。この事象をどう見るべきかについては、別途『The Letter』の方に書いておいた。 米国とイスラエルのイラン攻撃は、技術的優位による標的殺害の成功に依拠したが、体制転換の戦略的な見通しの裏付けを欠く「賭け」である。イラン側は、即時に報復や最高指導者の死亡の発表などを行っており、むしろ政府内の指揮系統が機能している様子が見ら... ここでは、日本がこの事態にどのように向き合うべきかについての雑感を記しておきたい。 今回のアメリカとイスラエルの攻撃は明白な国際法違反であり、もはや議論の余地はない。もちろん、アメリカが国連安全保障理事会で拒否権を持っている以上、この攻撃に対する制裁が国際的に導入される可能性はない。 この状況において日本政府は、ほとんど何も言っていないに等しい声明でお茶を濁している。国際法違反であることを認識しながら、米国の同
5月31日、米国のバイデン大統領が、三段階の構想からなる「イスラエルの停戦案」を発表した。これに対してハマス側が、前向きに検討するという声明を出した。ところがイスラエル政府では、一斉に反発の声があがり、ネタニヤフ首相も「ハマスの壊滅まで軍事作戦を止めることはない」と述べ、事実上、「停戦案」を否定した。 通常は、配慮を施した交渉によって紡ぎ出される停戦合意案が、唐突に第三国であるアメリカから発表されるだけでも、異例である。しかもアメリカが「イスラエルの停戦案」と呼ぶものを、イスラエルが拒絶しているのは、奇異な事態である。それにもかかわらず、「停戦案」が成立しなかったら、アメリカはなんとか理由をつけてハマスを糾弾し続けようとするのだろう。かなり混乱した状況である。 バイデン大統領は、イスラエル政権内の一部の人間の意見で「イスラエルの停戦案」なる脚色を思いついてしまったのか。あるいはネタニヤフ首
国際"EU flags fly in a row in front of the European Commission building in Brussels, Belgium" 8月15日にトランプ大統領とプーチン大統領の会談が行われる。この会談の決定それ自体をめぐって、すでに日本の「ウクライナ応援団」界隈では、一斉に憤りの声があがっているようだ。 MAGAインフルエンサーが領土の割譲に後ろ向きなゼレンスキーへの批判を強めている。トランプもウィトコフも不動産開発出身、そこに住む人たちの暮らしを守るという発想力が欠けている。 https://t.co/KUDX76YmaH — Tetsuo Kotani/小谷哲男 (@tetsuo_kotani) August 9, 2025 ゼレンスキー大統領は、会談の行方に懸念を示す声明を出した。日本のメディアは、欧州指導者がトランプ大統領に反発し
安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。蛮行を非難すると同時に、安倍元首相のご冥福を謹んでお祈りする。日本の外交史に大きな足跡を残された方であった。この機会に、そのことについてあらためて考え直してみたい。 安倍元首相は、日本国内では、右派としてのイメージが強く、国粋的な傾向が強かったとみなされている。他方において、訃報に際して、世界各国から哀悼の意が表明されたことからわかるように、国際的には多国間協調主義を推進した人物であった。 安倍元首相が官房長官として仕えた小泉純一郎氏と比しても、安倍元首相の場合には、価値観を前面に押し出す傾向が強かったように思われる。それは国内のイデオロギー対立の構図では、右派の国粋主義者としてのイメージにつながった。他方において、国際社会においては、「自由・民主主義・法の支配」の普遍的な原則を推進した国際主義者としてのイメージにつながった。愛国者としてのイメージと、多国間協
ロシア・ウクライナ戦争の停戦協議が、じりじりと進んでいる。今やゼレンスキー大統領のウクライナ政府も、「20項目の和平案」を出し、ドネツク州に経済特区を設置するといいう対案を出してくるところまで来た。「20項目の和平案」については、まだまだ非現実的な要素がある。さらなる協議が続くだろう。しかし対案に対案で応じるやり取りが見られるようになっている。トランプ政権発足前と比べれば、すでに大きな変化が訪れていることは明らかである。 この状況で、苦しい立場に陥っているのが、「ウクライナは勝たなければならない」と「主張」してきた、世界中の「ウクライナ応援団」の方々である。もうウクライナは勝たなくていい、とは言えないので、過去の言説については黙っているか、微妙な修正を加え始めている。しかしまだ停戦を支持はしたくないため、とにかくいずれにせよ何とか戦争が続いていくことを望んでいるようである。 本稿は、トラン
トランプ大統領によるロシア・ウクライナ戦争の停戦調停が本格化しようとしてきている中、「ウクライナは勝たなければならない」主義の方々が、トランプ大統領は、1938年ミュンヘン会談の「宥和主義」の過ちを繰り返そうとしている、と主張している。 この主張は、どこまで妥当だろうか。 われわれは絶えず歴史から教訓を導き出し、そこから学びを得ようとする。時代は変わっても、人間の社会に一定の共通性のあるパターンが起こりうることは確かだからだ。 他方、人間の歴史に、全く同じ事柄など発生したことはない。歴史の教訓なるものは、常に歴史の解釈者側の関心によって生み出されるものでしかない。関心が過度に偏っている場合に、歴史的事実の軽視や歪曲も度外視されてくることもある。ある一つの歴史的事件から、全く異なる立場の人々が、全く異なる教訓を引き出してくることは、よくあることである。 1938年ミュンヘン会談の「教訓」とは
イスラエルのイランに対する報復措置の実行が懸念されている。イスラエルにとっては、ガザ、西岸、レバノン、イエメン、イラク、シリアでの軍事作戦に重ねて、イランとの軍事的対立も激化させていこうというのだから、普通では考えられない状況にある。 しかし始めてしまった軍事作戦を終了させる前に、そしてアメリカの大統領選挙あるいは新大統領の就任前に、できるだけ優位な状態を作り出してしまいたい、それによって自身の国内政治での立場の強化を図りたい、という動機づけが、ネタニヤフ首相に強く働いてしまっている。 ハマスの最高指導者として知られるイスマーイール・ハニーヤ政治局長が、テヘラン滞在中に殺害された、というニュースが世界を駆け巡った。その半日前には、レバノンのヒズボラの最高位の軍事司令官フアド・シュクル氏が、空爆によって殺害された。「実行声明... 遂にフランスのマクロン大統領までイスラエルへの武器供給を止め
米国ニューヨークの名門コロンビア大学で事件が起こっている。イスラエルのガザ侵攻と、それを支援するアメリカ政府に抗議する学生の集団が、キャンパスにテントを張り、いわば座り込みをする運動を始めたのである。これに対して大学側が警察による取り締まりを要請し、100人以上の逮捕者が出た。学生グループはあらためてキャンピングを始めた。警察との小競り合いが続いている。他方で、この学生たちの動きは、ハーバード大学など他の米国の有力大学にも波及している。 ガザ危機の問題の射程が、世界の知のあり方の問題になっていることを示す動きである。ガザ危機が、単なる地域紛争や、民族自決の問題ですらなく、世界的な思想戦となっていることを、われわれも知っておかなければならない。 コロンビア大学は、もともとリベラルな校風が特徴である。1960年代末にもベトナム反戦運動で大きな学生運動が起こった。私自身はコロンビア大学に2002
米国で共和党全国大会が開催され、暗殺事件をかいくぐったトランプ前大統領が正式に大統領候補として指名された。注目は、秘匿されていた副大統領候補が、J.D.ヴァンス上院議員となったことだ。 ヴァンス氏は、すでに広く報道されている通り、ラストベルト/スィング州の典型であるオハイオ州選出の39歳の若手である。 特筆すべきは、貧しい労働者階級の町で離婚と薬物中毒を繰り返す母の貧困家庭で育ったこと、高卒で海兵隊員となってイラクで従軍した経験を持つこと、除隊後に苦学してオハイオ州立大学からイェール大学に進んで弁護士資格を取得した異例の経歴を持つこと、二年前に浪人中のトランプ大統領の支持を受けて当選したこと、などだ。 自身の半生をつづって2016年に公刊した『ヒルビリー・エレジー』(邦訳は2017年)は、ラストベルトの貧困家庭の出身でありながら、海兵隊での経験と大学での苦学をへて、エリート高額所得層に入っ
シリアのアサド政権が崩壊してから、情報が混乱している。シリアの知識が浅い方々が奇妙なことを言っているから、ではない。長年シリアに関わってきた方々が、「アサド派の〇〇を糾弾せよ」の日本国内の特定人物の誹謗中傷ばかりに熱を入れているからだ。 もちろん事態は依然として流動的である。確定的な未来を予測するのは難しい。だがそれだけに、注意しておくべき点に注意を払う姿勢は、失うべきではない。 1.政権の内実 当然の話だが、新政権の内実には、必ずしも明らかではないところがある。巷では、HTS(タハリール・アル=シャーム)中心の勢力が、どれくらい旧政権関係者に復讐をするのか、少数民族集団などをどう扱っていくのかが、大きな焦点になっている。HTSがアルカイダか否か、といった物語をめぐって人格攻撃にも至る口論が起こっているが、すでに以前の記事で述べたとおり、そのことを字面通り受け止めて論争することには、あまり
橋下徹氏のウクライナ情勢をめぐる発言が、次々と物議を醸しだした。ウクライナは降伏せよ!NATOは「妥結」を達成せよ!ウクライナ人は津波から逃げるようにジェノサイドから逃亡せよ!と無理筋の指示を次々と出し続ける。そのあげく、やみくもに他者を罵倒し始める。 発言が変転し続けて一貫性がないだけではない。過去の発言の責任を引き受けようとする姿勢を全く見せない。「降伏」論はどうなったのか?軍事同盟であるNATOがいきなり政治交渉を始めて成立させる「妥結」とはつまり何なのか?どうやったら一般のウクライナの住民が暴虐な外国占領軍の虐殺行為から逃れることができるというのか?全くわからない。 橋下徹氏は、なぜこのように振る舞うのか。その理由を、前回は、橋下氏の思想傾向の面から考えてみた。そして「ケーキを切る人になる」という本来は方法論でしかない話が、自己目的化しているのではないか、という示唆を行った。この手
10月11日、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に、ノーベル平和賞が贈られることが発表された。素晴らしいことである。素直に歓迎をしたい。 メディアやSNSには、歓迎と祝福のコメントがあふれた。ただ中には政治的立場からの見解が述べられている場合もあり、幾分かのやり取りも発生しているようだ。 もともと核政策をめぐる政策的立場の違いが、左派と右派の確執として、立ち現れてきやすい分野である。長年にわたって被団協は、ノーベル平和賞候補だったが、むしろ受賞が遅れた背景に政治的・組織的複雑さの事情があるとも言われていた。 核廃絶論者は、日本政府の核廃絶に関する曖昧な立ち位置を批判する。今回のノーベル平和賞受賞に際しても、左派系の野党の方々や、リベラルと自認する言論人の方々の中に、このパターンの反応が多かったように思える。 これと真逆の政策的立ち位置に、核武装論者がいる。これらの右派・保守系の方々の
イスラエルが「ハマスの地下司令部がある」と主張したガザのシファ病院から、司令部とみなせる軍事施設が発見されなかったことが、大きな波紋を呼んだ。 イスラエル政府は、シファ病院を占領して一日たった時間くらいに、ようやく病院内で少数の武器が見つかった、といったことは主張した。それも後日メディアが入ったときにむしろ武器の数が増えていることが見つかるなど、不信なところが多く、いずれにせよ病院が軍事施設であったことを証明するには程遠いものであった。 さらに後に、地下からトンネルが見つかったと主張したが、そもそもトンネルの存在自体は論点ではなく(かつてイスラエルが自ら直轄管理していた時代に病院地下にトンネルを掘っていたことがわかっている)、当初の主張を裏付けるものだとまではみなされていない。その後、イスラエル政府は、広報活動も終わりにして、地下を爆破して粉々にしてしまった。 国際人道法は、戦闘員と非戦闘
私は、父親が弁護士であった。そのため、弁護士とは何か、ということについて、父と話をしたり、父を見て感じたりしたことが、多々ある。そのため、大阪で、橋下徹氏の弁護士界隈での評判を聞いたときには、非常に残念だった。 弁護士が日々ツィッターで他者に罵詈雑言を浴びせ続けている姿は、私にとっては、異様なものだ。 いよいよ頭がおかしくなったな。戦争は交渉の一部って正気か?いつの時代の話をしてるんだ?まるで大日本帝国軍のバカ官僚そのものやな。その交渉の成果のためにいったいどれだけの一般市民に死ねと言うんだ?国民と接していない学者は平気でこういうことを言うんだよな。 https://t.co/Go2jeQNbEE — 橋下徹 (@hashimoto_lo) April 2, 2022 しかも、自分に都合の悪いことは、絶対にふれようとはしない。 メルケル前首相軍事顧問エリッヒ・ファート氏「残念ながら、暴力は
アラスカで米ロ首脳会談が開催された。メディアの論評を見ると、会議前には「ウクライナ抜きで和平を進めるな」の大合唱だった。会議後には「和平が達成できず、成果なき会談だった」と力説している。 アメリカはウクライナの最大支援国ではあるが、戦争の直接当事者とまでは言えない。トランプ大統領は、調停役を担おうとしている。第三者調停者が、紛争当事者のそれぞれと個別協議をするなどということは、極めて普通の出来事である。また、その個別会合だけで戦争が終わるわけではないことは、折り込み済だ。それはもちろん、一度の会議で戦争が終わらなかったら、調停は失敗したもの同然だ、という前提がないからでもある。調停のプロセスは続いていく。 トランプ大統領が大統領選挙戦中に「自分なら24時間で戦争を終わりにする」というレトリックを使ったことを執拗に取り上げて、「だからトランプはもう失敗した」と断定したい方々もたくさんいる。し
9月6日にドイツのラムシュタイン米空軍基地で開かれた会議において、ウクライナへの追加支援が表明されたが、ウクライナ政府が米国などの主要支援国に強く求めてきたロシア領内深く入る攻撃を可能にする長距離砲の使用許可は、認められなかった。 ウクライナ政府は、ロシアに脅かされてはいけない、という内容の主張を続けていた。しかしアメリカは、仮に使用許可を出したとして戦況に大きな変化はない、と冷淡であった。 ウクライナ政府は、「支援国が提供武器をロシア領内への攻撃に使用させてくれないので、ウクライナは勝てない、(支援国が許可すればウクライナはすぐにでも勝つ)」といった言説を繰り返し流布してきた。 これは現実の戦争の停滞の責任を、支援国の臆病風に負わせる、という発想にもとづく宣伝活動であったと言える。この宣伝活動の一環として、ウクライナは、強引に戦局をロシア領内に広げるため、クルスク侵攻作戦という合理性に欠
ガザ危機の1年間を振り返る昨年10月7日のハマス勢力によるイスラエル領内のテロ事件から、1年がたった。日本ではイスラエルの軍事力に対する盲目的な信仰があり、一部にイスラエルが本気を出せばハマスは早期に消滅させられるのではないか、といったことを語る方もいらっしゃった。 言うまでもなく、それは全く間違いであった。 私は1年前、10・7攻撃の直後すぐ、数日のうちに急いで、「欧米諸国は罠にはまったか」、「ハマスの「イスラエル攻撃」で泥沼の構図に引きずりこまれた欧米諸国と「日本の取るべき立場」」 といった文章を書いた。欧米諸国の近視眼的なイスラエル支持表明が、不人気だったネタニヤフ首相に悪用され、泥沼の地獄図に引きずり込まれていくしかないものであることは明らかだったからだ。 「泥沼」の構図は、1年たって、さらにはっきりとしてきているのではないかと思う。終わりが見えないガザ危機に翻弄されているだけでは
国際政治学の古典に学ぶ現代世界の構図「敵を知り、己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」 あまりにも有名な「孫氏の兵法」の言葉である。孫氏と言えば、紀元前500年の人物である。2500年の間に様々な事柄が変わったはずだ。だが、人間が人間と対峙するときに忘れてはならない事柄の本質を言い表している。 他方、この言葉が繰り返し強調されるのは、忘れられがちだからでもある。2022年2月のロシアの全面侵攻が国際法違反であることについては、国連総会で141カ国の賛同を得た広範な理解がある。プーチン大統領は、ICC(国際刑事裁判所)から訴追されており、多々の戦争犯罪の疑いのある行為に関与している。 しかしだからといって、繰り返し「ウクライナは勝たなければならない」と力みさえすれば、必ず勝てるようになるわけではない。 また、ロシア関係者の言説を分析する者を見つけては、それを非難し、「お前は隠れ親露派だな!
岸田首相が実現したいものは何か安倍元首相の死去後、統一教会と自民党の関係に注目が集まり、国葬実施に反対する方々の運動が盛り上がっている。それにあわせて、岸田内閣の支持率が目に見えて下降した。 首相就任後9カ月の間に衆参両議院の二つの国政選挙を危なげなく乗り切った岸田首相は、安倍元首相の暗殺によって、潮目が変わったかのような困難に直面している。先手を打つかのように、8月10日に内閣改造を行ったが、効果がなく、かえって手詰まり感を演出してしまっている。 今後3年ほどの間、国政選挙がない可能性がある。本来であれば、実施したい政策に落ち着いて取り組むべき黄金期間だ。だが残念ながら、日々のニュースでは、心配な要素ばかりが目に付く。統一教会や国葬実施といった突発的な問題への「国民の理解」を求めることには忙殺され、政権としてどんな政策を遂行したいのかが見えてこない。 本来であれば、官邸や自民党執行部に、
ロシア・ウクライナ戦争をめぐりロシア領クルスク州に攻め込んだウクライナ軍が、大量の欧米支援の武器も放棄して敗走し、クルスクでの戦闘は終結を見せようとしている。トランプ米国大統領の停戦調停交渉が段階的な進展を見せてきている。 そんな現実とは別に、「言葉狩り」と言わざるを得ないことで、日々SNSが盛り上がり、ニュースが作られている。戦場の惨状と、交渉の緊張とは、全く別のところで、観客たちが、わかりやすく興奮できる題材に飛びついている、という状況である。 トランプ大統領が、クルスク州でロシア軍に囲まれている(surrounded)数千人のウクライナ兵の命を助けてほしいとロシアのプーチン大統領に要請したところ、プーチン大統領が捕虜としての取り扱いをするという返答をした。 このやり取りには背景がある。プーチン大統領は、それ以前には、クルスク州で捕らえられたウクライナ兵は、「テロリスト」として処罰する
橋下徹氏のウクライナをめぐる言説は、橋下氏が大きな影響を受けた大学時代に通った司法試験予備校主宰の伊藤真氏とのつながりを考えるとよくわかる。その見通しで、前回まで4回の記事を書いた。 伊藤真氏は有名な護憲派の運動家の方で、言論活動のみならず、「安保法制違憲訴訟の会」などの活動も精力的に行っている。 伊藤氏があまりに有名な方で、橋本氏との思想的つながりが明確に見えたので、逆に最近の伊藤氏の言説のチェックを怠っていた。池田信夫氏のツィッターを見ていて、伊藤氏がすでに4月1日にウクライナについて文章を書いていたことを知った。 私が繰り返し強調しているように、橋下氏は自治体首長時代に「改憲派」のイメージを売っていたが、実はその思想の根っこは憲法学通説にあるようで、外交問題などになれば、そのことが完全に白日の下にさらされる。それで伊藤氏と完全に合体する。そのことについて半信半疑の方もいらっしゃるよう
日本の人口減少が未曽有のスピードで進んでいる。総務省の言葉では、 我が国の総人口は、2004年をピークに、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準に戻っていく。この変化は、千年単位でみても類を見ない、極めて急激な減少。 ... そこでも書いたことなので、繰り返すことは避けておくが、少子化を止めることは基本的に不可能である。そろそろ親世代の人口が激減する時代に入ってくる。出生率を低下させながら、出産適齢人口が減少する時代に入っていくのだ。どこまで出生者数が低下していくのか、見通すことすら、ほぼ不可能と言っていい、底なしの低下が続いていく絶望的な状況だ。 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei16/dl/2016toukeihyou.pdf 頻繁にメディアで引用される、わずか二年前の国立社会保障・人口問題研究所の「日本
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