人体冷凍術の会議に参加するため、惑星キボウダイニに派遣された皇帝直属の聴聞卿マイルズだったが、いきなり過激派に襲撃され、逃走には成功したものの護衛とも離れて地下に延々と広がる冷凍睡眠施設で迷ってしまう。このキボウダイニは人体冷凍術が主産業であり、いくつかの蘇生会社によって実質的に支配されていた。人々は、高齢や病気などに悩むようになると未来の技術に期待して冷凍睡眠に入るのだが、その間の選挙権や財産管理などは会社が代理権を取得するシステムになっていたのだ……。
体力はないけれど、知恵はあって口先は回るマイルズ・ヴォルコシガンの冒険譚の完結編。骨は簡単には折れなくなったし、病気の発作も抑えられるようになったし、今まであちこちでフラれていたけど今はちゃんと結婚して子供もできたし、隠密同心だか遠山の金さんっぽい位置づけで、今回も星々をまたいで活躍します。
今まで日本っぽい政体の星も出てきていたけれど、今回は完全に日系移民の星。具体的には書かれていないけれど、スズキだタナカだという人物が登場する、企業が支配する惑星ですが、そんな日系惑星がシリーズ完結編の舞台でちょっと意外。そして、サイドストーリーや短編はまだあるらしいものの、本編完結というのにラストは聴聞卿マイルズがフェイドアウトしてグレゴール帝と宰相の関係で締まるというのは、こういう結末は必然ではあるのでしょうけれど、なんかもやもや感があります。
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