@「知る者は言わず、言う者は知らず」、現代でも言われることは「まず聞き耳を持つこと」である。相手の話をよく聞き、何を、どうしたいのかしっかり納得、把握することを優先する心構えが賢者の極意であるという。それと、世間には必ず対意語が存在する、それは本文にある「美の認識」と同じだということだ。すなわち差別化する意識から話し言葉次第では極端になる(つい真逆の言葉を使い相手を傷つけてしまう)事があるということ。
『老子の世界』加地伸行
ー中国を代表する思想家「老子」と「孔子」
『老子』という書物は5千3百文字の小冊子、固有名詞はなく、格言、成語、諺の引用
「柔よく剛に勝ち、弱は強に勝つ」
強ういものよりも弱いもの、硬いものよりも柔らかいものが称えられる
「道」を「水」のイメージとして表している
「道」は空っぽの容器にように見えていくら汲み出しても一杯にならない『気』
老子の絵=青牛にまたがった老子姿(牛は老子を見上げ、老子は何かを見上げている姿)
「儒教は中国人の働く心を高め、「道教」は中国人の遊び心を満たした
老子人気の要因
『老子』が全81章の短文であること「薄く短い」
『老子』の文章に謎解きに似た魅力的な難解さが秘められていること
『老子』の思想にはキリスト教に近い共通性があること
強調表現の繰り返し、格言、成語、諺の活用、詩的散文
ー老子の言葉 (代表的な言葉)
「知る者は言わず、言う者は知らず」56章
「道は隠れて名無し」41章
「天下の万物は有うより生ず、有は無より生ず」40章
ー老子の道徳経
世の中の美という認識が生まれたときに善と悪という認識が同時に生まれた
有と無、難と易、長と短、高と下、音と声、前と後など
賢才を重用すれば民は才能・名誉を争い、財貨を盗むこともなくなる
欲望を駆り立てるようなモノを見せない『無為』を敷く
『道』(水)はいくらでも満ち溢れ尽きる事がない (欲望を追求しない)
もつれをほぐし、輝きを和らげ、豊かな安らぎを与える
功績や名声、富と財はない方が良い
刀や剣を研いで鋭くすればかえって長く保つことはできない
富が満ちるほどあればあるほどかえって守りきれず財を失うことになる
「はるかなもの」「まれなもの」「微かなるもの」を見極めないこと
モノの無い現象:無しとすること、追いかけないこと
仁愛、道義 道徳を学ぶ事
兄弟、忠臣を知る事に繋がり、人を知ることで自らを知る
自らに勝つものこそが強い、満足することを弁える者こそ富め
努力して行う者こそ志を成し遂げる事ができる
『道』を知っている者はあれこれ言わず、言う者は道を知っていない
玄道を得たものは親しむ、疎んじる、害を加えるなどできない
天下人の三宝 :寛容・倹約・天下の先導とならないこと