この前、金沢に遊びに行ったのですが、すごいコンテンツの豊富な街だと感心しました。沖縄とか北海道に負けてないレベルです。
街自体は他の地方都市同様すごく活気があるわけでもなく、到着後数時間、最初に感じたのは“商用車”の少なさです。東京って商用車が多いんだとあらためて認識しました。
宅配便の車、コンビニの配送車、その他あらゆる営業車が(たとえ住宅地でも)大量に走ってます。金沢では自家用車の他はタクシーとバスのみしか走ってない印象でした。
さて、金沢で特に「いけるんじゃないの?」と思ったのは“リピートさせる力”のあるコンテンツが複数あるという点でした。
日本の観光地の黄金要素である「温泉とグルメ」はもちろん持っているのですが、これらは超パワフルな観光資源であると同時に、日本では持っている街が多すぎてそれだけでは差別化ができません。
実際、日本海側の街では北から南まで、多くの街で魚介が美味しく温泉がでています。
そんな中で金沢が有利なのは、加賀百万石(百二十万石?)の遺産があることです。
金箔細工から和菓子、お茶屋街や武家屋敷街など、名残の特産や見所があちこちにあります。金沢の場合、「温泉・グルメ」と「観光ポイント」の両方が揃っているのが大きいです。
たとえば姫路城は、日本で最初に世界文化遺産に指定されただけあって、お城自体は驚嘆すべきすばらしさですが、姫路にはグルメも温泉もありません。
反対に「温泉とグルメはあるけど、他には何もない」いわゆる“ひなびた温泉地”も日本には多数あります。
さらに金沢には「リピートさせる力のあるもの」が複数存在します。
大抵の観光地には同じ客は一回しか来てくれません。観光客をリピートさせる力のあるものとは、たとえば、
(1)京都や奈良のように、何度行っても行き尽くせないほど多数の訪問ポイントがある“昔の日本の首都”、
(2)東京のような体験型滞在が圧倒的なレベルの“今の日本の首都”
(3)毎シーズン楽しむ人がいるリゾート地(軽井沢系、北海道、沖縄)
(4)何度来ても新鮮に(飽きずに)楽しめる観光施設
などがあり、(4)の代表格はTDL(東京ディズニーランド)です。そして金沢にはこれが複数あるんです。ひとつが“金沢21世紀美術館”、もうひとつが“兼六園”です。
★★★
美術館好きのちきりん、評判の高い“金沢21世紀美術館”にはずっと関心があったのですが、ようやく訪れることができました。
評判に違わず、というか、期待を大きく上回るすばらしい美術館でした。
東京の新国立博物館 (過去エントリ)と、器(建物)に関しては同じレベルであり、中身に関しては金沢21世紀美術館の方がよかったと思います。
(現代アートなので好き嫌いはあるでしょうが)これはすごい!と思えるレベルの美術館でした。
特に建物の設計のすばらしさに感嘆しました。国際的に活躍する日本人建築家の作品(詳細説明ページ)ということですが、周囲の自然、環境の取り込み方が天才的です。
「光庭」と呼ばれる中庭は、スクエアな中庭から見える四方の空やガラスに写りこんだ空と緑を合わせて、じっと立っているだけで恍惚感が得られる場所にしあがっています。
訪れた日は曇り気味でしたが、晴天の日、曇りの日、風の日、雨の日、とあらゆる天候の日に訪れてみたいと思いました。
展示内容もすばらしかったです。
常設展示と企画展があります。常設展示の中では、椿昇さんという方の作品に度肝を抜かれました。
この方、高校教師だと紹介されているんですが・・・まじですか。こんな先生が・・・すごいインパクトの作品です。東京からどころか、海外からこれを観に来ても価値があると感じます。
企画展はPeter Fischli, David Weiss両名のコレクション。
特にビデオ作品がすばらしく、欧州の宮殿や屋外でネズミとクマの着ぐるみがパフォーマンスを繰り広げるビデオをマルチに壁に映し出す作品がベストでした。
音と映像の世界に取り込まれ、アートと一体になれる空間が提供されています。
入ってすぐに「これはリピートする価値がある」と思いました。
季節ごと、天気の違う日に訪れてみたい建物だし、企画展も年に 2,3回は内容が変わるようですから、全部観に行きたいと思えました。
そしてご存じの方も多いと思いますが、兼六園もすばらしい庭園芸術で、こちらも春、夏、秋、冬とすべての季節を見てみたいと思わせてくれます。→兼六園フォト(ぱーそなるブログ)
まとめてみましょう。
(1)日本の観光地の二大お宝要素である「温泉」と「グルメ」がある。
(しかも、グルメのレベルが高くて安くて多彩!)
(2)加賀百万石の城下町としての遺産(町並み、伝統文化、食文化など)がある。
(3)リピートさせる力のある観光ポイントがふたつある。(兼六園、金沢21世紀美術館)
そして数年後には新幹線が金沢まで行くらしい。
すると陸路でも 2時間半になるとのこと。それならほんとに季節ごとに行きたい感じです。
小松空港と飛行機会社にとっては死活問題かもしれませんし、金沢出張が日帰りにされちゃうサラリーマンにはお気の毒ですが。
というわけで、久しぶりに「すごい可能性あるじゃん」と思える観光地でした。
そして・・・
次回に続く。