『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』とは、マリオの映画化作品である。
概要
1993年に公開されたハリウッド映画で、CMなどを除くと2023年現在スーパーマリオ唯一の実写映像作品である。ハリウッドは何やってんだ海外限定で言えばマリオとルイージが実写で登場するバラエティ番組もあったりしたのだが、日本ではこれが唯一。
任天堂アメリカが映画化権を売り出したことで企画が始まったらしいが、任天堂は制作自体には一切関わっていない。そのおかげということなのかゲームのスーパーマリオとは大きく設定が異なり、とにかくカオスな内容になっている。
舞台はキノコ王国ではなくニューヨークで、マリオ達も普通のアメリカ人として設定されている。一方クッパは6500万年前に絶滅したはずの恐竜の末裔という設定で、異世界から地球を支配しようと企んでいる。当時の海外での扱いの関係かピーチ姫は登場せず、ヒロイン役はデイジー姫が務めた。
マリオ、ルイージ、クッパ、デイジーといったメインキャラ以外にも、実はサブキャラクターにマリオキャラの名がふんだんに使われている。ただし、「グンバ」(=クリボー)、「トード」(=キノピオ)などと日本語版でも英語名が使われているため、日本人への馴染みは薄い。また、マリオ・マリオが本名である事の元ネタになった。→(後に任天堂の広報室により否定。詳しくは該当記事で→「マリオ・マリオ」)
映像ソフトは『スーパーマリオ』という邦題のビデオ版が存在していたが、公開20周年にあたる2013年にまさかのDVD版が発売された。DVD版のタイトルはサブタイトル付きの『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』に戻っている。そして2017年末にはまさかまさかのBlu-Ray版が発売される。世の中何が起こるか分からないものである。
評価
興行成績は良くなく、4800万ドル(当時のレートで50億円以上)の製作費は半分程度しか回収できなかった。[1]日本で公開された際は『スーパーマリオコレクション』のCMでも宣伝されたが、配給収入は3億円とアメリカ以上にお寒い結果に。(日本では、よりによって恐竜繋がり+その年トップの興行収入であった『ジュラシック・パーク』の公開が同月であった)ゲームからかけ離れた設定、全体的に漂うB級感から、内容も「これはマリオではない」と批判されることが多い。
アメリカでの評価は非常に辛辣で、マリオ役を演じたボブ・ホスキンスは、ガーディアン紙のインタビューで「Q:今までで最悪の仕事は?」「A:マリオブラザーズ」、「Q:もし過去を書き換えられるとしたら、何を変えますか?」「A:マリオを演じなかった事にする」などと答えている。[2]パロディー動画の販売サイト『RiffTrax』が発表したファン投票による「史上最悪の映画ランキング」では6位(17755票)にランクインしている。[3]
ただし日本では、言うほど悪くは無いという意見も一部では出てきている。翌年に『金曜ロードショー』で放送されたことや、有名ゲーム作品が実写化される際よく引き合いに出されるので知名度自体はそこそこ高い。ちなみに、日本語字幕は誤訳で有名な戸田奈津子氏。
また、マリオは年齢、職業などの正式な設定は存在していないが、長年不明だった本名を決める元ネタになった。→後に任天堂の広報室により否定。
後述のアニメ映画の大ヒットや、再評価の声を受けて、フィルムから新たにリマスターし直した4K版が2023年9月に再上映されることが決定。吹き替えも当時のビデオ版をそのまま用いている。
登場人物
ビデオ販売版と『金曜ロードショー』で放送された日本テレビ版で、マリオ以外の吹き替え声優が異なる。
「ビデオ版声優・日本テレビ版声優」の順に表記。
- マリオ・マリオ (ボブ・ホスキンス/富田耕生)
- 主人公。ニューヨーク・ブルックリンで配管工を営む。 年齢相応に現実的な、気立てのいいオッサン。
名字は本作オリジナルの設定(恐らく「マリオブラザーズ」という単語から着想を得たのだろう)かと思っていたら、生みの親である宮本氏が「マリオ・マリオ」が本名である事を公言した。→後に任天堂の広報室により否定。 - ルイージ・マリオ (ジョン・レグイザモ/辻谷耕史・島田敏)
- もうひとりの主人公。マリオよりもだいぶ若い青年として描かれている。兄弟かは明言されていないが、少なくとも双子ではないらしい。
やればなんとかなる、といった感じのいかにも主人公ライクな性格で、後に確立したゲームの臆病なルイージとは一線を画する。 - ヨッシー
- クッパの居城であるビルで飼われている恐竜。ゲームのようなデフォルメは一切なく、リアルな子供の恐竜である。
舌を伸ばせるのは一緒だし慣れると可愛く見えてこないでもないが、とりあえず「でっていう」とは鳴かない。 - クッパ (デニス・ホッパー/穂積隆信・有川博)
- 亀じゃなくなった大魔王。恐竜世界で前国王を幽閉して恐怖政治を築いた。恐竜世界と人間世界を統合して、両世界を支配しようと企む。
デニス・ホッパー氏はこんな役をやっているがフランス最高勲章を受章した名優である。
ちなみに「クッパ」の海外名は「Bowser」であり「ノコノコ」の海外名が「Koopa」…というのは間違い。「ノコノコ」の海外名は「Koopa Troopa」で、「カメ族」の海外名が「Koopa」である。例えばコクッパも「イギー」なら「Iggy Koopa」のように名前に「Koopa」が付く。いずれにせよ、この映画では日本でも海外でも「クッパ」であり(逆にイギーには「クッパ」は付かない)、ノコノコの名前を詳しく知らない視聴者からは「なぜかノコノコがラスボスをしている映画」と思われている。他に「ノコノコ」に該当するキャラが存在しないため、本当にノコノコをラスボスにした可能性もなくはない。ただし蛇のような頭のグンバがノコノコだとする意見も存在する。 - デイジー (サマンサ・マシス/日高のり子・岡本麻弥)
- ヒロイン。化石発掘隊のリーダーとしてマリオ兄弟に出会う。
本人も知らなかったが実は人間ではなく恐竜帝国の王女で、クッパの手下にさらわれてしまう。
作中ではルイージと恋仲になり、これがきっかけかどうかは不明だが原作ゲームにおいてもルイージとデイジーがカップリングされる機会が多くなった。
父親がキノコ族であることから、名前こそデイジーだが立ち位置はピーチに近い。メタ的には当時のピーチの海外名が「トードストール」という人名には遠いものだったのでブルックリンで育ったという設定には合わなかったのが原因だろう。トードストールが地上でデイジーと名付けられたという解釈もできる。
そして時は流れ…
そんな黒歴史とも言われかねない映画化から24年、マリオシリーズの映像化に急展開が起きる。何と任天堂が正式にマリオのアニメ映画化を画策し始めた。
ニュースサイトなどによれば、2020年までにユニバーサル・スタジオ・ジャパンに新設される「スーパーニンテンドーワールド」製作でコンビを組んだユニバーサル、日本国内でも「怪盗グルー」シリーズのヒットでミニオンともども大きく知名度を伸ばした製作会社のイルミネーション・エンターテイメントとともに実現に向け協議を進めているとのこと。
2021年9月のニンテンドーダイレクトでは主要キャストが情報が解禁。マリオの声を担当するのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のクリス・プラット。本家マリオの声を担当するチャールズ・マーティネーも別キャストで出演との事。2023年4月に日米公開。
2022年10月のニンテンドーダイレクトでは「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」のタイトルと共にキービジュアルや予告映像が公開された。
2023年4月5日に全米公開、4月28日に日本公開。公開から1ヶ月の2023年8月時点で、すでにゲームを原作とする映画では歴代一位の興行収入を得る大ヒット作となっており、国内でも外国アニメ映画としては『アナと雪の女王2』を抜いて歴代2位の興行成績を上げている。
詳細は「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の記事参照。
関連動画
関連静画
関連商品
関連項目
- マリオ
- 任天堂
- ゲーム実写化
- 黒歴史
- じみーズ
- スーパーマリオコレクション
- スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!
- ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
- 名探偵ピカチュウ(実写映画)
- そっと評価されるべき
- 映画の一覧
- マリオ・マリオ