反ワクチンとは、「ワクチンは危険であり、打たない方がいい」という考えのことを指す。
ワクチン忌避とも言い、wikipediaではその名称で記事が書かれている。
陰謀論と結びつくことが多く、その場合はワクチン陰謀論と呼ばれる。
概要
ワクチンは病気の予防や症状の緩和ができる効果的な医療である。
だが様々な理由によってワクチンを打たなかったり、あるいは打てなかったりする人も多い。
だが上記に上げた理由のほかに思想的な理由によってワクチンを打たない「反ワクチン」の人々がいる。
2019年に世界保健機関は、エボラ出血熱、デング熱、エイズなど合わせて「反ワクチン」は世界の健康に対する脅威の一つとして挙げており、そこそこ数が多いと考えてよいだろう。
反ワクチンの理由
- ■理解不足
- 大抵はその人の無知、知識不足から起きる。薬品の中身については(公開されているものに限り)ネットで調べられるので、「どのような効能があるのか」「どうしてそれを(注射に)入れるのか」といった目的や効能を示せば納得できる理性的な人は多いはずである。
- ただ、調べてみた結果としてやはりその人の体に合わない成分が含まれているのが判明した場合、ワクチンを打つことを強制するわけにはいかなくなるというケースはありうる。
- ■不信感
- 既存の"権威"や"偉い人たち"を信用できないという人たちの部類。「政府は嘘をついている!」「病院や薬品メーカーは儲けようとしている!」といった相手がなにか企んでいるという考えを持っており、明確なところから来た情報を捨ててどこから流れてきたのかわからないような根拠のない情報を取り入れてしまう場合がある。政権への不信感などからワクチンを拒否している国民も多い。 [1] [2]
- こういった中には、政治的・国際的な戦略で相手のワクチンの評判を下げることを目的としている(と考えられる)意図的なデマを流している国もいれば、面白半分で偽情報(いわゆるフェイクニュース)を流し、自分たちのサイトに誘導してアクセス数稼ぎや情報商材を買わせようとする悪意のある人もいる。またデマを流すためにもっともらしい学者や出典書籍をしたてて本物の権威からのように仕立てるようなのもいるので、実際のところ「絶対に正確な情報」というのを見分けるのは非常に難しい。 [3] [4]
- この考え方は陰謀論と極めて結びつきやすく、中には後述のように『人口抑制のためにワクチンだと偽って毒物を注射している』『ワクチンを打った者は5G等のネットワークと接続され、政府に操作される。あるいは思考を不正送信される』などの荒唐無稽な方向へ走ることもしばしばある。
- ■不安
- 上記二つに当てはまらない例。世の中には、どれだけ根拠や科学的理由を示して説明されていても、結局のところ納得しない人というのはいる。そういった人は、論理を超えた精神的なものが影響しているため、「正しいかどうか」に関係ないというタイプの人もいるのでこういったケースは解決するのが難しい。しかし、論理ばかりではなく感情もあってこそ「人間」である以上、正しさ(社会的正しさ・科学的正当性)を理解してもらうのは根気しかない。
- ただ、ワクチンを打たない人を「罪人」「社会の迷惑」と断じるところなどもあるため、こういった権威のある側からの行為がかえって接種者と非接種者の間にある不安や分断をあおる結果を助長しているといった可能性は指摘されている。 [5] [6]
- ■その他の理由
- 「注射が嫌」「時間がない」「病気、体質的にできない」「(ワクチンが有料の場合)お金がない」などなど……。昨今のコロナウイルスワクチンでは数量が足りず、予約が取れない方も多いだろう。こういったケースについては仕方のないものもある。
- 特に、体質的な問題は重要で、ワクチンに含まれている成分によっては本当にアレルギー反応やアナフィラキシーショックといった命に関わる現象を引き起こす可能性はあるからである(厚生労働省ではワクチンを打ったあと30分間は会場を離れず反応を確かめておくことを推奨している)。 [7] [8]
反ワクチン発生の原理
もともとワクチンの効果は実感しにくい。
例えば解熱剤を飲めば熱が下る。咳止めを飲めば咳が止まる。
しかし自分がワクチンを接種しても病気が予防できたかどうかはわからない。
自分が予防できたかどうかを知るためには、平行世界にいるワクチンを接種しなかった自分をどうにかして見る他にないからだ。
しかし害は実感しやすい。
注射が痛いとか、投与したあとに熱や筋肉痛が出る副反応は実感できる。
また人間には物事を関連付ける能力がある。
通常ワクチンには副反応にどんなものがあるか事前に注意喚起がある物だが、ワクチンそのものの副反応により体力を消耗したり、対処のために何らかの行動をとったりしたことにより本来は全く関係ない別の疾患が誘発され、想定されていない症状が現れてしまう場合がまれにある。
極論すれば、ワクチンを接種したあとに全くの偶然でそれとは関係ない風邪を引いた場合でもワクチンと関連付けられて考えたりしてしまうのである。
つまるところワクチンは効果がわかりにくいが害が実感しやすい医療なのだ。
効果がわかりにくいが害が明確にわかるものに対して疑念を抱くのは自然であると言えるため、医療の中でも特にワクチンが槍玉に挙げられるのであろう。
ちなみにアメリカのNGO団体「CCDH」の調べによると反ワクチン業界はアメリカのみで少なくとも年間40億円弱の利益を生み出しているそうだ。
人間の直感に沿っていて儲かるという構造がある以上、反ワクチンが消えることはなさそうである。
歴史
古くはジェンナーによる原始的なワクチンが作られた時からあり、その原因はキリスト教と単純な未知の物への恐怖と誤解であった。
一部の神学者が「病気は神の与えた罰であり(または、誰が病気で死ぬということは神が定めたことであるから)、それを予防接種で防ごうとするのは神の意志への反逆である」と主張したことや、単純に未知の療法への恐怖から「牛痘を接種すると牛になる」という流言飛語が田舎では飛び交ったという。
現在の反ワクチン
ワクチンの種類が増えたように反ワクチンの主張も多種多様に増えた。
- 「ワクチンを打つと自閉症になる」「感染する」というような科学的根拠のない副作用があると喧伝しているもの。
- 「科学的なものは不自然」「自然や天然由来のものでどうにかできる」「自分の中の意思や力で~~」というスピリチュアル・自然的なもの。
- 「ワクチンを打たなくても神を崇拝すればコロナにならない」「ワクチンや治療など、何らかの積極的な行動をとることは神の救いを信じないことに当たるので受動的であるべき」「ワクチンを入れると体が汚れ天国に行けなくなる」といったような宗教的なもの。
- 「遺伝子が操作される」「ワクチンを打つとマイクロチップが埋め込まれて政府に管理される」「人口を減らすための策略である」「医者や薬品メーカーが儲けるため作り出したデマ」といったような陰謀論めいたもの。
- 「納得したくない理由を探してただ反対をしたいだけ」、「自分でもうまく説明できない漠然とした不安」という感情論的なもの。
- 「5GやBluetoothに接続される」といった意味のわからないもの。
……といった上記のような様々な存在がいるのもワクチンの普及がされない一因となっている。
特に陰謀論とは相性が良いようで陰謀論でよく使われるギミックと合わせて主張されることも多い。
例えば「人口を減らすための策略である」という主張では、陰謀論でよく使われるジョージア・ガイドストーン(アメリカにある色々書いてあるモニュメント)にある「大自然と永遠に共存し、人類は5億人以下を維持する」という文言と組み合わせて「ワクチンを打つと死ぬ」と喧伝されることもある。
また、現代では患者たちが本来信頼したいはずの医療関係者の中からも反ワクチン論者が現れているような状態で、ネット・リアル問わず情報が溢れすぎているため、一般人も専門家も「本当に正しい情報はどれ?」という状態にもなっている。
しかし中には、ただの主張にとどまらず実際の行動を起こす様な者もいる。薬剤師などの直接的に医療に関わる者、議員やタレントなどの影響力を持つ有名人などまでが、自身の公的な立場や影響力を利用して、自身の思想に基づく意図的な妨害行動をとることもあり、問題は根深い。
- 新型コロナ「ビル・ゲイツ陰謀論を信じる」共和党支持者の40%以上に--米調査 (CNET Japan)
- コロナ対策を阻む「ワクチン忌避派」の壁──不信感の源は? (NewSWeek)
- 大統領目指すカニエ・ウェスト、「ワクチン陰謀論」を熱弁 (Forbes)
- 「ワクチンは殺人兵器 打つな」 ベテラン福井県議が“陰謀論” (Goo)
- 米薬剤師、ワクチンを庫外に放置して逮捕 陰謀論の信奉認める (CNN)
本当にワクチンって効果あるの?
ワクチンさえ打てれば絶対に感染しないわけでない。ワクチンを接種しても感染することはある。
ただ、感染しても症状を軽減する効力はあるのである。
またワクチンを生産する手段として有精卵でウイルスを培養するということが行われる場合があり、その場合は卵アレルギーがある人がワクチン接種すると重篤なアレルギー反応を起こすことがある。
また、丸山ワクチンのような怪しげなワクチンも存在する。(これは50年近く使用されてきたにも関わらず、まともなエビテンスが不在である)
2019年末から始まった新型コロナウイルスのパンデミックに於いては、闇ワクチン(未承認の中国製や韓国製のワクチンで闇ルートで入ってきているもの)のような危険なワクチンも存在する。
これはどのような成分が入っているのか不明で、無害ならマシな方で有害な成分が入っていて健康被害がおきる可能性もある。
しかしながら、基本的にはワクチンは統計学的に「効く」ことがわかっているものが提供されている。
特に無料で接種できるものは厳しい審査をパスしておりまず間違いなく効くだろう。
でなきゃ国がお金を負担して無料で提供なんてことはしない。
お金を出してでも打ってもらったほうが利益があるから、打たないと危険だから無料なのである。
また、前述のように益は実感しにくく害は実感しやすい治療法であるが、少なくとも大きな害はないことも本来は実感できるのだ。報道などでは死亡事例などのセンセーショナルな例を取り上げがちだが、やり玉に挙げられやすい新型コロナウイルスワクチンについても全国民の8割近くが接種を完了している。8割という数字は、仮に大きな害がある物であればどんなに大きな力が隠蔽しようとしても身の回りで異常事態が頻発して隠しきれなく数字であり、実際に政府や大企業が隠蔽を図ったものの隠しきれなかった例として薬害や公害問題が存在する。
関連動画
関連商品
反ワクチン論者(と思われる)書籍類
関連項目
脚注
- *ロシア コロナ感染急拡大もワクチン接種進まず 義務化政策推進 (NHKニュース 2021年6月26日)
- *米国民に広がる接種の抵抗感、なぜ…? 著名な反ワクチン活動家・ケネディ氏に聞く (東京新聞 2020年12月24日)
- *米ワクチンを潰すため、西側インフルエンサーを買収していたロシア (NewsWeek 2021年5月26日)
- *中国とロシア、偽情報で欧米ワクチンの不信感植え付け=EU (ロイター 2021年4月29日)
- *「ワクチン接種を拒む人は罪人で社会の迷惑もの」そう訴える人の言い分 (プレジデントオンライン 2021/09/14 12:00)
- *ワクチン拒否した主役がクビに。ハリウッドで初の例にさまざまな反響 (Yahoo!ニュース 11/7 10:30)
- *コロナワクチンは危険?安全性は?副反応やアレルギーについて |NHK
- *新型コロナワクチンQ&A - 厚生労働省