梅田(大阪府)とは、大阪市の中心部にある歓楽街・オフィス街である。
概要
大阪の経済活動の中心を担う都心部であり俗にキタと呼ばれ、ミナミと呼ばれる難波周辺と並んで、大阪市の中でも特に名の知られた都心エリアである。
JR大阪駅、阪急梅田駅、阪神梅田駅を中心とする、大阪環状線内部の北端の辺りを指すが、キタと呼んだ場合は、近年再開発が目覚ましい中之島や福島、中津なども含めることが多い。
歓楽街・繁華街としての性格が強い難波・心斎橋、オフィス街としての性格が強い中之島・船場のどちらもを合わせたような性格を持ち、多種多様な人々に溢れている。
また、日本国内では最大級の高層ビル密集地帯であり、100m以上の超高層ビルの数ならば新宿や大手町周辺を上回っている。 ただし、伊丹空港へ飛来する飛行機の航路上であるため、航空法49条の制限を受ける。したがって、200mを超えるような超高層ビルは存在しない。主要なビルの高さが綺麗に揃っているのはその結果である(なお、以前は190mの超高層ビルも建てられなく、その代わりに開発を進めたのがOBPである。後に規制が緩和され、現在にみる姿となった。福岡市の天神ビッグバン計画は、この梅田の事例を参考にしている)。
ミナミと比べて新しく発展した(といっても、難波周辺も元々は半農半漁の地区。古くからの中心地は船場や北浜など)街であり、現在は梅田駅北ヤードを中心に活発な再開発が行われている。
なお、大阪はキタとミナミの間には問屋街やビジネス街の本町、淀屋橋、北浜などのエリアが存在しているため、キタもミナミもつながった単一の超巨大都心(その面積は東京都心の2倍近くに上る)となっている(これを大阪市では都心六区という呼び名をしている)。
歴史
商業の中心地として長い歴史を持つミナミとは対照的に、梅田は江戸時代までは湿地地帯を埋め立てただけの貧乏村落であり、『天下の台所』の水運を担っていたのは現在の天満の辺りであった。
明治に入って鉄道の駅(場所は違うが現在の大阪駅)が作られてようやく発達した。当時としては非常に豪勢な作りでたちまち人を呼び、次第に発達していった。これに乗ずる形で箕面有馬電気軌道(現阪急)の駅なども誕生し、後に大阪市の北の玄関口としての姿を持つ土台が出来ていった。
しかしそれでも難波に比べればまだまだ規模は小さく、現在は梅田の南部のむしろ中心部から外れた部分にある『北新地』も、「難波の北にある新興発展地帯」という意味を持ってこの頃つけられたものだった。
高度経済成長と共に、都市部への人口流入が激しくなったことで、阪神・阪急のターミナル駅として京都・兵庫からはもちろん、西日本各地から大阪を訪れる人々の玄関口として急激に発展する。
地下街は広がり、駅はそれぞれが巨大化し、さらには鉄道貨物の駅も発展し、大阪の流通の中心部となっていく。
南海鉄道を利用する和歌山・大阪南部の住民にとっての『南の玄関口』として難波も発展したが、この頃になると梅田・中之島に高層ビルが建ち始め、次第に規模の面で並び始めていった。
現在は小売店総売上高で難波の1.5倍近い値を出しており、数字の上では大阪最大の歓楽街である。
オフィス街
西日本最大のオフィス街としても機能しており、毎日新聞大阪本社やJR西日本本社ビルなどが存在する。
オフィスビルそのものは中之島の方が圧倒的に多いものの、大阪を代表する企業が多く本社を構えている。
ちなみに、出張などのアクセス性の上では圧倒的に便利なため、東京を含む他地域に本社を置く企業の支社や、ベンチャー企業などは、最近では新大阪駅周辺に集中している。テナント代も圧倒的に安い。
映画館密集地帯
国内屈指の映画館密集地帯である。
大阪市内の映画館の約半数は梅田にあり、後述の大阪ステーションシティ内にも新たに大型シネコンが開業するなど、未だ増加傾向にある。
必然、競争も非常に激しく、耐えられずに潰れた映画館を他の大型映画館が買い取るという現象が進み、現在では映画館の数自体は多いもののその経営元の数は統合により少なくなっている。
大型ロードショーが行われる作品から、地方ロードショーを細々と行う作品まで、大抵の映画作品は梅田にいれば見ることが出来る。 当然ながら単館上映の作品や著作権満了するほどの旧作は無理だけども。
大阪駅・梅田駅
JR大阪駅は西日本最多の乗降者数を持つメガステーションであり、阪急梅田駅・阪神梅田駅・OsakaMetro御堂筋線梅田駅などのいずれもまた同路線中最大級の乗降者数を持つ。
大阪で他に乗降者数の大きい駅と言えば、南海難波駅や、JR・京阪京橋駅などであり、いずれも繁華街の中心となっている駅だが、これら他の駅を凌駕する量の人が行きかっている。
後述の地下街によってこれらは全て直結しているほか、さらに東梅田駅・西梅田駅・北新地駅などとも直結しており、一言で『梅田駅』と言われると、使い慣れた人以外には場所がわかりづらい。
JR大阪駅は『大阪ステーションシティ』として新たにビルを建造・増築して清廉な姿に生まれ変わり、総面積で名古屋駅を超える巨大駅になった。その中には三越伊勢丹ルクアイーレ・ルクア・大丸が入居し、商業施設としても日本2位の巨大施設になる。
これに加え、阪急梅田駅も老朽化に伴い高層ビルを伴う巨大ビルに建て替えられ、それぞれの駅が巨大化している。
阪神梅田駅も、隣接する新阪急ビルと共に、高層ツインタワーへの立替を決定しており、ますます駅の巨大化が進む予定。
発展は大阪駅、梅田駅の南部が中心だったが、北部にヨドバシ梅田がオープンしてからはこちらの開発も進み、グランフロント大阪も建設されてからは人の流れが更に広がった。しかしグランフロント大阪がオープンしても大阪駅から直接ヨドバシ梅田に入れる連絡口がほぼなく「大阪駅からヨドバシに行けない」と度々ネタにされてきた。現在は地上2Fの高さに連絡橋が2つできたため、この状況は解消している。特に御堂筋口の2Fからの連絡橋は「ヨドバシ橋」の通称が付けられている。
また、かつて存在したJR貨物梅田駅は物流の要であり、多くの荷扱いがあった。当然ながら客車は停車しない(新大阪駅から直接大阪環状線に乗り入れるなどでのJR梅田駅通過列車はあった)ので乗降者数は0人である。貨物の取扱量は150万トン/年だった。現在は梅田信号所となっている。
現在JR梅田駅の跡地を利用して、大阪駅の地下プラットホームとして整備する(北梅田駅)計画があり、おおさか東線(外環状線)・なにわ筋線の駅として客扱いも行う予定である。
ちなみに、これらの駅がひしめいていたために新幹線用の新駅を作ることが難しく、現在の新大阪駅が誕生した経緯がある。
バブル経済が続いていれば、大阪駅~新大阪駅の一帯には高層ビルが軒を連ねていたとも言われるが、新大阪あたりは地盤が脆弱なため、高層建築は作れない。
地下街
梅田の地下には非常に複雑で巨大な地下街が広がっていることで有名である。
主要なほぼ全ての道路の下に地下通路が敷設されており、それらが縦横無尽に交わって、各百貨店・ターミナル駅の地下フロアと直結している。更に、主要なビルが半ば地下街の一部分として機能している。
一説には、JR新宿駅と並んで日本の最難関ダンジョンとも言われる。
地上部分の駅の配置のややこしさが地下にも直結しており、三叉路や五叉路があったり、坂道や階段の存在で高低差があったり(特にビルの地下部分に迷い込んだ場合に顕著)することも梅田地下街を難関ダンジョンにしている要因である。
具体例を挙げると、とらのあな(地下街から細い路地に入り階段を上がる必要がある)、ゲーマーズ(地下街から大阪駅前第3ビルに入る必要がある)に地元民のナビなしで初見でたどり着くのは非常に困難、と言った具合である。それ以外であっても、事前情報なしに初めて梅田地下街に入った人が適当に歩くとほぼ確実に目的地にたどり着けない。
単一の地下街として日本最大なのは、同じ大阪市内にあるクリスタ長堀であるが、梅田の地下街は、大阪市の第三セクターである『ホワイティうめだ』『堂島地下センター』、阪神の子会社が経営する『ディアモール梅田』、阪急梅田駅の駅下施設である『阪急三番街』などの大型地下街と、JR大阪駅/北新地駅や阪神梅田駅、オオサカガーデンシティの地下施設・通路が連結して形成されているために非常に規模が大きくなっている。
梅田一帯で連結している全ての地下街を1つの地下街として見なすと、その総店舗数は約1,300に及ぶ。ちなみに、北新地駅は地上構造物が存在しない珍しい駅で、出入り口が直接地下街に繋がっている。
それぞれの事業者が独立的に改修・拡張を続けているため、1年中何処かが工事していて収拾がつかなくなっている。
90年代までは区域ごとに事業者が違うため、地下街全体を記した地図が存在しないという状態さえ発生しており、全容を把握するのは至難の業だった。
あまりにも威勢よく拡張されていったため、この地下街を題材としたSF小説も発表された(関連商品参照)。また地下街側がダンジョンと呼ばれているのに悪乗りしたのか、深夜の梅田地下街を舞台にした脱出ゲームまで企画された。
地上が鉄道各社のターミナル駅と百貨店、オフィスビルで形成されているのに対して、地下には、数多くのアパレルショップから飲食店が多種多様に展開している。
梅田で食事をしたくなったときには、地下街に入るのが定番である。 また、オフィスビルも地下階層には地下街からの接続を前提に飲食店が多く配置されているので、地下街から伸びている路地に入ってみるのもまた一興である。競争の激しい梅田地下街で生き残っているだけあり、コストパフォーマンスの高い店舗が多い。
関連商品
関連項目
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