脳とは、動物の頭部に存在し行動の指令を出す箇所。ただし、必ず頭部にあるとは言い切れない。
曖昧さ回避
概要
「脳」とは、動物の体の特定の場所を指す単語である。主に動物としての活動及び思考、記憶をコントロールする器官の事を指す。動物によってその大きさ・形状は異なる。
一言で「脳」と言っても一つの均質な塊としての臓器ではない。例えば人間の脳では大脳、中脳、小脳、間脳、橋、延髄、脳室、脳梁などの多くの部分から成っており、それぞれの部分が異なった機能を担う、複雑な器官である。
脳の大きさが大きければ大きいほど「賢い」動物と捉えている人もいるが、他の臓器と同様、単なる大きさでは機能は決定できない。ゾウなどの体が大きな生物では人間より大きな脳を持つケースが多いようだが、ゾウが人間より賢いと考える者はあまり居ない。何より、何を持って「賢い」とするかの絶対的な定義があるわけではない。
ほとんどの動物は脳を破壊されると、他の臓器が無事だったとしても生命活動を継続することができない。呼吸や体温維持に代表されるような、生命維持に不可欠な活動の中枢が脳に存在する生物が多いためである。
人間の体において、脳が思考や記憶、さらに言えば意識や人格にとって重要な臓器であることは世間で広くコンセンサスが得られており、健康関連商品や教育業界のセールストークに利用されるほどである。しかし「思考や記憶は脳の作用である」という一歩踏み込んだ言明になると、あまり広く受け入れられているとはいえない。この言明が正しいとすれば「脳が破壊されて死を迎えると、それ以後は思考・記憶・人格は消失する」という結論が強く示唆されてしまい、多くの人々にとってその結論は不安と不快感を覚えさせる。
脳について
概論でも述べられているが、脳とは神経系を構成する中枢神経系の構成する最も主要な器官である。一言で脳といっても、実際は沢山の部位に分類でき、人の生命活動の殆どをこの部位がになっていることから、損傷を受けると、運動麻痺・運動失調といった運動系の障害をはじめ、認知・言語障害などの高次脳障害・体温調節・呼吸調節と言った自律神経機能といったものが障害され、日常生活に重大な支障を与える。ここでは、脳についての解剖学的・生理学的観点から眺めていきたい。
脳の発生学
脳は、受精卵から細胞分裂経て、胎生第三週、胚性外胚葉の肥厚したスリッパ状の神経板から発生する。さらに神経板・神経堤に分化し、神経板は脳や脊髄に神経堤は脳神経などの末梢神経系になる。
この時期の、脳の発生については、前脳・中脳・後脳にわかれている。これらの部位は次のように分化していく。
- 前脳:終脳と間脳に分化する
- 終脳:大脳半球に最終的に分化する。脳室系は側脳室を形成。
- 間脳:視床などに最終的に分化する。脳室系は第三脳室を形成。
- 間脳
- 後脳:後脳と髄脳に分化する。
- 後脳は、橋と小脳に最終的に分化する。脳室系は第四脳室上部を形成。
- 髄脳は、延髄に最終的に分化する。脳室系は第四脳室下部を形成。
神経系は、発生早期に形成されはじめ、胎生38週まで形成され続ける、胎生8週の間に形成不全が起こると重篤な、先天性奇形を呈し、死産になることも多い。
脳の解剖
脳は、大きく分けて大脳・脳幹・小脳に分けることができ、大脳は、左右の大脳半球・脳梁・大脳辺縁系・大脳基底核・終脳・視床・視床下核・視床下部に分けられる。
A.脳幹
脳幹は、延髄・橋・中脳に分類される。脳幹には、第Ⅲ~Ⅻ脳神経の神経核があり、上小脳脚・中小脳脚・下小脳脚があり、小脳と連結している。
1.延髄
脳幹を構成する部位では一番下位にある部位である。脳神経は、舌咽神経(第Ⅸ脳神経)・迷走神経(第Ⅹ脳神経)・副神経(第Ⅺ脳神経)・舌下神経(第神経)が出ている。神経路においては、上行路(感覚系)・下行路(運動系)といった神経伝導路が通過する。延髄下部には、錐体交叉があり下降路の一部がここで交差し脊髄に向かう。この交叉する神経路を錐体路系といい、自分の意識化で筋を動かす神経伝導路となる。また、錐体路以外を通る伝導路を錐体外路系といい、自分の意志とは関係なく動く不随意な筋の動きの神経路が属する。
延髄は、生命活動維持に重要な機能である呼吸・嚥下・循環・消化といった制御中枢があり、ここを傷害された場合、生命維持に重篤な悪影響を及ぼす。延髄の腹側には、環軸関節があり、ここの骨折・脱臼は延髄を傷害する可能性が非常に高い。
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