鎌とは、農具の一種である。
曖昧さ回避
概要
一般的には植物を刈るために用いる農具で、湾曲した歯(刃)を持つのが特徴である。地方によっては直線的な形を持つ鎌もあるが、内側に歯が付いているという特徴は共通しており、奥側から手前に引いてくる事で植物の茎などを切断する。
また、鎌は歴史がかなり古く、石器時代から使われていた農具であるという。
英語圏では大きさや作業の形態によって呼び方が「サイズ(大型の鎌)」と「シックル(小型の鎌)」で2種類に別れているが、日本では大きさに関係なく鎌という呼び方で統一されている反面、用途によって呼び名が違う。
具体的には以下の通り。
- 刃鎌:鎌の刃がハサミや刀剣のように滑らかになっているもの。ホームセンターなどで販売されている「草刈鎌」「芝刈鎌」などは大体こちらに入る。
- 鋸鎌:刃が鋸のような形状になっているもの。先述の刃鎌では切断できないような厚い(強い)繊維などを切断するのに用いる。
農具以外の鎌
武器としての鎌といえば恐らくは死神が携えている大鎌が広く知られていると思われるが、ギリシャ神話では大地と農耕の神・クロノスが持つ武器としても知られている。さらに、ソ連の国旗には農民と労働者の象徴を示す「鎌と鎚」というシンボルが描かれている。他にもオーストリアの紋章や日本の家紋など、鎌を象徴として用いるケースがいくつかあったりする。
農作業を行ううえで必要不可欠な物である以上、土地の支配者も所持を禁ずる事が出来ないという事情があったため農民が反乱・一揆を起こす際に即席の武器として用いた事も多く、さらには農具用の鎌から派生した「草鎌」という暗殺用の鎌も存在する。通常の農具用の鎌と外見が殆ど違わないため、農民がターゲットの前で堂々と手にしていた事すらあったという。
ただしいずれにしても、戦闘の際は刀や剣、槍と見比べると問題点が多かったのは否めないのだが。具体的には、植物を切断する時と同様に「対象の奥側へ鎌の刃を滑り込ませ、手前へ引く」という動作が必要な分、突く、斬るといった普通の武器と同じ動作で攻撃ができない事などが挙げられ、先述のような戦闘用の武器が相手では分が悪い(勝てない)とする意見も少なくない。
また、武器として用いる鎌は上記以外では鎖鎌が有名であろうか。鎖の両端に鎌と分銅が付いているのが特徴で、鎖で相手の攻撃を弾いたり叩き落としたり、敵の手や足に鎖を巻き付け動きを封じた後に鎌で攻撃を行う、というもの。或いは中距離から鎖を振り回して勢いをつけ、末端に付いている鎌(分銅を投げる場合もある)を投げて攻撃を行うケースもある。ちなみに鎖は鎌の柄の末端に繋ぐ事もあれば、鎌の刃の根元に取り付けている物もあった。
基本的に農民や商人などといった帯刀を許されない身分の者が身に付けていた武器で、鎖鎌術の流派が現在も幾つか存在している。
有名な鎖鎌の使い手は、かつて宮本武蔵とも戦ったと言われる宍戸梅軒が知られているだろう。
また、薙鎌という武器もある。薙刀に似た大きな鎌で、不遷流に残っている。