ADSLとは、
概要
電話収容局から自宅まで引かれている電話線を単なるメタル線とみなし、自宅と電話収容局双方にADSLモデムを設置して通信する。収容局から先は地域IP網で各プロバイダーまで接続する。[1]
これまでのダイヤルアップ接続で使用される信号の周波数帯は4kHzで、通信速度の最大値は56kbpsだったが、ADSLでは26~3750kHzという広い周波数帯を使うため、理論上の最大速度は45Mbpsにまで達した。[2]
2000年代は多くの利用者がいたが、近年はユーザー数も減少し、サービスを終了するプロバイダーも出ている。
NTTは一部の地域を除いてフレッツADSLサービスを2023年1月に終了、[3]ソフトバンクのADSLも2020年3月以降は一部地域から順次終了、2024年3月に完全に終了する。
特徴
ADSL回線はいわゆる「ブロードバンド回線」であり、理想的な条件下であれば高速な通信が期待できるほか、利用料金が多くの場合定額制で、時間を気にせず利用できるという特長がある。また、電話回線をそのまま利用できるので、モジュラージャックの新設等特別な事情がなければ、大掛かりな工事は通常必要ない。
前述の通り、ADSLは理想的な状況下であればかなりの高速通信が期待できるが、環境次第では逆に通信が非常に遅くなったり、最悪接続自体が確立できないこともある。こればかりはADSLの性質上、技術的にどうしようもないので、通常インターネットサービスプロバイダ側でも最低限の品質を保証することはない(このような性質のサービスのことを「ベストエフォート型」という)。光回線もベストエフォート型のサービスとして提供されることが多いが、特にADSLにおいては利用環境によって速度や安定性が大幅に変わってくるので重要である。通常はどんなに頑張っても実効速度は契約速度の8割程度がいいところ、契約速度の1割も出ていないなどというケースもザラである。
ADSLの速度や安定性が環境によって大きく異なる主な原因としては、通信に用いる電話回線が光ファイバーと比較するとノイズを拾いやすいため、伝送損失が発生しやすいことが挙げられる。利用場所が局舎から離れているほどその影響は顕著である。もしもADSLが接続不良で、その原因として局舎から離れていることによる伝送損失の影響が疑われる場合は、インターネットサービスプロバイダ等に相談して回線の速度を調整してもらったりすることになる。光回線の提供エリア内であればそちらに乗り換えるのも手ではある。
また、宅内で使用するモジュラーケーブルについても、宅外の電話回線と同様にノイズを拾いやすい性質がある。そのため、ノイズの影響を少しでも小さくしたい場合は、できるだけ短いモジュラーケーブルを使用し(契約時に添付されてきたモジュラーケーブルがある場合はそれを使用する)、モジュラーケーブルの近くにはノイズの発生源となるような家電製品は置かないようにする。モジュラージャックからパソコンの置き場所まで遠い場合は、モジュラーケーブルを短くする代わりにモデム─パソコン間のLANケーブルを長くするか、無線LANの導入を検討するのも良い。