
オートミールはグルテンフリー?アレルギーのリスクや期待できる効果を解説
栄養が豊富で、健康が気になるときに向いているといわれ話題になっているオートミール。オーツ麦が原料のグルテンフリー食品としても注目されていますが、本当にグルテンが含まれていないのか気になる人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、オートミールはグルテンフリーなのか紹介します。オートミールグルテンと小麦製品との違いも紹介しているので、小麦アレルギーやグルテンによるアレルギー症状、肌荒れが気になる人もぜひ参考にしてください。

管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里
パーソナルトレーナー歴10年以上。 大学で運動生理学やスポーツ栄養学などを学び、栄養士・管理栄養士・NASM(全米スポーツ医学協会)の運動指導者資格を取得。内科クリニックや大手フィットネスクラブでの勤務経験を経て、現在は、東京世田谷区にある女性専用パーソナルトレーニングジムにて、運動指導、食事指導など、お客様を理想の身体へ導くためのサポートを行う。 日本スポーツ栄養協会員。その他活動として、地域住民の健康維持増進のための講座や、Webメディア・雑誌の記事監修も行う。続きを読む
【結論】オートミールはグルテンフリー食材

オートミールは、基本的にはグルテンフリーの食材です。粉にした状態で水を加えながらこねても、小麦粉のようにグルテンが形成されることはありません。
ただし、すべてのオートミールがグルテンフリーに該当するわけではないため、グルテンフリーの食材として選ぶときには注意しましょう。
そもそもグルテンとは何?
そもそもグルテンとは、小麦や大麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種です。粉状にして水を加えると、粘り気が出るのが特徴です。パンやうどん、パスタなどのモチモチ感や、コシのある弾力を叶えてくれます。
グルテンは理想の食感を生み出しやすい成分ですが、特定のアレルギーをもつ人や体質によっては、体調不良を起こす原因となる場合があります。特にグルテンアレルギーの人やセリアック病の人にとっては、体に悪影響を及ぼすことがあるので、グルテンフリーの商品を選ぶことが大切です。
監修者
管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里
オートミールと小麦のタンパク質は違う?

オートミールのタンパク質と小麦製品に含まれるタンパク質は、そもそもの構成物質が異なります。
小麦に含まれるグルテンは、タンパク質のグリアジンとグルテニンが混ざり合って形成される物質で、パンや麺などのモチモチとした食感を生み出しています。一方、オートミールはグルテンを含まないオーツ麦が原料で、食物繊維が豊富な穀物です。
オーツ麦の主要タンパク質は、アベニン(イネ科植物の種子に含まれるタンパク質であるプロラミンの一種)とグロブリンです。
監修者
管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里オートミールに含まれるタンパク質は、小麦などグルテンを含むタンパク質とは異なります。そのため、グルテンアレルギーやセリアック病の方にとっては、比較的安全とされますが、個々の体質による反応の違いがあるため注意は必要です。
アレルギー症状や肌荒れなどの体調不良を引き起こす可能性も
小麦製品独特の食感を生み出してくれるグルテンですが、体質に合わない人もいます。グルテンは、アレルギー症状やアトピー、肌荒れなど人によっては体調不良を引き起こす可能性がある成分です。
特に、アトピーや喘息、セリアック病、グルテン不耐性など、グルテンが体に合わない体質の人は、グルテンを含む食品は選ばないようにしましょう。また、原因がわからない肌荒れや頭痛、腹痛、倦怠感などアレルギーとは一見わかりにくい体調不良を起こす可能性もあるので、注意が必要です。
こういった体調不良の場合、グルテンフリーの製品を選ぶことで肌がキレイになったり、花粉症が緩和したりすることも。原因がわからない体調不良が、実はグルテンによるものだったというケースもあります。
監修者
管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里体質によってはグルテン摂取によって体調不良を引き起こす可能性も。もしも、グルテンに対するアレルギー症状が疑われる場合は、まずは医師など専門家に相談し、適切な食事計画を立てることをおすすめします。
オートミールにグルテンが入ってることはある?
オートミールは基本的にグルテンフリーの製品ですが、すべての製品がグルテンフリーとは限りません。オートミールにグルテンが入る可能性があるケースや、グルテンフリーの製品の選び方を押さえておきましょう。
製造過程で小麦が混入することも!小麦アレルギーの人は注意して

オートミールを工場で加工するときに、同じ工場で小麦などのグルテンを有する製品を加工していると、意図せずに成分が混入する可能性があります。特に、オートミール加工工場では、似たような種類の穀類を扱うケースもあるため、グルテンを含む小麦などの成分が製品に混ざってしまう可能性もあるので注意。
混入した量がごく少量であっても、アレルギーがある人には体調不良を引き起こしたり、身にこたえる問題となったりするケースもあるため、製品の注意書きや成分表をよくチェックしましょう。
監修者
管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里グルテンの有無が気になる方は、製品パッケージに、グルテンフリー表示やアレルゲン表示があるかどうかを確認しましょう。これらの表示は、製造過程でグルテン含有の原料との混合を防ぐために厳格な管理が行われている証です!
グルテンフリーかどうかはラベルを確認して
グルテンが混ざっていないオートミールかどうか確認したいときは、製品のラベルをチェックしましょう。
- ピュア
- オートミール100%
- グルテンフリー
上記の文字が記載されているものを目安に選ぶのがおすすめです。また、パッケージの裏などに記載されている製造時の注意書きで、小麦などの穀類を一緒に製造している工場でつくられていないかをチェックするのもポイントです。同じ工場でグルテンを含むものを取り扱っている場合は、避けたほうがよいでしょう。
日本ではグルテンフリーの明確な基準が設けられていない
海外では、グルテンフリーの製品に対して明確な基準を設けていますが、日本では小麦アレルギーの表示は設けられているものの、グルテンフリーの基準は決められていません。そのため、日本ではグルテンフリーの明確な基準がないので、製造元によって規定が異なります。
EU・アメリカ等のグルテンフリー表示 セリアック病(注)の人の商品選択に資する観点から、「グルテンフリー」表示が可能。表示する際は、グルテン濃度が20ppm以下。 国内のアレルギー表示 数ppm以上の小麦総たんぱく量を含む状況であれば、 容器包装に小麦のアレルギー表示をしなければなら ない。 混入の可能性が排除できない場合については、食物 アレルギー疾病を有する者に対する注意喚起表記を 推奨。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/pdf/allergy_180208_0001.pdf
ただし、海外のグルテンフリー製品も、食品1kgに対して20mg未満であれば「グルテンフリー」と表示してよいとされるケースも多いです。この基準は、セリアック病の人が1日に摂取できるグルテンの量に基づいています。この場合、グルテンフリーの製品だからといって、グルテンが100%含まれていないわけではないため、注意が必要です。
米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)によるとGFDとはグルテン含有量20ppm 未満(1kgあたり20mg未満)の食品と定義しており,米,大豆,キヌア,ジャガイモ,コーンなどが該当する.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology/74/10/74_572/_pdf/-char/ja
グルテンフリーのオートミールはアレルギーがないって本当?
グルテンフリーのオートミールであっても、アレルギー反応が起こるケースもあります。グルテンの成分でアレルギー反応が起こらなくても、含まれているタンパク質に反応してアレルギーの症状が起こる可能性があります。
アレルギーが気になる人は、少量ずつ食べ始めて、様子を見るのがおすすめです。少しずつ体内にいれることで、体への負担がかかりにくくなる場合もあります。
小麦アレルギーではない場合も「交差反応」が起こる可能性がある
オートミールを食べたときにアレルギーの原因が体内に入ってきたと体が間違えて反応してしまうことを「交差反応」といいます。小麦アレルギーではない場合でも起きる可能性があるので注意しましょう。
たとえば、花粉症の人がフルーツや野菜を摂取したときに、アレルゲンと勘違いして反応しアレルギーを起こしてしまうケースもあります。小麦アレルギーが陰性だった人も違う特定のアレルギーをもつ場合、交差反応が出る可能性もあるので注意しましょう。
監修者
管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里食物アレルギーは、ごく微量のアレルギー物質によっても発症することがあります。気になる方は、製品の製造元に問い合わせ、十分なコンタミネーション防止策が取られているか確認してみましょう。
グルテンフリーのオートミールがおすすめな理由
栄養が豊富に含まれるグルテンフリーのオートミールは、美容やすこやかな体の維持におすすめの食品です。どのような点がおすすめなのか、詳しく紹介します。
オートミールには豊富な栄養が含まれている

オートミールは、食物繊維・鉄分・カルシウムといった女性が不足しがちな栄養素がたっぷりと含まれています。偏った食生活になりがちな人や、忙しくて何品も料理ができないというときにもぴったりの食品です。
慢性的な体調不良が改善することも
グルテンに過剰に反応して原因がわかりづらい体調不良が続いていた場合、グルテンフリーのオートミールに置き換えることで、それまでの体調不良が緩和するケースがあります。
特にグルテンに過敏に反応してしまう体質の場合、グルテンフリーのオートミールにすると、アレルギー反応が起こりにくくなる可能性があります。
栄養豊富で美肌づくりに役立つ

オートミールは食物繊維が豊富に含まれているため、腸内環境を整え、すこやかな腸内環境の維持にも役立ちます。
さらには、鉄分やカルシウムなど、食生活で慢性的に不足しやすい栄養素も含まれているので、主食に置き換えることで栄養のバランスが保たれた食事がとりやすくなります。
ダイエット効果が期待できる

オートミールは白米や麺、パンといった主食と比較すると、カロリーや糖質が低いのが特徴です。主食に置き変えることで、摂取カロリーや糖質の摂りすぎを予防してくれるので、ダイエットに役立ちます。
玄米と比べると一食分に含まれるタンパク質は約2倍、白米と比べると食物繊維は約18倍ほど含まれていて、炭水化物のなかでも栄養価の高い穀物です。
栄養が豊富ながら、カロリーは白米の1/2ほどと低く、1食当たりのカロリーは、茶碗1杯分の白米(65g)=234kcalの場合、オートミール(1食分30g)=105kcalと低カロリーです。
さらに、糖質は白米と比べると、1/4以下に抑えられます。糖質制限によるダイエットをしている人や、運動後の食事管理に気をつかっている人にもおすすめです。
監修者
管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里オートミールは食物繊維が豊富で低GIのため、満腹感を持続させる効果があり、ダイエットに最適です。中でもβ-グルカンという水溶性繊維が多く含まれており、コレステロール値を下げる効果も期待できますよ。
オートミールを手軽に取り入れたい人におすすめの食べ方
栄養豊富なオートミールを手軽にとりいれやすい食べ方をチェックしましょう。オートミールを食べなれていない人でも美味しく、気軽に食べられるおすすめのアレンジ方法を紹介します。
オーバーナイトオーツ

オートミールに牛乳や豆乳、アーモンドミルク、ライスミルクといった水分を加えて、ひと晩浸すだけで、オーバーナイトオーツができあがります。ひと晩じっくりと浸すことで、オートミール特有のボソボソした食感がやわらぎます。
牛乳や豆乳などに浸すとクリーミーな口当たりになり、とろんとしたやわらかさが出て、独特の粉っぽさがなくなるのでおすすめです。
デザートや食事にアレンジする

小麦粉や白米の代わりに、オートミールを食生活にとりいれるのもおすすめです。食事のカロリーを抑えて、すこやかな体を維持したい人にもぴったりです。
例えば、オートミールでクッキーやマフィンなどのお菓子を作ると、ザクザクとした食感がアクセントになり、満足感も得やすくなります。ダイエット中で甘いものを我慢するのが苦手な人にも向いています。
また、やわらかくしたオートミールをご飯代わりに使ったチャーハンは、お菓子が苦手な人も食べやすいアレンジレシピです。オートミールを鶏ガラスープに浸して電子レンジで温めると、ひと晩浸さなくてもやわらかくなりますよ。
オートミールを使ったアレンジレシピは、以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひあわせて参考にしてくださいね。
監修者
管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里細かくカットされたクイックオーツや食感がしっかりしているロールドオーツなど、オートミールは形状によって調理時間や風味にも違いがあります。さまざまなレシピがありますので、お好みのアレンジレシピを見つけるのも楽しいですね!
健康や美容のためにもグルテンフリーのオートミールを取り入れてみて!

オートミールは栄養が豊富で、摂取カロリーも白米と比べると低く、ダイエットや日々の美容にぴったりの食品です。しかし、なかにはグルテンが含まれるオートミールもあるので、グルテンによるアレルギーが気になる人は注意が必要です。
選ぶときは、商品ラベルを確認してグルテンフリーのものを選びましょう。すこやかな体づくりや美肌の維持に、グルテンフリーのオートミールを食生活にとりいれてみてください。
監修者
管理栄養士・パーソナルトレーナー伊藤 美里栄養価が高く、多くの健康効果が期待できるオートミール。グルテンアレルギーやグルテンで不調を感じる方は、グルテンフリーのオートミールをいつもの食事に取り入れつつ、バランスよく健やかな食生活を意識してみてくださいね!
グルテンアレルギーやセリアック病の場合、グルテンを消化・吸収する際に体内で炎症を引き起こすことがあり、腸の壁に損傷を与えることがあります。このため、グルテンを含まないグルテンフリーの食事が必要となります。