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更年期障害は、特に女性にとっては大きな問題の1つであるでしょう。症状が強く出てしまう人は、体調不良などに悩まされることも多くなるので、予防や改善につながる対策はできるだけ取っておきたいもの。そこで今回は、更年期障害の症状を軽減させる食材について、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
更年期障害は、卵巣の機能が急激に低下することによって起こります。50歳前後の女性がしばしば経験する、適用の過程で起こる症状です。
症状をすごく強く感じる人とそうでない人の個人差は結構ありますが、年齢によって起こるただの症状であって、病気ではないです。
ただ、急に顔が赤くなったり汗がバーッと出たりするホットフラッシュや、原因不明の体調不良などが起こったりするので、症状が激しい人にとっては1日でも早く治まってほしいものでしょう。
そういった方は婦人科を受診して薬をもらったりもしますが、ホルモンの変化を強引に処方で改善することは現実的には全く効果がありません。
もし効果が出たとしても、何らかのホルモン異常のツケを将来に回すことになるだけです。
何かの原因で崩れたホルモンバランスを無理やり修正しようとすると、その歪みが別の所に出て、将来何かを引き起こす可能性もあります。
そのため、いかに更年期障害を自然に治めていくかが非常に重要です。
韓国の伝統的な大豆の発酵食品で、韓国の味噌である「テンジャン」というものがあります。このテンジャンに更年期症状を改善する効果があると報告されています。
以前から、大豆の摂取が火照りや血管運動症状と言われるホットフラッシュを減少させるとの研究報告はありました。
日本や韓国、台湾、インドネシアなどのアジアの諸国は、大豆の摂取率が非常に高く、アメリカや欧米諸国に比べると4~9倍は摂っています。
更年期症状による火照りの発症率を見てみると、欧米人の女性は6~9割なのに対して、アジア人の女性は10~25%くらいとかなり低いです。これは恐らく大豆の影響だろうと言われています。
大豆ベースの食品は女性ホルモンの代替となる可能性があり、ホルモン用の活性と抗酸化活性があることで、そういった症状を抑えてくれると言われています。
大豆そのものには、イソフラボン、サポニン、フィチン酸、フィトステロールという植物性のステロールなどが豊富に含まれていて、体のダメージや体の症状の発症を防いでくれています。
テンジャンと日本の味噌はどちらも大豆を発酵させたものですが、大豆の処理法が違います。味噌は皮を剥いた大豆を発酵させていますが、テンジャンは皮を剥いていない大豆を発酵させています。
伝統的に時間をかけて作ったテンジャンと市販のテンジャンの有効性に違いがあるかどうか、両方が更年期に対して有効かどうかを見るという研究も行われています。
閉経を迎えて更年期障害が強いと診断された45~70歳の成人女性に、伝統的なテンジャンと市販のテンジャンを錠剤にして飲んでもらいました。4週間飲んだところ、伝統的なテンジャンでも市販のテンジャンでも更年期の症状が明らかに改善しました。
この結果を見ると、日本人も味噌を摂取することが重要で、更年期に対する切り札になる可能性も高いと考えられます。
市販の味噌でもいいですが、やはりしっかりと発酵させた伝統的な味噌のほうがいいです。テンジャンでは、時間をかけて発酵させた伝統的なものはLDLコレステロールが下がったという点が、市販のものとの違いでした。
一般的に更年期の女性は、LDLコレステロールが上がり始め、中性脂肪がさらに上がり始めます。そのため、伝統的なテンジャンのほうが、より自然な形で女性ホルモンのバランスを取ってくれることになります。
遺伝子組み換えの大豆の懸念などもあるので、国産の大豆を使った伝統的な味噌を選ぶことが、予防も含めて、更年期症状で悩む期間が短くなったり、悩まなくて済むようになったりすることにもつながるでしょう。
(TEXT:山田周平)
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画像提供:Adobe Stock
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は37万人超(2024年1月時点)。