Beat the Beast by Doggystyle
草食系男子とかいう軟弱者がもてはやされる今の日本で、対極を行く肉食系バンド、犬式 a.k.a.Dogggystyleが2009年1月に活動休止宣言をした。今更、彼らについて書くべきではないのかもしれないけれど、どうしてももう一度耳を傾けてほしいから書く事にする。
音楽についての細かい説明はしない。とにかく聴いてほしいし、犬式とは一つの“思想”なのだから。
97年第1回フジ・ロックで、まだ素人だった19歳の三宅洋司が2弦の切れたガット・ギターを弾き、ジョーストラマーが歌ったというセッション。
2003年のフジロックで予定時間3倍を超える演奏。
逸話が多いバンドだけれど、最大の魅力はライブにある。Vo. 三宅の強烈にアジテートするMC、歌詞、ジャム・スタイルの演奏。全てが一つにつながっている。
戦いだ。レベル・ミュージック。
目の前のでっかい腐ったシステムを変えたいという、心の底から伝えたい思いがあるから、ステージに立つ。大声で歌う。魂を込めて全身で自己主張をする。こんな時代に当然の事を当然のようにしているバンドだからこそ、珍しくもあり、最高にロックな存在だ。
犬式を聴くようになったきっかけは『Life Is Beatfull』の1曲目「『草の葉』第32節」。アメリカ合衆国の詩人でヒューマニストである、ウォルト・ホイットマンの「草の葉」という詩の引用から始まる曲だ。この詩を聴いて、すぐに「草の葉」を全巻読んだ。自由を讃え理想を求めるホイットマンの思想は犬式のそれだった。この曲を聴いてから5年、理想とはほど遠い国の現状、さらには情報を制限して、自らを表に出さないことを戦略とするバンドが増えて行く中で、活動休止後も強烈な自己主張をするこのバンドを今こそ聴くべきなんだ。(text by 池田義文)
Life is Beatfull
メジャーでの活動を経て2004年、自らのレーベル“provincia RECORDS”を発足させ、シングル「月桃ディスコ」、アルバム「Life is Beatful」をリリースした犬式a.k.a.Dogggystyle。インディーズとしては異例のセールスを記録するも、発売元の諸事情により長らく流通がストップし幻となっていた作品。盟友SOIL&“PIMP SESSIONS、解散したBUSH OF GHOSTSのBUNBUNとU-CHANG(SOULFIRE、一番星クルー)、Keyco、有坂美香(Reggae Disco Rockers)、cro-magnon(ex.LOOP JUNKTION)など豪華ゲスト陣に囲まれた全11曲ロックとレゲエを融合させた、これぞ現代のリアル・レベル・ミュージック。
Diego Express
2007年発表、犬式のセカンド・アルバム。前作からよりグルーヴィになったサウンドに三宅洋平のリリックがのり、さらに世界観は広がりを見せる。今までと同様、感情を揺さぶる激しさに加え、今作は「聴かせる」楽曲もあるバラエティに富んだ全11曲。
VISUAL CLIP
LIVE SCHEDULE
三宅洋司 ソロ
- 4/16 (木) ZION LIVE@神奈川/藤沢 「菜音」
- 4/17 (金) 三宅洋平ソロライブ@兵庫/神戸 chelsea
- 4/18 (土) マナブちゃんお楽しみ会「春のうたげ」@兵庫/姫路
- 4/28 (火) JAM☆PANIC@東京/吉祥寺Star Pine's Cafe
- 5/2 (土) sunsui 4th ANNIVERSARY AFNICA presents Impression 〜piece of PEACE〜@大阪/鰻谷
LINK
- 犬式 a.k.a.Dogggystyle website : http://www.inushiki.com/
- 犬式 a.k.a.Dogggystyle myspace : http://www.myspace.com/inushiki
- 三宅 blog : http://blog.goo.ne.jp/nbsa-inushiki/
- ねたろう日記 : http://star.ap.teacup.com/minetarou/
- グロブログ : http://black.ap.teacup.com/groblog/
犬式 a.k.a.Dogggystyle
1998年結成。東京都武蔵野市吉祥寺の文化圏にて育まれた独自性の強いロック・バンド。洋の東西を問わず70年代音楽の持つ旺盛な雑食性にこそ「ロック」の本質を見い出し、日本で巷に語られる形骸化したロックの在り様に対するアンチテーゼを掲げる。また、レゲエ・パンクに端を発する「REBEL音楽」への精神的な共鳴は、黒人的なリズム音楽への傾倒を生み出す。
思想・哲学を煮詰めた先にこそ突き抜けた肉体音楽の存在を見出し、自我の覚醒を呼び覚ます完成度の高いリリック・即興的に吐き出される扇情的MC・磐石の演奏陣によるカテゴライズ不能なザ・オリジナル・サウンドは、プログレッシブなレゲエ・ロックとでも形容するよりほかはない。その愚直なまでに誠実な「革命性」と「ロックの初期衝動」の貫き方は、他の追随を許さない。言動ともに枠にはまらないことにかけては日本一ともいえる。 フロントマン三宅洋平は、nbaa+÷(04年〜)徹頭徹尾(02年〜)等のイベントも手がける。2002年のデビュー以来5枚の作品をリリース。6枚目の作品『diego express』が07年4月よりホームページでの通販及びライブ会場にて販売開始。圧倒的なオーラを放つライブ・バンドとしての定評は。数々の野外フェスでも証明された。