登録日:2023/02/28 Tue 21:01:13
更新日:2024/09/07 Sat 11:02:19
所要時間:約 12 分で読めます
東京メトロ千代田線(ちよだせん)は、東京地下鉄(
東京メトロ)の地下鉄路線である。
東京都足立区の綾瀬駅と渋谷区の代々木上原駅を結ぶ本線と、綾瀬駅と北綾瀬駅を結ぶ全長2.1kmの支線(北綾瀬支線)が存在する。
ラインカラーは
グリーンで、路線記号は「
C」。
鉄道要覧における路線名は「
9号線千代田線」。
概要
大手町・霞ケ関などといった官公庁やオフィス街を経由することから通勤路線としての性格を持ち、
日比谷線の混雑緩和のためのバイパス路線としての役割も担っている。
北綾瀬支線は綾瀬車両基地への回送線を旅客化したもので、沿線住民の要望を受けて1981年に開業した。
開業から長らく綾瀬までの3両ピストン輸送を実施していたが、2019年に北綾瀬駅のホーム10両対応工事が完了し、同年3月のダイヤ改正から本線から直通する列車も設定された。しかし常磐線ユーザーからは目の敵にされているとかなんとか…
なお10両化後はJR車のピストン運用も存在する。
混雑率も
東西線に次いで第2位であり、1984年度には
260%を記録している。
1998年頃までは210%以上の混雑率が続いていたが、新CS-ATCの導入による増発や
半蔵門線と
東武伊勢崎線の直通運転開始で北千住〜大手町間のバイパス路線ができたことにより、混雑は190%以下にまで緩和された。
とはいえ現在も180%程度の混雑率であり、この路線の混雑っぷりが窺える。
綾瀬から
JR常磐緩行線、代々木上原から
小田急小田原線・
江ノ島線と直通運転を行なっており、常磐線は最長で取手、小田急線は最長で伊勢原まで乗り入れる。
常磐緩行線とは事実上一体の運行形態となっており、駅番号も当線から続いて付番されている。
そのためダイヤ乱れ時にも常磐緩行線との直通が切られることはほとんどないが、逆に小田急の場合はダイヤ乱れ時にはほぼ必ずと言っていいほど直通が切られる。この差は一体……。
全線ホームドア設置済みで、ATOによる自動運転を行っている。
北千住~綾瀬間は常磐線と同一路線の扱いであり、
メトロでもありJRでもある区間である。
そのため、この区間では
青春18きっぷなどのJRの企画乗車券の利用も可能である。
列車種別
小田急線内では急行・準急で運転される列車があり、それらは千代田線内でも乗り入れ先の種別で案内されるが、いずれも千代田線内は各駅に停車する。そのため、ここでは乗り入れ先で優等種別になる列車についても「各駅停車」の括りで解説する。
すべての列車が綾瀬駅を通るようになっており、霞ケ関・明治神宮前を発着とする区間運用の列車はあるが、代々木上原方面の途中駅始発や綾瀬方面の途中駅止まりの列車は設定されていない。
日中の運行パターンはそれぞれ、
- 綾瀬〜代々木上原 毎時3本
- 北綾瀬〜代々木上原 毎時3本
- 我孫子〜代々木上原 毎時3本
- 我孫子〜向ヶ丘遊園(小田急線内急行) 毎時3本
- 北綾瀬〜綾瀬 毎時3本
となっている。
地下鉄直通対応の
ロマンスカーMSEを使用して運行される特急列車で、日本では非常に珍しい地下鉄に乗り入れる有料特急列車である。
千代田線内は退避可能な駅がなく、前後の列車との合間を縫って走行するため地下鉄区間ではそこまでスピードは出ない。
全列車が北千住発着で、箱根湯本まで乗り入れる「メトロはこね」、土休日のみ運行される
小田急江ノ島線直通の「メトロえのしま」、通勤時間帯に運行される「メトロモーニングウェイ・メトロホームウェイ」が設定されている。
線内の停車駅は大手町、霞ヶ関、表参道で、千代田線内のみの利用は不可(小田急線内・箱根登山鉄道線内のみでの利用は可能)。
代々木上原では乗務員交代のため運転停車を実施する。
使用車両
自社車両
6000系置き換えのために2010年に登場。
従来の省エネルギー化や安全性・快適性の向上などに加え、「環境」をコンセプトに設計された。
1次車の5編成は貫通扉が中央に設置されているが、運転士の視認性向上のため以降の編成では車掌台寄りに移動した。
2015年から導入された4次車はフリースペースが全車両に設置されたほか、帯の配色や走行機器などが一新されており、1~3次車とは別形式と言っていいほどのマイナーチェンジが図られた。
2011年鉄道友の会ローレル賞受賞。
北綾瀬支線用の車両。
元々は
東西線で使用されていた車両で、5000系・6000系ハイフン車置き換えのために編成短縮と大規模な修繕工事を実施して投入された。
カラーリングも16000系に近いものとなっている。
支線運用のほか、新木場にある
東京メトロ総合研修訓練センターの実地訓練車としても使用される。
他社車両
JR東日本の車両で、E233系の他番台とは異なりストレート車体で貫通扉が設置されている。
当初は小田急乗り入れ非対応だったが、順次乗り入れ対応工事がなされ、2016年より乗り入れを開始した。
1000形置き換えのため、E233系2000番台をベースに製造された車両。
まんまE233系なのだが前面デザインはVSEを手掛けた岡部憲明氏が監修している。
当初はJR乗り入れ非対応だったが、順次(ry
千代田線直通の特急ロマンスカーで使用される車両。
小田急線からJR
御殿場線へ直通する特急「ふじさん」にも使用されるため、東京メトロのほか
JR東海への乗り入れに対応している。
過去には臨時列車で有楽町線に乗り入れたこともある。
過去の使用車両
1968年に登場。
「21世紀の電車」をコンセプトに開発され、更新工事を経て45年以上の長期にわたって活躍した。
貫通扉を正面から向かって左側に寄せたデザインは地下鉄のみならず、日本の鉄道車両デザインに革命をもたらした。
技術面では回生ブレーキ付きサイリスタチョッパを世界で初めて採用した車両で、サイリスタチョッパの実用化を図る目的で1968年に落成した1次試作車は「ハイフン車」という別名を持っていた。
1990年まで長期間製造が行われたため、製造時期によって内外装に違いがありネタに事欠かない形式となっている。詳細は
個別項目を参照。
2018年に全車引退。一部の編成はインドネシアに譲渡された。
最後まで残った第2編成は新木場車両基地で保存されている。
輸送力増強のため1992年に登場。
07系とは兄弟形式にあたり、同時にお披露目されている。
増発に伴う車両不足分を補うために導入されたため、結果1編成のみの製造に留まった。
1編成のみで運用範囲が小田急から常磐線までと広範囲のため、撮り鉄泣かせだった形式でもある。
ホームドアに対応できないことからいらない子となってしまい、登場から22年で廃車となってしまった…。もっとも、6000系の第35編成はコイツより短命に終わっているが。
開業と同時に導入された車両。
東西線のイメージが強いが6000系の製造が間に合わずこちらでも走っていた。
6000系の増備に伴い徐々に撤退し、1981年に本線からは運用離脱。
北綾瀬支線ではその後も細々と使われて2014年に全車引退した。
現在はアルミ車の5914Fが新木場車両基地で保存されている。
有楽町線から移籍して現在は東西線を走る車両だが、2008年9月から12月まで予備車として千代田線で営業運転をしていた。
短期間の運行のため小田急線には乗り入れなかった。
1971年の千代田線・常磐緩行線直通開始に向けて登場した車両。
トンネル内での排熱による温度上昇が頻発し、冷房もないことから車内がサウナと化す事態に陥ることが多く「鉄板焼き電車」なる悪名で呼ばれた。
1983年から203系の導入に伴い置き換えが開始され、常磐快速線に転用されたほか一部は105系に改造された。
1986年に直通運用から撤退。
前述したトンネル内温度低減および営団との消費電力格差削減を目的として、1982年に登場した。
当初は常磐緩行線の取手延長名義で1編成のみが登場し、1984年から量産・置き換えが開始された。
基本設計は先に登場した201系に準じているが、車体をアルミ製としたことで軽量化を図り、後に増備された100番台は
205系と同じボルスタレス台車を搭載した。
引退後、一部編成はインドネシア・フィリピンに譲渡された。
1986年に登場した国鉄初にして唯一のVVVF制御車で、1編成のみ製造された。
205系に貫通扉を付けたような外観をしている。
JR西日本にも207系という形式が存在するが、そちらとは全く関係ない。
千代田線と常磐緩行線の保安装置更新に伴う増発用に2編成が導入された。
外見は0番台に近いが、前面部分が銀色になっており、先頭車の全長もちょっと短い。
2018年に直通運用から撤退し、
中央快速線のグリーン車導入に伴う予備車確保のため同線に転属した。
小田急開業60周年を記念して1988年に登場した車両で、9000形置き換えのために1989年より千代田線への乗り入れを開始した。
4000形導入に伴い2010年までに全車両が直通運用から撤退した。
1972年に登場した車両で、千代田線乗り入れは1978年の乗り入れ開始時から1990年まで使用された。
営団6000系に引けを取らないデザインというコンセプトから、運転席・助士席の窓を屋根近くまで拡大するという当時としては画期的な前面デザインを採用。
白い車体と合わせて「
ガイコツ」の通称で呼ばれるようになり、日本各地に類似デザインが登場することとなった。
だが、このデザインの元祖は大阪市営地下鉄堺筋線の60系だったりする。
1973年鉄道友の会ローレル賞受賞。
駅一覧
ナンバリングは代々木上原駅から割り振られているが、ここでは起点である綾瀬駅から解説する(北綾瀬駅は最後に解説)。
北綾瀬支線、JR
常磐緩行線との接続駅。
JRの駅でもあるが、
東京メトロ管轄駅のため購入できるJRの乗車券には制限がある。
所在地は足立区ではあるが、駅の一部は葛飾区にも跨っている。
日比谷線、JR常磐快速線、
東武スカイツリーライン、
つくばエクスプレス線乗り換え。
利用者数世界第6位のターミナル駅。つくばエクスプレス以外はすべて改札内で繋がっている。
一時期、千代田線ホームの駅名標が「北
干住」と誤植されていたことが話題になった。
JR
山手線・
京浜東北線、
日暮里・舎人ライナー乗り換え。
国鉄との接続駅とすることを前提として作られたため、国鉄駅は千代田線開業2年後の1971年に開業し、両者の連絡改札も設置された。一方で日暮里・舎人ライナーのホームはかなり離れている。
有名進学校の1つである開成高校の最寄り駅。
単独駅。駅周辺は歴史的建造物や史跡などが多数点在しているエリアとして人気が高い。
南北線東大前駅、
丸ノ内線本郷三丁目駅とともに
東京大学最寄り駅の1つ。浅野キャンパスの最寄り駅はこちら。
かつては駅構内に6000系を模した書棚の無料図書室「メトロ文庫」が設置されていた。
湯島天満宮最寄り駅でアメ横からも遠くない。
銀座線上野広小路駅と
都営地下鉄大江戸線上野御徒町駅が近いが、正式な乗り換え駅扱いはされていない。
丸ノ内線(淡路町駅)、
都営地下鉄新宿線(小川町駅)乗り換え。
丸ノ内線への乗り換えは都営新宿線小川町駅を挟むことになり非常に手間がかかるので、隣の大手町での乗り換えがおすすめ。かつては御茶ノ水駅が連絡運輸駅の扱いだった。
東西線・
半蔵門線・丸ノ内線、
都営地下鉄三田線乗り換え。
日本経済の中心ともいえる場所で、駅周辺には大手企業の本社が多数集まり、日本経団連のビルも近くにある。
皇居二重橋最寄り駅で、丸ノ内線にはない千代田区丸の内の駅。「丸の内」の副駅名を冠する。
東京駅と地下通路で直結しており、乗り換え駅扱いはされていないがJR線、丸ノ内線との乗り換えも一応可能。
近くには外国人特派員協会、東京商工会議所、東京會舘が入居している丸の内二重橋ビル、帝国劇場などがある。
駅の改札は2ヶ所あるが、代々木上原寄りの改札は23時になるとシャッターが降りて閉鎖、綾瀬寄りの改札しか利用出来なくなるので、ご利用は計画的に。
日比谷線・
有楽町線・都営三田線、JR山手線・
京浜東北線乗り換え(有楽町線とJRは有楽町駅)。
都立日比谷公園や東京国際フォーラムの最寄り駅。
少し歩けば、銀座は近い。
丸ノ内線・日比谷線乗り換え。
朝ラッシュ時を中心に当駅折返しの列車が設定されている。
日比谷線とは日比谷と霞ヶ関どちらでも乗り換えられるが、日比谷は綾瀬寄り、こちらは代々木上原寄りにそれぞれ乗り換え階段がある。
丸ノ内線に乗り換える場合は日比谷線ホームを経由することになり、約5分ほどかかる。
建設時には旧海軍省の防空壕に突き当たり、これを壊して建設したとか。
官庁街の中心に位置することから、1995年の
地下鉄サリン事件の標的となり、当時助役を務めていた職員2人が亡くなった。
これを受けて、1996年から毎年3月20日には当駅で黙祷が行われている。
丸ノ内線乗り換え。銀座線・南北線の溜池山王駅とは改札内通路で繋がっている。
名前通り国会議事堂最寄り駅。ホームが湾曲しているので終日立ち番が配置されている。
東京メトロ管轄の駅で最も深い所にある。有事の際には核シェルターとして利用できるのでは…という
都市伝説が存在することで有名。
TBS放送センター最寄り駅。そのため「TBS前」の副駅名がある。
赤坂見附駅とは500~600mほど離れている。
オフィスビルや商業施設が集中しているためか、単独駅としては最も利用者数が多い。
乃木神社およびSMILE-UP.(旧
ジャニーズ事務所)本社のあるSME乃木坂ビル最寄り駅。
このことから乃木坂46の聖地としても知られ、ファーストアルバム『透明な色』のジャケット写真が当駅で撮影されているほか、発車メロディに『君の名は希望』が使われるほか、駅構内にはメンバーの生誕を祝うファンクラブ特製のポスターが掲示される。
日比谷線六本木駅にも近く、国立新美術館や東京ミッドタウンはここから行ったほうが便利。
銀座線・半蔵門線乗り換え。
周辺は表参道ヒルズなどオシャレなお店が多い。
副都心線、JR
山手線(原宿駅)乗り換え。原宿の最寄り駅であることをアピールするため、副都心線開通後に「原宿」の副駅名を冠するようになった。
ラッシュ時に当駅折返し列車が設定されている。
トンネル建設中、
ナウマンゾウの化石が1頭分発掘されたことがある。
線内で最も利用者数が少ない駅。
当駅の明治神宮前寄りに最大8編成を収容可能な留置線がある。
代々木上原開業までは小田急の代々木八幡駅と連絡運輸も実施していた。
終点駅。
小田急小田原線乗り換え。
駅は小田急の管轄で、千代田線系統の列車は2・3番線ホームから発車する。また、3番線ホームには
東京メトロ仕様の発車標が設置されている。
小田急線新宿方面と千代田線綾瀬方面は対面乗り換えが可能
で、ラッシュ時は地獄絵図と化す。
駅前も道幅は狭い。
すぐ北側に綾瀬車両基地が設置されている。複線だがホームは片側のみ設置されており、もう1本は車両基地への回送線となっている。
現在は駅周辺の大規模な再開発が進んでいる。
追記・修正は取手~伊勢原間を乗り通した人にお願いします。
- 作成乙。あとメトロで未作成は丸ノ内線だけかな。 -- 名無しさん (2023-02-28 21:59:57)
- ベッドタウンから若者向けの街、官公庁街、オフィス街を通りベッドタウンに抜けるからか、客層は非常にバラエティ豊か。 -- 名無しさん (2023-03-02 13:33:17)
最終更新:2024年09月07日 11:02