フィギュアスケート男子で五輪2連覇を成し遂げたプロスケーター、羽生結弦さんが座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata(ノッテ・ステラータ)」が3月7~9日、宮城県利府町のセキスイハイムスーパーアリーナで開催され、7日はメディア公開もあった。羽生さん自身も被災した東日本大震災から11日で14年。羽生さんが震災の夜に目にした「満天の星」を意味するタイトルが付けられたショーは、プロになってから3年連続での開催となった。

今回は、スペシャルゲストの狂言師・野村萬斎さんとの共演が実現し、集団演目の「MANSAIボレロ」や五輪2連覇など幾多の伝説を生み出してきた代表的プログラム「SEIMEI」に、鎮魂と希望の祈りを込めた。思いを寄せるのは、生まれ故郷の被災地だけではない。会場内に昨年9月に復興への願いからチャリティー演技会を行った石川からも特産品などを販売する出店コーナーが設けられた。
念願の野村萬斎さんとの共演
「今日が千秋楽なのかなっていうぐらい、全体力と気力を使い果たしました。それくらい、一瞬も気持ちを切らさずに、少しでもこの会場で全てのメンバーと、『3・11』や様々な災害に対してできることや、何かのきっかけになれるようにと願い、祈りながら滑らせていただきました」
ショーを振り返った羽生さんの感想に偽りは微塵もなかった。
オープニングからしなやかな肉体を駆使した滑りで氷上を舞い、会場を温かく穏やかな雰囲気に包み込んだ。今年も競技者時代から絆の深いスケーターたちとともに、とっておきのプログラムを携えて被災地へ降臨した。
前半の第1部から早くも大きな魅せ場が訪れた。
リンク中央に特設舞台が設けられ、萬斎さんの代表的な演目「MANSAIボレロ」が幕を開けた。狂言特有の力強い足拍子が披露され、羽生さんは他のスケーターとともに舞踊音楽「ボレロ」の調べに合わせ、和装姿で演じた舞に滑りに気持ちを込めた。
「ノッテ・ステラータを立ち上げる当初から、萬斎さんとはいつかコラボレーションしたいということを話していて。その中でも、やはりボレロは、鎮魂と再生の物語であるということも含めて、絶対やりたいなと思っていました」