中国の輸出入は貿易収支では黒字だが、サービス収支では赤字という状況が続いてきた。だが、弱かったサービス収支も2018年をピークに減少傾向にある。24年はサービス貿易の輸入は前年比11.8%増の4兆3482億元(約87兆円)。その約半分にあたる2兆512億元は海外旅行によるものだ。一方、輸出は18.2%増の3兆1756億元だった。
サービス輸出の新たな目玉として、ネット小説、ネットゲーム、ネットドラマが注目を集めている。モノの輸出ではEV(電気自動車、太陽光パネル、バッテリー)が新三様(新・三種の神器)と呼ばれているが、サービス輸出ではネット小説、ネットゲーム、ネットドラマが「文化輸出、新・三種の神器」と呼ばれている。
日本の消費者にとってもすでになじみのある存在となっているのがゲームだろう。ネットを使えば、ちょっと怪しげな中国ゲームの宣伝が大量に流れてくる。面白そうなので、ついダウンロードしてしまったという方も相当数いるのではないか。
中国ゲームの現状とその強さについて解き明かしていこう。
中国向けと海外向け、まったく違う中国ゲーム
中国映像デジタル出版協会の報告書「中国ゲーム産業報告」によると、中国ゲーム産業の海外売上は24年、186億ドルを記録した。10年前から3.6倍と大きな飛躍を果たしている。
このうち73%がスマートフォンゲーム、21%がPCゲーム、4.6%が家庭用ゲームだ。一時は人気だったブラウザゲームは衰退が続き、1.4%にまで減少している。中国ゲームメーカーの進出先としては1位が米国、2位が日本、3位が韓国と続く。
直近では21年をピークに減少傾向が続いていたが、昨年から回復基調に戻った。この原因だが、21年はコロナ禍の巣ごもり需要が強くその反動が出たことが一因。また、21年8月に中国政府はゲーム規制を通達、未成年は金土日と祝日の午後8時からの1時間しかオンラインゲームをプレイできないという厳しい内容だ。政府のゲーム規制はその後も強化されるとの見方も広がり、中国企業は新作ゲームへの投資をしぼった。その影響があったとみられる。