OpenAIの出資するエニスフィア(Anysphere)が数億ドル規模とみられる巨額の資金調達を計画している模様だ。上の画像は同社のAI搭載コードエディタ「Cursor(カーソル)」ウェブサイトより。
Screenshot of Cursor website
AI搭載コードエディタ「Cursor(カーソル)」を開発・提供するスタートアップ、エニスフィア(Anysphere)が新たな資金調達ラウンドを計画している模様だ。
情報筋によると、主要な出資元は大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(A16z)で、実現すれば評価額は4億ドルを突破する見通しで、前回の資金調達時から大幅に増加することになる。
エニスフィアは2022年創業。
米調査会社ピッチブック(PitchBook)のデータによれば、前回ラウンド(2023年7月)の調達額は800万ドル、評価額は5650万ドル。リード投資家はOpenAIのスタートアップファンドで、セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)やボックスグループ(BoxGroup)らも参画し、累計調達額を1100万ドルまで積み上げていた。
今回判明した新たなラウンドでの具体的な調達額は明らかになっていない。交渉はまだ最終合意に至っておらず、今後評価額などが変更される可能性もある。
エニスフィアはコメントを控えた。A16zにもコメントを要請したが返答は得られなかった。
米テッククランチ(TechCrunch)の2023年10月11日付記事によると、エニスフィアを共同創業した現最高経営責任者(CEO)のマイケル・トゥルエル氏、スアリー・アシフ氏、アービッド・ルンネマルク氏、アマン・サンガー氏の4人はマサチューセッツ工科大学(MIT)の同級生。
同社ウェブサイトの記載によれば、エニスフィアは「卓越した生産性を実現する人間とAIの(ハイブリッド)システム構築に取り組む応用研究ラボ」で、冒頭で触れたAI搭載コードエディター「Cursor」は同社が最初に市場投入した製品。
Cursorは、コードのオートコンプリート(自動入力)、自然言語からのコード生成、コードベース(=開いている特定のファイルやドキュメント)に関する質問への回答などエンジニアの作業を効率化する各種機能を備えた統合開発環境(IDE)。
フリーミアムモデルを採用し、高度な機能を全て使用できるビジネスプランでは、1ユーザー当たり月額40ドルを課金する。
対話型AI「ChatGPT」の開発元でエニスフィアの出資元でもあるOpenAI、画像生成AIのミッドジャーニー(Midjourney)、日本のソフトバンクグループも出資するAI検索エンジンのパープレキシティ(Perplexity)などの有力スタートアップがこのエディタを導入している。
前出ピッチブックのデータによれば、エニスフィア同様にAI統合開発環境を提供するリプリット(Replit)は2億2700万ドル超、ソースコード検索ツールを提供するソースグラフ(Sourcegraph)は2億2300万ドル超と、AIコーディング分野では大規模な資金調達が相次いでいる。