米・ホワイトハウスで11日、報道官が日本はアメリカに不利な貿易を行っているとして、コメへの関税を批判した。
実際の関税率は約200%で、撤廃されればアメリカ産米が安くなるが、消費者の選択変更や業務用での使用拡大など予測され、日本の農家への影響が懸念される。
ホワイトハウス報道官がアメリカ産米への関税率に言及
11日、アメリカ・ホワイトハウスの報道官が会見で、日本の食卓に関わる注目の発言をした。
狙われたのは、日本が輸入米に掛けている関税だ。

12日のテーマは、「関税戦争でカリフォルニア米が安く?ソレってどうなの?」だ。
アメリカのレビット報道官はワシントンで11日、EU(ヨーロッパ連合)、インド、日本に対し、アメリカに不利な貿易を行っていると発言した。
日本がアメリカ産のコメに課している関税について、このように批判した。
レビット報道官:
日本はコメに700%の関税を課しているのを見てください。
そのうえで、トランプ大統領が進める関税戦争の対象になる可能性を示唆した。

実際に日本は700%も関税を掛けているのか。
農水省によれば、2001年ごろのWTO(世界貿易機関)の貿易自由化の交渉で、当時のコメの国際価格に基づき、税率に換算すると778%だという。
しかし、政策研究大学院大学の川崎研一教授は、現在の実行関税率は204.3%だと試算している。
日本が義務として輸入している年間約77万トンのコメを除き、国産のコメの価格に影響を与えないよう、1kgあたり341円の関税を掛けている。

では、もしも日本がアメリカ産のコメに掛けている関税がなくなれば、アメリカのコメはどのくらい安くなるのだろうか。
例えば、5kgで3000円のカリフォルニア産のカルローズ米の場合、1705円の関税がかかっている。
つまり関税がなければ、計算上は3000円から1705円を引いた、1295円で売られることになるはずだ。
コメの価格が高騰している中でこの値段は魅力的だが、カルローズ米がスーパーで売っていたら買うか、街の人に聞いた。
街の人:
味は試してみないと…だが、もしそんなに変わらなかったら、それだけ安かったら(カルローズ米を)買うかな。
街の人:
おいしければいいと思う。カリフォルニア米で、なおかつ有機とか農薬のこととかちゃんとできてるものなら、安ければそっちがいい。
一方で、それでも日本のコメを買うという方もいた。
街の人:
私は日本米を食べる、しばらく。日本のお米すごくおいしいし、自分たちで作ったものを自分たちで食べたい。
街の人:
国産で育ってるからね、国産が断然かな。
コメの関税撤廃なら国産農家へ深刻な打撃
青井キャスター:
ーーパックンは安くなれば、(アメリカ産のコメを)買います?

スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
ピラフとか食べたいときはカルローズにすると思うんですけど、僕は基本、日本米ですかね。しかし皮肉なもので、そもそも日米間の関税を撤廃しようとしていたのはTPP(環太平洋パートナーシップ)協定で、オバマ政権中に結ばれたのに、それを離脱したのはトランプ大統領ですからね。
注目が集まるカルローズ米だが、国産のコメと比較して少し細長く、食感はパラパラとしているものの、味はほぼ同じといわれる。

実際、カルローズ米の味はどうなのか、五つ星お米マイスターの澁谷梨絵さんに聞いた。
五つ星お米マイスター・澁谷梨絵さん:
日本のコメに比べるとちょっと粒が大きめ。味わいはあっさりしている感じ。日本のコメはすごくもちもち、しっかり粘り気のある食感だが、(カルローズ米は)粘り気が少なめであっさり。さらっと食べられるようなコメ。
カルローズ米は牛丼やカレーなど汁気のあるものや、チャーハンやピラフなどにも合うといわれている。
一方で、関税が撤廃されると、日本の農家への打撃は大きいと澁谷さんは言う。
五つ星お米マイスター・澁谷梨絵さん:
農家を守るためにも、国産のコメを食べてほしいのが前提だが、業務用では(カルローズ米が)より活用されていく可能性はある。景気も厳しい中で、「カルローズ食べられるしいいかな」と思って食べることも発生してくるので、(日本の農家にとって)かなり深刻だと思う。
今後、コメの関税という聖域は撤廃されるのか、注目が集まっている。
(「イット!」3月12日放送より)