にんげんかいはつ‐しすう【人間開発指数】
人間開発指数
国連開発計画(UNDP)の総裁特別顧問であったマブーブル・ハックは1990年、社会の豊かさや進歩を、経済指標にのみ注目して見るそれまでの経済中心の開発に対し、「人間が自らの意思に基づいて自分の選択と機会の幅を拡大させる」ことを目的とする「人間開発」という新しい開発概念を提唱した。その度合いを測るために設定されたのが人間開発指数であり、「健康で長生きすること」「教育を得る機会」「一定水準の生活に必要な経済手段が確保できること」の側面を指数化することによって、時間の経過による改善や後退、またその達成度の国際比較ができるようにしている。そのために各国の出生時平均余命、成人識字率と総就学率、一人当たりGDP(PPP US$)が指標として用いられ、0から1の間の指数が算出されて、毎年出版されるUNDPによる「人間開発報告書」の中で公表されている。同じ2000(PPP US$)台のGDPであるベトナムのHDIは0.7、パキスタンは0.5というように、経済指標だけでは推し量れない社会開発の側面が示されるという特徴を持っている。またHDIに対してさらにジェンダー不平等の側面を反映させて補正されるジェンダー指数(Gender Development Index: GDI)もHDIとの比較でよく用いられる。2006年の報告では日本のHDI値は0.949で、順位は世界177ヶ国中7位であり、GDI値は0.942とHDI値の99.3%であり、このGDI/HDI値は世界で69位である。(若杉なおみ)
参考資料:人間開発ってなに? −本当の豊かさめざしてー UNDP2004
人間開発指数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 05:06 UTC 版)
人間開発指数(にんげんかいはつしすう、英語: Human Development Index, HDI)とは、各国を人間開発の4段階に順位付けするために用いられる平均余命、教育、識字及び所得指数の複合統計である。1990年にインド人経済学者のアマルティア・セン及びパキスタン人経済学者のマブーブル・ハックが開発し[1]、国際連合開発計画が毎年「人間開発報告書」を刊行する[2]。
- ^ “The Human Development concept”. UNDP. 2012年4月7日閲覧。
- ^ “United Nations Development Programme”. Undp.org (2013年5月26日). 2013年5月30日閲覧。
- ^ Human Development Report, The Real Wealth of Nations: Pathways to Human Development (2010) 87
- ^ 人間開発報告書 2007/2008 P391など
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 国際連合開発計画 (8 September 2022). Human Development Index (HDI) (Excel) (Report). 2022年11月18日閲覧。
- ^ “日本の「豊かさ」24位”. 2024年3月14日閲覧。
人間開発指数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 03:17 UTC 版)
センの潜在能力アプローチを発展させたものが、国際連合開発計画(UNDP)の人間開発指数(HDI:Human Development Index)である。HDIは、平均寿命、教育(識字率+就学率)、国民所得(一人当たりGDP)の3つの指標からなっている。最初、センは、1990年にパキスタンの経済学者マブーブル・ハックの提唱した生活の質や発展度合いを示す「シンプルな指標」であるHDIに難色を示した。その理由をセンは、「HDIの平均寿命・教育・国民所得も手段であって、目的そのものではない。目的は、人それぞれ多様なものであり、社会的・文化的背景によって異なる」と述べている。しかし、最終的にはセンも同意し協力メンバーの一人となった。HDIは1993年から国連年次報告「人間開発報告書(HDR)」の中で国連開発計画によって毎年発表されている。現在では、経済中心のGDPに代わる人間性を加味した指標として日本政府も注目している。 2001年1月、センと緒方貞子前国連難民高等弁務官を共同議長に「人間の安全保障委員会」が、日本政府とアナン国連事務総長のイニシアティブによって欧米とは別に創設された。同委員会は2003年6月まで継続し、最終報告書を以て解散した。その後、「人間の安全保障ユニット」として国連人道問題調整部(OCHA)に移行し、日本政府は2006年度までに335億円を供出している。
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