偽造防止技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 03:00 UTC 版)
D二千円券には、それまでになかった下記のような偽造防止技術が多数採用されている。 発行当時は複写機、イメージスキャナ、コンピュータの画像処理ソフトウェアなどの普及・高性能化を背景にこれまでになかったスキャナ、プリンターなどを使用した偽造券が海外で増え始めており、日本に波及することを未然に防ぐために下記のような新たな偽造防止技術が採用されている。諸外国では新たな偽造防止技術を盛り込んだ紙幣が1990年代末期以降次々と発行されており、加えて2002年(平成14年)からは最先端の偽造防止技術を多数盛り込んだユーロ紙幣が発行されることとなっていた。このような背景から、1980年代に発行開始された旧世代の紙幣の発行を続けていた日本が国際的な偽造団による標的となる恐れがあることを踏まえ、これらの新技術を早期に実用化する必要性が求められていた。 深凹版印刷 凹版印刷刷版の凹部をさらに深くし、結果として券に転写されたインクを触って凹凸が分かるほどに盛り上げられている印刷である。表面の漢数字とアラビア数字による額面表示、「日本銀行」「日本銀行券」の文字、後述の「潜像模様」等に用いられている。視覚障害者が触覚で容易に券種を識別できるよう、券の左右下端に配置された視覚障害者用の識別マーク(点字の「に」を模した「丸印が縦に3つ」)も、この技法で印刷されている。 潜像模様 深凹版印刷技術の応用であり、印刷されたインクの縞状凹凸により表現される模様。券を傾け入射角を大きくして見ると、より明瞭にその模様が目視できるもの。券の表面左下部に額面金額「2000」の文字として、また裏面に「NIPPON」の文字として印刷されている。 パールインク 見る角度によってピンク色の真珠様光沢を目視できるインクを用いた印刷。券の左右両端に配置されている。 ユーリオン 銀行券のデジタルデータ画像を、画像処理ソフトウェアやカラー複写機が検出しやすくするために描かれたシンボル。 光学的変化インク(OVI) 表面右上にある額面金額は、券を見る角度によって紫色、青緑色等に色が変化して見える。 この他に1993年(平成5年)12月1日のミニ改刷後のD号券で採用されていたマイクロ文字および特殊発光インキも継続して採用されている。マイクロ文字は文字の大きさが従来と比べて一段と小さくなっており、特殊発光インキ(紫外線を照射すると蛍光を発するインク)は表側の「総裁之印」(オレンジ色発光)及び裏側の「発券局長」(赤色発光)の印章に採用されている他、表面の地模様の一部も黄緑色に発光するようになっている。 上記の技術のうち光学的変化インクを除く全ての技術は、2004年(平成16年)発行のE号券(E一万円券、E五千円券、E千円券)にも採用されている。
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偽造防止技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 16:07 UTC 版)
新たな偽造防止技術として以下のものが採用されることが公表されている。なお、下記の技術のうち2色3層構造のバイカラー・クラッドと縁の異形斜めギザは記念貨幣では既に実績のあるものである。2008年(平成20年)に発行された地方自治法施行60周年記念貨幣で初めて採用され、それ以降に発行された額面金額500円の記念硬貨でも一部を除き採用されている。 2色3層構造のバイカラー・クラッド外周にはニッケル黄銅を採用し、内側は白銅で中心の銅を挟んだものとなる。銅の部分は外から見えないが、機械で扱うときに電気伝導率の変化を利用する際にこの層が有効となる。 異形斜めギザ縁の斜めギザの一部を他のギザとは異なる形状(目の間隔・勾配など)にしたもので、偽造が困難。流通用硬貨への採用は世界初となる。 微細文字表面の縁の内側の上下に「JAPAN」、左右に「500YEN」の微細文字加工が施される。 五百円ニッケル黄銅貨で既に採用されている微細線・微細点・潜像は引き続き採用されるが、このうち潜像は五百円ニッケル黄銅貨の縦線と「500円」の文字から「500YEN」「JAPAN」の文字に変更となる。
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偽造防止技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 05:40 UTC 版)
紙幣には偽造を防止するための、さまざまな技術が用いられている。 紙質 日本を含めほとんどの国の紙幣は非木材パルプ(主に楮、三椏、綿、マニラ麻など)製で、一般的な印刷物に使われる木材パルプ製の紙とは機械的性質、すなわち手触りが異なる。紙の製造には大規模な設備が必要であり、材料も一般的に流通しているものではないため、紙幣と同紙質の紙を発覚を避けながら製造することは極めて困難である。 透かし 紙の製造段階で繊維の厚みを加減し透かしを入れている。また、オーストラリアなど一部の国にはプラスチック製(ポリマー紙幣)の銀行券も存在し、これらの銀行券では透明の窓を作ったり、ハイテクな透かしも存在する。 現在の日本の紙幣に使用される透かし技法は、「黒透かし」および「白透かし」といわれる技法である。「すき入紙製造取締法」により、文様に関わらず黒透かしの技法を使った紙を製造する場合、または、白透かしで紙幣や政府発行の証書などに使われている模様のある紙を製造する場合は、日本国政府の許可を要し、それに反すると罰せられる。 ホログラム 日本では日本銀行券E券に初めて採用された。金属箔にレーザー光線を使って模様を描いたもので、見る角度によって見える像や色が変化する。現在各国の紙幣に採用され、ユーロやUKポンド、スイスフランなどには複雑な模様が採用されている。スイスの紙幣のホログラムは、額面の数字がアニメーションのように変化する凝った造りのもので、特に「キネグラム」と呼ばれている。 紫外線発光インク 紫外線や近紫外線を当てると蛍光を発するインクによる印刷。日本ではD券のミニ改刷(茶色記番号のもの)から採用されていて、表面の印章の部分などに採用されている。また、デンマークやノルウェーの紙幣では、紙幣のデザインに関連する様々なモチーフがあらわれる。 潜像模様 見る角度により文字が浮かび上がる印刷。 深刻凹版印刷 通常の凹版印刷では再現できない、深刻凹版を使用しインキの凸感を印刷。 中間色インク 日本の1万円紙幣では10種類の中間色インクを使用し、またユーロ紙幣やスイスフラン紙幣では青緑や水色系の色を多用している。これらは、sRGB色空間では表現できない色域の色で、コピーやスキャナーで複製できない色合いのインクを使用している。 パールインク 角度を変えると真珠光沢で緑やピンク、銀白色に浮かび上がる、雲母を含んだインク。日本では2000円券にピンク色のものが初めて採用され、以後E券には全ての紙幣に採用されている。 マイクロ印刷 通常の印刷では再現が困難な微細文字を印刷。コピーやスキャンでの再現防止。 漉入れパターン 紙幣の製紙段階で漉入れパターンを実施。日本のE券やユーロ紙幣に見られる。 磁気印刷 磁粉体をインクに配合し印刷。磁気の有無での真偽判定を行う。 隠し文字 紙幣に微細な隠し文字を印刷。 ユーリオン 画像処理ソフトウェアや複写機が検出できるよう埋め込まれた特殊な模様。スキャナやコピー機でのスキャニングを防止するために日本の技術で開発された。ユーロ紙幣、デンマーク・クローネ紙幣、カナダ・ドル紙幣には全額面の紙幣に採用され、日本では2000円券に初めて採用され、E券では全ての券種に採用された。 安全線 金属や樹脂などの細いフィルムを用紙に漉き込んだもの。フィルム自体にマイクロ文字やホログラム機能を持たせたものも多い。日本では商品券にしか採用されていないが、アメリカやカナダ、それにヨーロッパの紙幣にも多く見られる。 合わせ模様 紙幣の表と裏に特定の文字や図案の部分を別個に印刷し、透かしてみれば、正しい図案に見えるというもの。ユーロ紙幣の額面表記などに使われているがこれも日本では採用されていない。 ピンホール 紙幣の一部分に額面や文字、模様などをレーザー光線によりピンホールを空けたもの。透かしてみれば、穴の空いていることが確認できる。2002年以降に発行されたスイスフランの全紙幣に採用されている。これも日本では採用されていない。 電子透かし スキャニングを防止するために特殊な信号を表面に印刷した物。2004年以降に改版されたスイスフラン紙幣などに採用されているようだが、実態は不明。 その他 米ドル、ユーロ、日本円など、多くの紙幣に用いられる紙には、一般的な紙の製造に用いられるデンプンが含まれない。デンプンと反応する専用の識別用フェルトペンで線を引くと、一般的な紙では茶〜黒に着色するのに対し、紙幣の場合は黄色になる。
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偽造防止技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 02:49 UTC 版)
「地方自治法施行60周年記念貨幣」の記事における「偽造防止技術」の解説
1000円銀貨 貨幣側面に斜めギザが入っている、貨幣の模様の圧印と同時に貨幣側面の周囲に斜めギザ加工を施す技術は、日本の造幣局が独自に開発した技術で日本、アメリカ、イギリスで特許を得ている。貨幣裏面を下に向けると大きな雪の結晶部分に地方自治法施行60周年を記念した「60」の文字が上に向けると47都道府県を示す「47」の文字が浮かび上がる潜像加工が施されている他、微細点加工も施されている。 500円バイカラー・クラッド貨幣 概要にある通り、異なる種類の金属板をサンドイッチ状に挟み込む「クラッド」技術でできた円板を、それとは異なる金属でできたリングの中にはめ合わせる「バイカラー」技術を組み合わせている。貨幣裏面の中央部分に千円銀貨と同じ潜像加工が施されている他、微細点と微細線加工も施されている。 貨幣の側面に斜めギザの一部を他のギザとは異なる形状にした異形斜めギザ加工を施しており、この技術も日本が開発した技術である。
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偽造防止技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 14:56 UTC 版)
凹版印刷 - インクの盛り上がりにより、ザラザラした触感があり、家庭用のコピー機等での再現は難しい。視覚障害者の紙幣識別に応用される。 紫外線発光インク - ブラックライトを照らすと色が変わったり、通常では見えない印字部分が出る。 毛紙 ‐ 染料のついた短い綿繊維をすきこんだ用紙。かつては色のついた繊維が用いられていたが、後に紫外線発光インクで染めた繊維が用いられることが一般的となった。 磁気インク 透かし セキュリティ・スレッド(英語版) ‐ 用紙にすきこまれている、文字等の印刷されているリボン。透かすと見ることができる。日本では商品券に使用されている。 潜像 パールインク ‐ 見る角度により色の変わるインク ポリマー紙幣 ‐ 感触や風合いが紙とは異なり、透明な部分を設けることもできる。耐水性。紙に用いられる方式の透かしは不可能だが、近年では同様の効果をもつ特殊な印刷が行われることもある。毛紙やセキュリティ・スレッドは利用できない。 ホログラム マイクロ文字 ユーリオン ‐ スキャナや画像処理ソフトウェアに、紙幣画像であると認識させるための点模様 この他、20世紀頃の複写機印刷方式では再現しにくい配色が当時用いられ、21世紀でも意匠が一部継承されているが、複写技術の向上により、あまり有効ではなくなっている。 なお、インドでは2016年に高額インド・ルピー紙幣2種(1,000ルピー紙幣、500ルピー紙幣)の流通を突然停止。金融機関で他の紙幣への交換を実施させることにより、偽札の流通を抑止させたことがある。
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