子取り用雌豚(母豚)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:22 UTC 版)
繁殖候補として選ばれた子取り用雌豚(繁殖用雌豚)は管理しやすいように妊娠ストールと呼ばれる檻の中でストール飼育される(日本の農場では91.6パーセントで妊娠ストールが使われている)。ストールの面積は1頭当たり1平方メートル前後である。妊娠ストールは国によっては使用が規制されている。 詳細は「妊娠ストール」および「妊娠ストール#各国における妊娠ストールの規制状況」を参照 個体識別繁殖の管理のため、母豚は耳刻や入墨が入れられる。母豚は、生後8カ月で初めて交配される。豚は自然交配の方が受胎率が高いことから、人工授精率が牛に比べて低い。牛の人工授精率99パーセントに対し、豚は40パーセント程度である。妊娠した母豚は、約114日の妊娠期間を経て、1回につき十数頭の子豚を産む。母豚は、妊娠期間中は「妊娠ストール」に、そして出産の少し前から子豚を離乳させる生後21日前後までの間は「分娩ストール」に収容される。分娩ストールは、母豚の行動を制限し、妊娠ストール同様転回はできない。分娩ストールは、子豚の圧死を防ぐ目的から分娩柵が両側に取り付けられた檻のことで、子豚はこの分娩柵の間から母豚の乳を飲む。 分娩後、産んだ子豚への21日前後の哺乳期間を経た後、交配用の豚舎に移動させられ、次の交配が行われる。 母豚での跛行率は高く、15%の母豚が跛行しており、農場での蔓延率は8-16%の間とされている。原因としてはストールという拘束飼育による運動不足が挙げられるが、増体を目的とした育種による骨形成不全(肢や関節の変形)が主因と考えられている。 2年間で4~6回ほど分娩し、繁殖用として役目を終えた雌豚(平均3歳)は、「飼い直し」をしても肉質の向上が見られないため、廃用となり屠殺される。その肉はソーセージなどの加工品に利用されることが多い。
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