ガンマ・レイ
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ガンマ・レイ Gamma Ray | |
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ドイツ・バレンシュテット公演 (2016年7月) | |
基本情報 | |
出身地 | ドイツ ハンブルク |
ジャンル | ジャーマンメタル パワーメタル ヘヴィメタル スピードメタル メロディックスピードメタル |
活動期間 | 1989年 - 現在 |
レーベル | ノイズ・レコード サンクチュアリ・レコード SPV earMUSIC |
メンバー | カイ・ハンセン (ボーカル、ギター) フランク・ベック (ボーカル) ヘンヨ・リヒター (ギター) ディルク・シュレヒター (ベース) ミヒャエル・エーレ (ドラムス) |
旧メンバー | ラルフ・シーパース (ボーカル) ウヴェ・ヴェッセル (ベース) マティアス・ブルヒャルト (ドラムス) ウリ・カッシュ (ドラムス) トーマス・ナック (ドラムス) ヤン・ルバッハ (ベース) ダン・ツィマーマン (ドラムス) |
ガンマ・レイ(Gamma Ray)は、ドイツ・ハンブルク出身のパワーメタル・バンド。
元「ハロウィン」のカイ・ハンセンを主宰に結成。以来、ジャーマンメタルの代表格として認知されている。バンド名は「ガンマ線」及び、同国のバンド「バース・コントロール」の同名曲に因む(3rdアルバムで同曲をカバーしている)。
経歴
ラルフ・シーパース ボーカル期(1989年 - 1993年)
1988年に様々な問題からハロウィンを脱退したカイ・ハンセンは、ハンブルク大学の分校で音楽理論や幅広い音楽性を学びつつ、ブラインド・ガーディアンのアルバムにゲスト参加をするなどの活動をしながらソロ・プロジェクトを進め、1989年下旬に録音を開始。元タイラン・ペイスのラルフ・シーパース(ヴォーカル)にウヴェ・ヴェッセル(ベース)、マティアス・ブルヒャルト (ドラムス) を迎え、ガンマ・レイというバンドとして翌1990年にデビュー・アルバム『ヘディング・フォー・トゥモロウ』を発表した[1]。その後にハンブルク大学在籍時に出会ったディルク・シュレヒター(ギター、現在はベース)、また新たなドラマーとしてウリ・カッシュを迎え、初来日公演も行った。
その模様はライヴビデオ『heading for the east live in tokyo』に収録された。
1991年に2ndアルバム『sigh no more』を発表。翌年に音楽的な問題からウリとウヴェが脱退、後任として自分たちのスタジオが入っているビルにある隣のスタジオでガンマ・レイの楽曲を練習していたヤン・ルバッハ(ベース)とトーマス・ナック(ドラムス)を迎え、1993年に3rdアルバム『インサニティ・アンド・ジニアス』を発表した。普遍的なハードロック要素の強かった前作での批判を受け、王道のパワーメタル、スピードを強調した、スラッシーな作品であった。その後、レイジ、コンセプション、ヘリコンらと共にドイツで行われたフェスティバルの模様を2本目のライブ・ビデオ『lust for live』と『the power of metal 』にて発表している。
カイ・ハンセン ヴォーカル期(1994年 - 2014年)
1994年、ロブ・ハルフォードが脱退したジューダス・プリーストのヴォーカリストを決めるオーディションに参加したことが発端となり、ラルフが脱退(ジューダス・プリーストのヴォーカリストにはティム・"リッパー"・オーウェンズが迎えられた。ラルフは一時音楽活動からは引退状態だったが、シナーのマット・シナーと共にプライマル・フィアを結成、現在も活動中)。カイは新たなヴォーカリストを迎えずに自らがギターと歌唱を兼任することを選択(カイ曰く、「専任ボーカリストが慾しくないわけではなく適任者がいないから」)。
4人編成となったバンドは1995年に通算4作目のアルバム『ランド・オブ・ザ・フリー』を発表。このアルバムにはハロウィン時代の盟友マイケル・キスクやブラインド・ガーディアンのハンズィ・キアシュがゲスト参加し、ファンタジックな世界観を全編に強調したコンセプト・アルバムともいえる内容であった。
1996年にライブ・アルバム『アライヴ'95』を発表した後、アルバムの録音を前にしてディルクが本来のパートであるベースギターに転向したいとの意向をカイに相談。カイは悩んだ結果ディルクの要求を受け入れ、ヤンにギターへの転向を勧めたがうまく行かず脱退、友人であり同時に加入したトーマスも脱退していった。後任には旧知の友人であるヘンヨ・リヒター(ギター)とフリーダム・コールや数多くのセッションで活躍しているダニエル・ツィマーマン(ドラムス)が加入、それまでアルバム発表の度にメンバーが変わっていたガンマ・レイだったが長らく続く不動のラインナップが揃った。
1997年にはアルバム『サムホエア・アウト・イン・スペース』、1999年に『パワープラント』、2000年に現メンバーで再レコーディングした楽曲とリマスターを行った楽曲を収録した2枚組ベスト・アルバム『ブラスト・フロム・ザ・パスト』、2001年に『ノー・ワールド・オーダー』、2003年に2枚組ライブ・アルバム『スケルトンズ・イン・ザ・クローゼット』、2005年に『マジェスティック』を発表。
所属していたレコード会社が買収されたため、新アルバムとライブDVDのリリースが未定であったが、2007年11月21日に『ランド・オブ・ザ・フリー2』をリリースした。また、「ハロウィン」のワールドツアーに帯同し、2008年2月にカップリング来日公演を行った。
2010年、アルバム『トゥ・ザ・メタル』を発表。2年ぶりに来日公演を行った。
2012年秋にダニエル・ツィマーマンが脱退していることが明かされた。後任は元メタリウム、ファイアーウインドのミヒャエル・エーレに決定。また、翌2013年3月にはライヴ音源付きミニ・アルバム『マスター・オブ・コンフュージョン』を発表し、6月に「ハロウィン」との2度目のジョイント・ツアーが実現した。
2014年、ミヒャエル・エーレ初参加となるオリジナル・アルバム『エンパイア・オブ・ジ・アンデッド』を発表。同年6月に来日公演を行った。
ツイン・リード ボーカル期(2015年 - 現在)
2015年11月、バンドの公式Facebookにて、新ボーカルにフランク・ベックの加入が発表され、カイとのツイン・リード・ボーカル体制に移行[2]。
主題歌
- 「heading for tomorrow」がTBSボクシング『ガッツファイティング』のテーマ曲に、「Induction」がTBS『K-1 World Max』のテーマ曲に採用されており、関連するテレビ番組やCMでよく流れる。
- 「Money」がTBSのバラエティ番組『坂上&指原のつぶれない店』で時折BGMとして使用されている。
- 「Induction」がK-1WORLD MAXシリーズのテーマ曲として使用されていた。
メンバー
現ラインナップ
- カイ・ハンセン (Kai Michael Hansen) - ボーカル、ギター (1989年- )
- バンドのリーダー的存在。ラルフが1994年に脱退するまではリードギターに専念していた。2017年からハロウィンに再加入している。
- フランク・ベック (Frank Beck) - ボーカル (2015年- )
- ヘンヨ・リヒター (Henjo Oliver Richter) - ギター、キーボード (1997年- )
- キーボードも担当。アルバム等で名前の読みを「ヘニュ」と紹介されている場合があるが、発音としては間違いである。ちなみにハロウィンのマイケル・ヴァイカート(G)はローランド・グラポウ(G)が脱退した際に後任として旧知の仲であるヘンヨを誘ったが結局断っている。
- ディルク・シュレヒター (Dirk Schlächter) - ベース (1990年- )
- 1995年まではリズムギターを担当。アルバム等で名前の読みが「ダーク」と紹介されている場合があるが、本人はそれを好んでいないようである。
- ミヒャエル・エーレ (Michael Ehre) - ドラムス (2012年- )
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カイ・ハンセン(Vo/G) 2016年
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フランク・ベック(Vo) 2016年
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ヘンヨ・リヒター(G) 2016年
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ディルク・シュレヒター(B) 2016年
旧メンバー
- ラルフ・シーパース (Ralf Scheepers) - ボーカル (1989年-1994年)
- タイラン・ペイスを経て加入。現在はプライマル・フィアの一員。
- ウヴェ・ヴェッセル (Uwe Wessel) - ベース (1989年-1992年)
- マティアス・ブルヒャルト (Mathias Burchardt) - ドラムス (1989年-1990年)
- ウリ・カッシュ (Uli Kusch) - ドラムス (1990年-1992年)
- トーマス・ナック (Thomas Nack) - ドラムス (1993年-1996年)
- ヤンと共にアナスターシアを経て加入。現在はアイアン・セイヴィアーに加入している。
- ヤン・ルバッハ (Jan Rubach) - ベース (1993年-1996年)
- トーマスと共にアナスターシアを経て加入。
- ダン・ツィマーマン (Daniel "Dan" Zimmerman) - ドラムス (1996年-2012年)
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
- 『ヘディング・フォー・トゥモロウ』 - Heading for Tomorrow (1990年)
- 『サイ・ノー・モア』 - Sigh No More (1991年)
- 『インサニティー・アンド・ジーニアス』 - Insanity and Genius (1993年)
- 『ランド・オブ・ザ・フリー』 - Land of the Free (1995年)
- 『サムホエア・アウト・イン・スペース』 - Somewhere Out In Space (1997年)
- 『パワープラント』 - Power Plant (1999年)
- 『ノー・ワールド・オーダー』 - No World Order (2001年)
- 『マジェスティック』 - Majestic (2005年)
- 『ランド・オブ・ザ・フリー2』 - Land of the Free II (2007年)
- 『トゥ・ザ・メタル』 - To the Metal! (2010年)
- 『エンパイア・オブ・ジ・アンデッド』 - Empire of the Undead (2014年)
また、2002年には『ヘディング・フォー・トゥモロウ』から『パワープラント』までが以下の仕様で再発された。欧州ではこれらの再発盤6枚組のボックスセットも発売されている。
- デジタルリマスター
- デジパック
- 新ジャケットイラスト
- ボーナストラック追加(主にシングル収録曲)
EP
- 『ヘヴン・キャン・ウエイト』 - Heaven Can Wait (1990年)
- Skeletons & Majesties (2011年)
- 『マスター・オブ・コンフュージョン』 - Master of Confusion (2013年)
ライブ・アルバム
- 『アライヴ'95』 - Alive '95 (1996年)
- 1995年の『ランド・オブ・ザ・フリー』ツアーの模様が収められている。ヨーロッパで録音したものを収録。海外盤の一部にはラルフ期のライブが収録されたCDが付属しているものも存在するが、これは『ザ・パワー・オブ・メタル』というコンピレーション・アルバムに収録されている音源の一部である。
- 『スケルトンズ・イン・ザ・クローゼット』 - Skeletons in the Closet (2003年)
- 2枚組。ライブではほとんど演奏しない曲を演奏する「Skeltons In The Closet」ツアーの模様を収めたファン向けのライブ・アルバム。なお、ツアーで演奏された曲は公式サイトでの投票を基にしている。
- 『ヘル・ヤー!!! ライヴ・イン・モントリオール』 - Hell Yeah! The Awesome Foursome (2008年)
- 『ライヴ - スケルトンズ&マジェスティーズ』 - Skeletons & Majesties Live (2012年)
- 過去楽曲のリメイク・ミニアルバム (日本盤未発売)『Skeletons & Majesties』発売記念ツアーとなった2011年のスイスでの公演を収録した2枚組アルバム。ドラマーのダニエル・ダン・ツィマーマン在籍最後のアルバムとなった。
- 『ヘディング・フォー・ジ・イースト』 - Heading For The East (2015年) ※1990年録音
- 『ラスト・フォー・ライヴ』 - Lust For Live (2016年) ※1994年録音
コンピレーション・アルバム
- 『カラオケ・アルバム』 - The Karaoke Album (1997年)
- 『ブラスト・フロム・ザ・パスト』 - Blast from the Past (2000年)
- 2枚組アルバム。公式サイトにてファン投票を行い、その結果を基にして収録曲が決められた。1枚目の全曲と2枚目の3曲目までは現行メンバーによるアレンジ再収録、4曲目からはデジタルリマスターされた楽曲が収録されている。
- 『アーライ!~20イヤーズ・オブ・ユニヴァース』 - Alright! 20 Years Of Universe (2010年)
- デビュー20周年を記念して日本で企画されたアルバム。デビューアルバムから新作『トゥ・ザ・メタル』までの代表曲が収録されている。
- The Best (Of) (2015年)
シングル
- "Heaven Can Wait/Mr. Outlaw" (1989年)
- 「フー・ドゥ・ユー・シンク・ユー・アー」 - "Who Do You Think You Are?" (1990年)
- 「フューチャー・マッドハウス」 - "Future Madhouse" (1993年)
- 「レベリオン・イン・ドリームランド」 - "Rebellion In Dreamland" (1995年)
- "Silent Miracles" (1996年)
- 「ヴァレイ・オブ・ザ・キングス」 - "Valley of the Kings" (1997年)
- 「ヘヴン・オア・ヘル」 - "Heaven Or Hell" (2001年)
- "Wannabees / One Life*" (2010年)
- "Avalon" (2014年)
- "Pale Rider" (2014年)
- "I Wil Return" (2014年)
- "Time For Deliverance" (2014年)
ビデオ・DVD
- 『ヘディング・フォー・ジ・イースト - ライヴ・イン・トーキョー』 - Heading for the East (1990年 VHS, 1991年 Laserdisc, 2003年 DVD) ※1990年の初来日公演の模様を収録
- 『ラスト・フォー・ライヴ』 - Lust for Live (1994年 VHS, 1994年 Laserdisc, 2003年 DVD) ※1993年の『Lust for Live』ツアーの模様を収録
- 『ヘル・ヤー!!! - ライヴ・イン・モントリオール』 - Hell Yeah - The Awesome Foursome (And The Finnish Keyboarder Who Didn't Want To Wear His Donald Duck Costume) Live in Montreal (2008年)
- 『ライヴ - スケルトンズ&マジェスティーズ』 - Skeletons & Majesties Live (2012年)
出典
- ^ 日本でのみ1989年末にソロ名義で先行発売された。
- ^ “ガンマ・レイに新ヴォーカルが加入、カイ・ハンセンとの2人リード・ヴォーカル体制へ”. amass.jp. (2015年11月1日) 2016年4月28日閲覧。
関連バンド
- ハロウィン / 3rdアルバムまでカイ・ハンセン (Vo/G)が在籍したパワーメタルバンド。6th-9thアルバムでウリ・カッシュ(Dr)も在籍した。
- アングラ / カイ・ハンセン(Vo/G)、ディルク・シュレヒター (B)がともにギタリストとしてアルバム『エンジェルズ・クライ』に参加。また、アルバム『テンプル・オブ・シャドウズ』にはカイ・ハンセン (Vo/G)が参加。
- ブラインド・ガーディアン / カイ・ハンセン(Vo/G)が2nd-4thの3アルバムに参加。
- アイアン・セイヴィアー / カイ・ハンセン(Vo/G)が過去に在籍。ディルク・シュレヒター(B)が1stアルバム『アイアン・セイヴィアー』に参加。ダン・ツィマーマン (Dr)が2ndアルバム『ユニフィケイション』に参加。3rdアルバムからはトーマス・ナック (Dr)が在籍。
- マイケル・キスク / 元ハロウィンのボーカリスト。カイ・ハンセン (Vo/G)がアルバム『インスタント・クラリティ』に参加。時々アルバムにゲスト参加している。2009年に新バンドユニソニックを結成し、カイ・ハンセン(Vo/G)も後に加入した。
- フリーダム・コール / ダン・ツィマーマン (Dr)が在籍するパワーメタルバンド。
- プライマル・フィア / ラルフ・シーパース (Vo)が在籍するパワーメタルバンド。
- タイラン・ペイス / ラルフ・シーパース (Vo)がガンマ・レイ加入以前に在籍したジャーマンメタルバンド。
- マスタープラン / ウリ・カッシュ(Dr)が在籍したパワーメタルバンド。
- ホーリー・モーゼス / ウリ・カッシュ (Dr)が2nd-4thアルバムで在籍したスラッシュメタルバンド。
- シナー (バンド) / ウリ・カッシュ(Dr)が12thアルバム『エンド・オブ・サンクチュアリィ』に参加。
- アヴァンタジア / カイ・ハンセン(Vo/G) とヘンヨ・リヒター(G)が参加。
- アナスターシア / ヤン・ルバック (B)とトーマス・ナック (G)が在籍したジャーマンメタルバンド。
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- GAMMA RAY(ガンマ・レイ) - ビクターエンタテインメントのサイト
- ガンマ・レイ - Discogs
ガンマ線
原子核物理学 | ||||||||||||||
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放射性崩壊 核分裂反応 原子核融合 | ||||||||||||||
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ガンマ線(ガンマせん、γ線、英: gamma ray)は、放射線の一種。その実体は、波長がおよそ 10 pm よりも短い電磁波である。
概要
波長領域(エネルギー領域)の一部がX線と重なっていて、波長による境界線はない。10 nmから 1または10 pmまでをX線、これより短い波長(高いエネルギー領域)をガンマ線とすることもあるが、明確な基準は無い。 両者の区別は波長範囲ではなく発生機構によっていて、ガンマ線は原子核のエネルギー準位が遷移(不安定状態から、エネルギーを放出して安定)する現象を起源とし、X線は軌道電子の遷移(特性X線)や、自由電子の運動エネルギー(制動X線)を起源とし、スペクトルにおいても制動X線の有無で見分けられる。
1.022 MeV以上のエネルギーを持つガンマ線が消滅するとき、電子と陽電子が対生成されることがある。逆に、電子と陽電子が対消滅する際には、0.511 MeVのガンマ線2本が反対方向に放出される。 ガンマ線は電磁波の中で最もエネルギーが大きい領域に相当する。原理上人工的には造れないが、加速器で高エネルギー電子線から二次的に生成した高エネルギーのX線がガンマ線として扱われる。これまでに得られた電子線は200 GeVに達し、計画されている国際リニアコライダーではTeVに及ぶが、ガンマ線天文学の発展により、宇宙にはこれらを遙かに上回るものが存在すると考えられるようになった[1]。
発見
最初に発見されたガンマ線源は「ガンマ崩壊」と呼ばれる放射性崩壊過程であった。この種の崩壊では、励起した核種が生成されると、ほとんど瞬間的にガンマ線を放出する[注釈 1]。フランスの化学者かつ物理学者であるポール・ヴィラールは1900年にウランから放出される放射線を研究しているときにガンマ線を発見した。ヴィラールは彼が見出した放射線が、それまでにラジウムから放出される放射線として記述されていたもの (これにはアンリ・ベクレルによって1896年に初めて「放射能」として言及されたベータ線やラザフォードによって1899年に発見されたほとんど透過しない種類の放射線であるアルファ線が含まれる)より強力であることに気づいた。しかしながら、ヴィラールはこれを根本的に異なる種類として名前を付けようとは考えなかった[2][3]。その後1903年に、アーネスト・ラザフォードがヴィラールの放射線はそれまでに名付けられていた放射線とは根本的に異なるものであると認知し、1899年にラザフォードが区別していたアルファ線とベータ線からの類推でヴィラールの放射線を「ガンマ線」と名付けた[4]。放射性元素によって放出される放射線はギリシア文字を使って様々な物質を透過する力の順に名付けられた(アルファ線が最も透過しにくく、次いでベータ線、そしてガンマ線が最も透過しやすい)。ラザフォードはもうひとつのガンマ線がアルファ線やベータ線と異なる性質として、磁場によって曲げられない(少なくとも簡単には曲げられない。カー効果・ポッケルス効果・応用例として光磁気ディスクも参照。)ことにも注目した。
ガンマ線は最初はアルファ線やベータ線と同じように質量を持つ粒子と考えられていた。ラザフォードは初めはそれが非常に速いベータ粒子であると信じていたが、磁場で曲げられないことから電荷を持たないことが示された[5]。1914年にガンマ線が水晶の表面で反射されることが観測され、電磁放射線であることが証明された[5]。ラザフォードと彼の同僚であるエドワード・アンドレードはラジウムから出るガンマ線の波長を測定し、ガンマ線はX線に似ているが、より短い波長と(それゆえ)高い周波数を持つことを発見した(※ただし本記事前述の通り、ガンマ線とX線を波長により区別しないこともある)。やがてこれによって光子あたりより多くのエネルギーを持っていることが認知された。そしてガンマ崩壊は通常ガンマ光子を放出すると理解された。
ガンマ線源
放射性崩壊
放射性核種が崩壊して質量や陽子・中性子の比率が変わっても、その原子核には過剰なエネルギーが残存している場合がある。このとき、残存しているエネルギーをガンマ線として放出することで原子核は安定に向かう。この現象をガンマ崩壊と呼ぶ。放出するガンマ線のエネルギー領域は核種によって様々である。核種によっては単一領域のガンマ線しか出さないものもあるが、一般的には複数領域のガンマ線を出す。同じ元素でも、同位体によって現象は下の例のように異なる。
- 81Kr この核種は 275.988 keV の1領域のみ放出。
- 88Kr この核種は最低 27.513 keV、最高 keV の88領域を放出。
- 割合で多い順から3種挙げると、2392.11 keV(34.6 %)、196.301 keV (25.98 %)、2195.842 keV (13.18 %) である。
雷雲
理化学研究所によれば、冬期の日本本州・日本海沿岸地域において雷雲の活動に伴い自然放射線が増える現象を調査していたところ、雷雲から10 MeV(10−9 mSv)のガンマ線を40秒間観測し、雷雲が粒子加速器の働きをしていることが分かった。なお、雷雲からのガンマ線量は1回の胸部X線で浴びる放射線量の2億分の1程度と計算されている[6]。雷は光核反応のトリガーになり得る[7]。
天体
ガンマ線を放射する天体には超新星残骸、パルサー、活動銀河核等がある。また、発生機構は未解明であるがガンマ線バースト現象を起こす天体も発見されている。
他の放射線との比較
- アルファ粒子・ベータ粒子と比べると透過能力は高いが、電離作用は弱い。
- ガンマ線の遮蔽には、比重の重い物質(鉛、鉄、コンクリートなど)が使われる。一般によく利用される鉛(11.3 g/cm3)では、10 cmの厚さで約1/100 – 1/1000に減衰される。ガンマ線は飛程が長い上、電荷を持たないので電磁気力を使って方向を変えられないため、ガンマ線からの防護は他の放射線と比較して難しい。
利用
一般的なガンマ線源としては、コバルトの放射性同位体であるコバルト60(60Co)が用いられる。これは安定同位体のコバルト59(59Co)を原子炉内で中性子線に晒す事で放射化により生成され、医薬品や医療廃棄物、食品などのガンマ線滅菌、工業的なX線写真(溶接部X線写真)、脳腫瘍除去などのガンマナイフに使われている。
健康影響
放射線による影響には、閾値線量以上で発生する確定的影響とそれ以下の線量でも発生する確率的影響がある。 低線量被曝の影響の定量化は難しく、明確になっていない。2003年に米国アメリカ合衆国エネルギー省の低線量放射線研究プログラムによる支援等を受けて[8]米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された論文によれば、疫学的データによる人の癌リスクの増加の十分な証拠が存在するエックス線やガンマ線の被曝線量の最低値は、急性被曝では、10–50 mSv、長期被曝では50–100 mSvである[9]。
脚注
注釈
出典
- ^ 高エネルギー素粒子宇宙物理学に挑む 高エネルギー加速器研究機構
- ^ P. Villard (1900) "Sur la réflexion et la réfraction des rayons cathodiques et des rayons déviables du radium", Comptes rendus, vol. 130, pages 1010–1012. See also: P. Villard (1900) "Sur le rayonnement du radium", Comptes rendus, vol. 130, pages 1178–1179.
- ^ L'Annunziata, Michael F. (2007). Radioactivity: introduction and history. Amsterdam, Netherlands: Elsevier BV. pp. 55–58. ISBN 978-0-444-52715-8
- ^ Rutherford named γ rays on page 177 of: E. Rutherford (1903) "The magnetic and electric deviation of the easily absorbed rays from radium", Philosophical Magazine, Series 6, vol. 5, no. 26, pages 177–187.
- ^ a b “Rays and Particles”. Galileo.phys.virginia.edu. 2013年8月27日閲覧。
- ^ 日本海側の冬の雷雲が40秒間放射した10 MeVガンマ線を初観測 -冬の雷雲が天然の粒子加速器である証拠をつかむ- 独立行政法人 理化学研究所
- ^ “Photonuclear reactions triggered by lightning discharge” (英語). nature. 2021年2月23日閲覧。
- ^ David J. Brenner et al. (2003). “Cancer risks attributable to low doses of ionizing radiation: Assessing what we really know”. PNAS 100 (24): 13761–13766. doi:10.1073/pnas.2235592100 . "This work was supported in part by the U.S. Department of Energy Low-Dose Radiation Research Program."
- ^ 翻訳:調麻佐志, 【翻訳論文】「低線量被ばくによるがんリスク:私たちが確かにわかっていることは何かを評価する」PNAS (2003), “海外癌医療情報リファレンス”, 一般社団法人 サイエンス・メディア・センター 2011年8月26日閲覧。
関連項目
「Gamma ray」の例文・使い方・用例・文例
- Gamma rayのページへのリンク