SNAP-25のパルミトイル化を介した調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/18 17:06 UTC 版)
「SNAREタンパク質」の記事における「SNAP-25のパルミトイル化を介した調節」の解説
Q-SNAREタンパク質であるSNAP-25(synaptosomal-associated protein 25)は、ランダムコイルのリンカーで連結された2つのαヘリカルドメインから構成される。ランダムコイルリンカー領域は、4つのシステイン残基を持つことが知られている。αヘリカルドメインはシンタキシンやシナプトブレビン(vesicle associated membrane protein、VAMPとしても知られる)とともに、4本のαヘリックスによるコイルドコイルからなるSNARE複合体を形成する。 シンタキシンとシナプトブレビンがそれぞれ標的部位と小胞の膜への結合を可能にする膜貫通ドメインを持っているのに対し、SNAP-25の標的膜への結合はランダムコイル領域のシステイン残基のパルミトイル化に依存している。いくつかの研究では、SNAREを介したシンタキシンとの結合によってこのような膜結合機構の必要がなくなることが示唆されている。しかし、シンタキシンをノックダウンしても膜に結合したSNAP-25の減少は見られず、代わりとなる結合機構が存在していると考えられる。脂肪鎖はSNAP-25の1つまたはそれ以上のシステイン残基とチオエステル結合を介して共有結合しており、この段階で膜への結合や最終的にはSNAREを介したエキソサイトーシスが調節されている。この過程はDHHCパルミトイルトランスフェラーゼ(DHHC palmitoyl transferase)と呼ばれる特別な酵素によって媒介されている。また、このSNAP-25のシステインに富むドメインは細胞膜へ弱く結合することが示されており、後のパルミトイル化のために酵素の近くへ局在する可能性がある。この過程の逆の過程はパルミトイルタンパク質チオエステラーゼ(英語版)と呼ばれる別の酵素によって行われる(図を参照)。 SNAP-25のSNARE複合体への取り込みは、標的膜の脂質マイクロドメインへのSNAP-25の局在によって空間的に調節されている可能性がある。パルミトイル化されたシステイン残基は、結合した脂肪酸に相補的で好ましい脂質環境(おそらくコレステロールに富んだ環境)をもつ標的膜上の特定の領域へと局在する可能性がある。
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