labyrinth
「labyrinth」とは・「labyrinth」の意味
「labyrinth」は、日本語で「迷宮」または「迷路」と訳される英単語である。古代ギリシャの神話に登場する、ミノタウロスが閉じ込められた複雑な迷宮を指す言葉としても知られている。また、比喩的には、解決が困難な問題や混乱した状況を指すこともある。「labyrinth」の発音・読み方
「labyrinth」の発音は、IPA表記では /ˈlæbərɪnθ/ となる。IPAのカタカナ読みでは「ラビリンス」となり、日本人が発音するカタカナ英語では「ラビリンス」と読む。この単語は発音によって意味や品詞が変わるものではない。「labyrinth」の定義を英語で解説
英語の辞書によると、「labyrinth」は"a complicated irregular network of passages or paths in which it is difficult to find one's way; a maze."と定義されている。つまり、「道筋が見つけにくい、複雑で規則性のない通路や道の網」を指す。「labyrinth」の類語
「labyrinth」の類語としては、「maze」、「warren」、「network」、「complex」などがある。これらの単語も同様に、物理的な迷路や複雑な状況を指す言葉として使われる。「labyrinth」に関連する用語・表現
「labyrinth」に関連する表現としては、「labyrinthine」がある。これは形容詞形で、「迷宮のような」や「複雑な」を意味する。また、「labyrinthitis」は内耳の炎症を指す医学用語である。「labyrinth」の例文
1. The city was a labyrinth of streets and alleys.(その都市は通りや路地の迷宮であった。)2. The plot of the novel was a labyrinth of intrigue.(その小説の筋書きは陰謀の迷宮であった。)
3. The bureaucracy of the government is a labyrinth.(政府の官僚制度は迷宮である。)
4. The cave system was a labyrinth of tunnels.(その洞窟システムはトンネルの迷宮であった。)
5. The shopping mall was a labyrinth of shops.(そのショッピングモールは店舗の迷宮であった。)
6. The legal system can seem like a labyrinth to the uninitiated.(法律制度は初めて接する人にとって迷宮のように思える。)
7. The old building was a labyrinth of corridors.(その古い建物は廊下の迷宮であった。)
8. The tax code is a labyrinth of rules and regulations.(税法は規則と規制の迷宮である。)
9. The company's organizational structure was a labyrinth.(その会社の組織構造は迷宮であった。)
10. The ancient city was a labyrinth of narrow streets.(その古代都市は狭い通りの迷宮であった。)
ラビリンス【Labyrinth】
迷宮
迷宮(めいきゅう、英: Labyrinth, 希: Λαβύρινθος)とは、一般的には部屋や通路が入り組んだ迷路のような建築物や構造物のことを指すが、厳密にはクレタ型迷宮に代表されるような、分岐のない秩序だった一本道であり、迷路とは対照的な特徴を持った図形を指す。
この記事ではLabyrinthの和訳としての迷宮について解説する。
神話・伝説と迷宮
ギリシア神話ではミーノータウロスが閉じこめられた場所とされている。クレタ島のクノッソスの迷宮が世界最古のものと思われる。この迷宮の紋章である、両刃の斧(labrys)が、ラビリンス(Labyrinth)の語源となったとする説がある。迷宮の設計図はクノッソスの貨幣の意匠にもなったが、実は分岐のない極く単純な迷路であった。
古代エジプトには紀元前2000年頃に作られた「エジプトのラビリンス」と呼ばれる迷宮の伝説がある[1]。大プリニウスはエジプトのラビリンスを手本にしてクノッソスの迷宮は作られたと推測し、ヘロドトスは実際にエジプトのラビリンスに赴いた時に見た内部の状況を記録している。エジプトのラビリンスはローマ軍によって破壊され、遺跡の上に街が作られたとされているが、正確な場所は不明である。ファイユームにあるアメンエムハト3世のピラミッドに隣接する神殿を、エジプトのラビリンスの一部と考える学者も多い。
迷宮図形
外部への開口部からゴールへと至る小路によって形成される円形もしくは矩形の幾何学図形群が迷宮(Labyrinth)と呼ばれている。対して、迷路(maze)は途中に現れる分岐や袋小路を克服してゴールに至る遊戯性の強い構造を持つ図形となっており、迷路と迷宮は曖昧に区別されて使われているが本質的に別物である[2]。
Hermann Kernは、古典的な迷宮の特徴を以下のように列挙している[2]。
- 通路は交差しない。
- 一本道であり、道の選択肢はない。
- 通路は振り子状に方向転換をする。
- 迷宮内には余さず通路が通され、迷宮を抜けようとすればその内部空間をすべて通ることになる。
- 中心のそばを繰り返し通る。
- 必然的に中心に至る。
- 中心から脱出する際、行きと同じ道を再び通らなければならない[3]。
このように本来の迷宮の構造は秩序だったものであり、古典的な迷宮図像には迷う要素は無い[2]。 ローマ帝国時代から迷宮と迷路を混同するような文献が数多く見られ、紀元前1世紀から1世紀ごろに迷宮が迷路的なイメージとして定着されたと考えられている[4][要ページ番号]。
歴史と考察
新石器時代から世界の各地で迷宮図形は描かれており、クレタ型迷宮は古典的迷宮の特徴を兼ね揃えた代表的なものである。 『迷路研究』を著したカール・ケレイニーによれば、迷宮図形は螺旋模様が発展したものであり、螺旋や迷宮図形は地下世界の地図であり、死の象徴であるといい、古代人にとって、迷宮に入ることは死を意味し、迷宮から出ることは転生を意味するという[5]。
古代から現代に至るまで、迷宮は様々な場面で実用的に用いられた。古代エジプトなどの防御施設では、中央部に接近するためには一本道の小路を折り返して辿らなければならない構造が施されているものがあり、防衛用途としての迷宮構造と考えられている[5]。また、イギリスでは墓所やグラストンベリー・トーのような巡礼地の入口の前に迷宮を設け、入場希望者に小路を辿らせることで入場者数を制限していた。迷宮は魔除けにも利用されていた。古代の中国では悪魔は直線にしか飛べないと考えられており、外から入る悪魔を妨害するために住居や都市の構造に迷宮が用いられた。ヨーロッパでは牛舎の入り口や指輪、紋章などに迷宮図形そのものを魔除けとして施していた。
語源
ラビリンスはクレタ島のクノッソス宮殿に関連する前ギリシャ文明(ミノア文明)起源の言葉である。この語はリュディア語のlabrys(ラブリュス)と深く関連しており[6][7]、クノッソス遺跡では両刃斧のモチーフが見られる事から、元のラビリンスはクレタ島のロイヤルミノア宮殿であると指摘されている。しかし、クレタ島の他の宮殿でも同じシンボルが発見されたため、この指摘はクノッソス遺跡だけに留まらない可能性がある[8]。
ラブリュスはおそらくアナトリア半島から来た宗教用語で、両刃斧のシンボルは新石器時代のチャタル・ヒュユク遺跡で発見されている[9]。トルコのカリアにあるラブラウンダ聖域では、両刃斧は嵐神Zeus Labraundos(Ζεὺς Λαβρανδεύς)に関連付けされている[10]。
しかし、ラブリュスはミノア語ではなくリュディア語から来ており、ラビリンスとラブリュスとの関連は推測のままである[11]。 また、クレタ以外の場所で迷宮ではない石造建築をLabyrinthosと称した用例が見つかっており、ラビリンスの語源をラブリュスに求める説は学術的には疑問視されている[2]。
紀元前5世紀から3世紀にかけてクノッソスの貨幣にラビリンスのシンボルが刻まれた。この期間の主なラビリンスの形式は、「7つの同心円(seven-circuit)」と呼ばれる単純な形式であり、時間の経過とともに円形か四角形かにかかわらず、独特な迷路にラビリンスという語が使われるようになった。
キリスト教
迷宮がキリスト教に受容された最古の例として、アルジェリアのエル・アスナムにある4世紀に作られたレパラトゥス教会のバシリカの床に描かれたクレタ型迷宮が挙げられる[2][12]。キリスト教教会の迷宮は時代を下るにつれてクレタ型が廃れ、よりキリスト教的シンボリズムや宇宙観に調和した迷宮が現れるようになる。 12世紀から14世紀にかけて、フランス北部のシャルトル大聖堂、ノートルダム大聖堂 (ランス)、ノートルダム大聖堂 (アミアン)などのゴシック建築式の教会の床に、大型の迷宮が描かれるようになった。ゴシック期には迷宮の持つ聖性は失われ始め、分岐や袋小路といった迷路の性格を持った迷宮も現れるようになった[2]。
18世紀後期以降の書物ではエルサレムへの道(chemin de Jerusalem)を示すなどと紹介されているが、現在に至っては、初期のキリスト教徒が何の目的で床に迷宮を描いたのかは不明である[13][14]。
北欧・イギリスの迷宮
イギリスにおいては、大聖堂には芝生迷路が作られ、アルクバラやサフラン・ウェルデンなどに見られる。これらは啓示を受けるためであると考えられている。
ウェールズやスカンジナビアの沿岸部では500を超える教会とは関係ない迷宮が作成された。これらの資材は芝生や海岸の岩で作られており、シンプルな構造で作られている。英語では、これらの迷宮をトロイタウンと呼ぶ[15]。漁業関係者が作ったものと考えられるが、作成理由が分からないものも多い。
脚注
- ^ "エジプト政府がひた隠す、地下迷宮の謎…スフィンクスの地下にも秘密都市が存在?" - Business Journal 2018.04.29 2021年7月6日閲覧。
- ^ a b c d e f 中島和歌子「「迷宮(Labyrinth)」図像群に関する一考察 : 迷宮史概略,および現代アメリカにおける迷宮図像活用について」『東京大学宗教学年報 』(29) 東京大学文学部宗教学研究室 doi:10.15083/00030437 2011 pp.105-126.
- ^ 和泉 2000, pp. 45–46.
- ^ 和泉 2000.
- ^ a b ボード 1977, pp. 5–10.
- ^ (Λυδοὶ γάρ ‘λάβρυν’ τὸν πέλεκυν ὀνομάζουσι). Plutarch, Greek Questions, 45 2.302a.
- ^ F. Schachermeyer (1990), Die Minoische Kultur des alten Kreta, pp. 161, 237, 238
- ^ Rouse, W. H. D. (1901). "The Double Axe and the Labyrinth". Journal of Hellenic Studies. 21: 268–274. Rouse criticised the association, noting the reappearance of the same inscribed symbols at the newly discovered palace at Phaistos (p. 273).
- ^ F.Schachermeyer (1964) Die Minoische Kultur des alten Kreta. W.Kohlhammer Stuttgart p. 161, Abb.85
- ^ 「ラブランダのようなカリア人の聖域の名前を、聖なるlabrysの場所として文字通りの意味で解釈するのは極当然のようである。」p.109「カリア人のコインには、宗教的な両刃斧の意匠がみられる」アーサー・エヴァンズ, "Mycenaean tree and pillar cult and its Mediterranean relations," Journal of Hellenic Studies XXI, pp 108, 109.
- ^ Beekes, Robert S. P. (2010). Etymological Dictionary of Greek. Leiden, Boston: Brill Academic Publishers.
- ^ ボード 1977, p. 84.
- ^ Wright, Craig M. (2001). The maze and the warrior: symbols in architecture, theology, and music. Harvard University Press. p. 210. ISBN 978-0-674-00503-7.
- ^ Russell, W. M. S.; Claire Russell (1991). “English Turf Mazes, Troy, and the Labyrinth”. Folklore (Taylor and Francis) 102 (1): 77–88. doi:10.1080/0015587x.1991.9715807. JSTOR 1260358.
- ^ ボード 1977, pp. 42–45.
参考文献
- 和泉雅人『迷宮学入門』講談社現代新書、2000年。ISBN 978-4061495326。
- ヤン・ピーパー『迷宮―都市・巡礼・祝祭・洞窟…迷宮的なるものの解読』工作舎、1996年。ISBN 978-4875022671。
- ジャネット・ボード 著、武井曜子 訳『世界の迷路と迷宮』(第1刷)佑学社、1977年。
関連項目
- ダンジョン
- ギリシア雷文 - 紀元前4世紀以前のギリシャに見られる文様
- 渦巻き型三脚巴 - 新石器時代のケルトのシンボル
- ケルト迷路
- en:Stone labyrinths of Bolshoi Zayatsky Island
- 迷宮入り
LABYRINTH
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 03:20 UTC 版)
「Secret (浜崎あゆみのアルバム)」の記事における「LABYRINTH」の解説
インスト曲であり、浜崎はこの曲に関して「メロディーラインがスゴく綺麗で印象的な曲だね。私はこの「LABYRINTH」がどうして「It was」と「JEWEL」の間に位置してあるのか、考えてもらいたいし、その意味合いが分かって貰えると嬉しいかな。ボーカルが入っていなくても、言葉が入っていなくても、インストにはちゃんとした意味を込めてあるから。」と語っている。
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