
【テント泊に必須!】寝袋の下に敷くマット、違いが知りたい!石井スポーツの人に聞いてきた
テント泊デビューの準備をする時に、寝袋とセットで用意すべきマット。寝袋もそうですが、マットも何やら色々種類があるようです。それぞれのマットにはいったいどのような違いがあり、どんなメリットがあるのでしょうか? また、これからテント泊を始める人におすすめのマットはどのタイプ? 初めて買う時のガイドを知るため、登山道具スペシャリストに、詳しく伺ってきました!
2023/06/07 更新
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マットって、結局どれを選べばいいの?
テント泊における寝袋が『掛布団』だとしたら、寝心地を左右する重要な『ベッド』はズバリ、マット。山のテント場はオートキャンプ場に比べて整地が行き届いていない場所もあります。しかしぐっすり眠れるかどうかは翌日の登山に影響しますから、このマットも慎重に選びたい山道具の1つですよね。
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では、この登山用マットにはいったいどのようなアイテムがあるのでしょうか? そして、これからテント泊を始める人におすすめのマットとは? 今回は登山道具のスペシャリスト、石井山専 新宿東口ビックロ店主任・増田さんに、この夏テント泊デビューをする際のマットの選び方についてお話を伺ってきました。
マットは大きく分けて3種類! おすすめは“自動膨張式”
編集部(以下:編):今日はよろしくお願いします! あの~、寝袋と聞けば「寒い時期用のものは分厚くて、ダウンがたくさん入ってるんだろうなぁ」とか何となく想像できるんですけど…このマットについては、実は違いや種類がイマイチわかってないんですよね…。
増田さん:登山用のマットは、大きく分けると①広げるだけでOKのマット、②中にフォームが入っていて、厚み分は勝手に膨らんでくれる自動膨張のマット、③完全に空気を入れて膨らませるエアータイプ。この3種類に分かれます。この中で、「これからテント泊を始めます!」という方におすすめなのは自動膨張タイプです。
マットって、銀色のアレじゃないの?
編:ほう…なぜ自動膨張式がおすすめなんでしょう?
増田さん:みなさん登山用のマットって、銀色のコレのイメージじゃないですか?
編:はい! まさしくコレのイメージです。これをみなさん、ザックの下とか横とか、雨蓋のところによく括り付けてますよね。
増田さん:そう。でも、テント泊のザックは日帰りの1.5倍とか2倍の大きさになるので、さらにそこに外付けすると木や岩に引っかかったり、または引っかけられたりするリスクがあるんです。自動膨張タイプは手間もかからずある程度コンパクトになるので、中にしまっちゃえます。その方が、パッキングのバランスも崩れにくいのでおすすめなんです。
編:はぁ~…マットも中にしまっちゃうほうが良いんですね。でも、そしたらこの銀マットはいったい…?
増田さん:そうですよね。じゃあ何で銀マットが置いてあるのかというと、丈夫なんです。破けちゃった、穴が開いちゃった…となっても広げれば同じ寝心地なので、寿命が長い。他の2つはパンクのリスクがあるけどこのタイプはその心配がないので、積極的に長期で山に入る際なんかは選ぶといいと思います。
でも「初めてテント泊に挑戦します、5泊6日で行きます!」って人はなかなかいないと思うので(笑)1泊2日、標高低いところからスタート!という場合は、できるだけ中にしまっちゃいましょう。
エアマットはどういう位置づけのもの?
編:エアマットよりも自動膨張タイプがおすすめなのは、楽ちんだから?
増田さん:はい。エアマットは全部膨らまさなければいけないので、慣れないテントを立てて、さらにマットも膨らませて…となるとちょっと大変。だから初めての方は自動的に膨らんでくれるタイプの方が、手間がかからなくて良いですよ。
編:なるほどな~。ちなみにですけど、じゃあエアマットはどういうシーンに向いてるものなんでしょうか?
増田さん:エアマットは収納サイズが圧倒的に小さい所が特徴ですね。それこそ荷物を軽量化したい、ザックを小さくしたい方におすすめです。
増田さん:あと寝心地も大きく異なります。「岩のゴツゴツした感じが嫌だな…」という寝心地重視の方はエアマットがいいです。エアマットが一番厚みが出るんですよ。
編:へぇ! そうなんですね!
増田さん:だいたい登山に向いている自動膨張式のタイプで4cm超えるものって少なくて、サーマレストのプロライトプラスという厚いモデルでも3.8cmなんですけど、エアマットだと6.3cmとか。ニーモだと8cmくらいのものがあります。山でも睡眠の質にこだわりたい!という方はエアマットがおすすめです。
編:山にゴロゴロしに行くんです!っていう方によさそうですね。(笑)でも高地だと、これに一生懸命空気を入れるの大変そう…。
増田さん:スタッフバッグがポンプ代わりになるものもあるので、それを利用すると荷物も入るし便利です。これだけ小さいので、ダウンが入ってるマットとか表面に化繊素材のプリマロフトが入ってるものがあったり、断熱性があるモデルが結構あるんですよ。「あったかいマットがいいなー」という方にもおすすめですね。
増田さん:ただし厚みがあるが故に、特有のぐらつき、跳ねる感じが好きじゃないという方もいます。選ぶ際は寝っ転がって試してみるのが一番ですね。
穴が開くのが怖い…パンクの心配は大丈夫?
編:自動膨張式もしくはエアマットを使う際、穴が開いちゃわないか心配なんですけど…
増田さん:実際、パンクの修理はあんまり来ないですね。普通に使ってたらほとんどないです。考えられるケースとしては、テント内で使い終わったばかりのバーナーを倒して穴あいちゃったとか。テントの中で使うものなので、通常の使いかたをしていれば心配しなくても大丈夫ですよ。
ただし寿命はあって、3~5年使ってると接着がなくなってきます。空気のバルブをくっつけている所が剥離して空気が抜けちゃって、朝起きたらぺちゃんこになってた…なんていうケースですね。どうしても道具の寿命は避けて通れないので、それくらいの期間使用して「あれ?」と思ったら相談に来てもらえればと思います。
注意!自動膨張タイプを使う前に
増田さん:自動膨張タイプのマットなんですが、買ってそのまま山に持っていっても膨らみません!
編:え!? なんで?
増田さん:圧縮されて、つぶされた状態で出荷されてくるので、これ買って「バルブ開ければ膨らむでしょ!」と山に行っても膨らまないんです。使う前に1度家で膨らませて、一晩置いておいてください。そうすると次回からは自動で膨らんでくれますよ。
寝心地が明日の登山を左右する!
これからテント泊を始める時におすすめのマットの種類、特徴についてお伺いしてきました。要点をまとめると、
・最初に買うのにおすすめなのは、自動膨張タイプが楽ちんでおすすめ
・テント泊は大きいザックであること、外付けは引っかける事などを考慮してできればマットもザックの中にしまう
・軽量化と寝心地重視ならエアマット
・銀マットは丈夫で寿命が長い
・まずは寝っ転がってみて、寝心地を確かめるのが1番!
以上がポイント。また、マットには身長によってショートやロングなど、様々なラインナップがあります。各メーカーによっても展開は異なるので、寝心地も含めて実際にとことんお店で試してみましょう! 長い時間を山で過ごすテント泊にとって、妥協できない『ベッド』選び。自分にぴったりの1枚を見つける参考にしてみてくださいね。
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