4つの「登山用 GPS地図アプリ」を徹底比較!気になるQ&Aも
登山用のGPSといえば一昔前はハンディタイプが主流でしたが、なかなか手が出しにくく、所持している人は稀でした。しかし、スマホの普及で登山用のGPSアプリを使う人が急増。今回は特に人気の地図アプリ4つを実際に山で使ってとことん検証。そもそも圏外で使えるのか?アプリだけで十分なのか?GPSは正確なのか?バッテリーは持つのか?オススメはどれ?など、気になる質問に答えつつ、あなたにピッタリなアプリをご紹介します。
2024/03/19 更新
編集者
YAMA HACK編集部
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制作者
青柳 喬
2020年1月までYAMA HACKの2代目編集長。福岡県育ちで九州の山から日本アルプスの縦走、雪山登山まで様々な山を登ってきました。特にアルプスの長期縦走が大好きです。読者目線で分かりやすい、ためになる記事制作を心がけています。
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アイキャッチ画像作成:YAMA HACK編集部
あまりにも便利すぎる登山用GPS地図アプリ
撮影:YAMA HACK編集部登山をするとき、最低限の遭難対策として「地図とコンパス」の必要性は何十年も前から声高に叫ばれてきました。しかし、それだけでいいのでしょうか?今やほとんどの人がスマホを持ち、アプリで1,2タップすればGPSで現在地がわかる時代。
YAMA HACKでは、登山をするときに従来の地図とコンパスに加え、登山用のGPS地図アプリも準備していくことを強く推奨しています。
なぜかというと、とにかくものすごく便利だから。
スマホのGPSアプリは登山で使えるのか?
撮影:YAMA HACK編集部では、登山用GPS地図アプリは果たして”使える”のでしょうか?「アプリを使わない」選択をしている多くの人が次のような勘違いをしています。
NO。数年前と比べて現在のGPS精度は非常に高精度になっており、ほとんど誤差なく正確に探知することができます。
NO。圏外でも使用することができます!GPS地図アプリは事前に地図のデータをダウンロードするため、圏外でも地図上に現在地を表示させることができるのです。
NO。山中で電池消耗が激しいのは圏外エリアで電波を探しているから。「機内モード」に設定すればGPS以外の通信を遮断するため、電池の消耗は大幅に削減することができます(機種・使用年数にもよりますが1時間使っても3〜7%程度)。ただし、スマートフォンの圏外や機内モードにしている間に取得した位置情報は、スマートフォン圏内に入って機内モードを解除して初めて、その間の位置情報を家族や友人に共有することができるアプリがほとんどです。その点も踏まえて、機内モードにするかしないかの判断をする必要があります。
ほぼNO。ほとんどのアプリが無料、またはワンコイン以下で提供されています。
GPSアプリに頼りすぎて地図が読めなくなるのでは?
NO。紙地図とコンパスだけで読図をするのは訓練がいりますが、地図アプリは紙地図とコンパスで現在地を把握する手間を省き、GPSで現在地を正確に測位しているからこそ、周りの地形と地図を見比べて地図読みの練習になります。
NO。ほとんどのアプリでわかりやすい説明書が用意されています。少なくとも現在地の把握はどのアプリでも非常に簡単です。
GoogleマップやiPhoneのマップではだめなのか?
出典:PIXTAGoogleマップなどの地図アプリは非常に便利ですが、通常使用の場合はインターネットに接続していないと地図が見れないため、圏外の多い山の中での使用は不向きといえます。
地図を保存してオフラインで使用する方法もありますが、ルート表示もなく等高線がおおざっぱなのでそもそも登山での使用には向いていません。
一方、登山用の地図アプリは事前に詳細な登山地図データをダウンロードすることができ、圏外環境でもGPSによって現在地を正確に把握することができます。
人気4アプリを徹底比較!
では、どのGPSが”使える!”のでしょうか?今回比較するのは特にダウンロード数が多いこちらの4アプリ。
作成:YAMA HACK編集部(左からYAMAP、山と高原地図ホーダイ、ジオグラフィカ、ヤマレコ)●YAMAP<公式サイト>
会員数No.1のGPS登山地図アプリ。国土地理院の地形図とユーザーの軌跡データをもとにした独自の詳細地図により、登山道に現在地、コースタイム、水場等の情報を直感的に把握できる。地図は1月2枚まで無料でダウンロードでき、山行の記録を他のユーザーとシェアするSNS的な機能も充実。
PCを使えば地図の無料印刷も可能。YAMAPプレミアム(5,700円〜/年)に加入すると、地図のダウンロードが何枚でも可能になり、ルート外れ警告機能や歩行ペース表示機能、到着時刻予測機能などが使用可能になる。
●山と高原地図(通常版)/山と高原地図ホーダイ<公式サイト>
圧倒的な支持を誇る紙の登山地図「山と高原地図」のアプリ版。見やすい配色とコースタイム、ルート上の情報を細かく網羅し、しかも最新版の紙地図と同じ調査成果を閲覧することができるのが特徴。アプリは「山と高原地図(通常版)」と「山と高原地図ホーダイ」の2種類あり、「山と高原地図(通常版)」は1エリア650円(紙地図の約半額)、「山と高原地図ホーダイ」は500円/月で全61エリア使い放題。
※エリアごとに購入する「山と高原地図(通常版)」アプリには登山計画機能はありません。
●ジオグラフィカ<公式サイト>
地形図をベースにしたGPS地図アプリ。オンライン時に地図を表示させるだけで地図データが自動保存されるため、ダウンロードにかかる時間はほとんどなし!また、特徴的なのは音声によるガイド機能がついているところ。定期的に現在地や標高を音声で読み上げるため、いちいちスマホを見なくても現在地を把握することが可能。ヘビーユーザーには保存できる地図のキャッシュを大幅に増やせる機能制限解除(1,900円)がおすすめ。
●ヤマレコ<公式サイト>
登山SNS最大級の「ヤマレコ」謹製アプリ(以前は「ヤマレコMAP」という名称)。ほかのユーザーが歩いたGPSのログ「みんなの足跡」が地図上に表示されており、自分のGPSログもそのままヤマレコにアップすることができる。ネットがつながるエリアでは自動で現在地を共有することができる「いまココ」機能や、コースタイムの表示など、非常に付加価値が高い。プレミアムプラン(3400円/年)に加入するとコンパス(Web登山届け)の提出や地図のダウンロード数が無制限になるなど様々な制限がなくなります。
機能別の比較
それぞれのアプリの基本機能はおおむね下表のとおり。

※2022年12月現在、以下の料金に改定されています。
・YAMAPの有料版(YAMAP プレミアム):780円/月、5,700円/年
・山と高原地図ホーダイ:500円/月
・ジオグラフィカの有料版(機能制限解除):1,900円(買い切り)
登山用GPS地図アプリは基本的にネット環境で事前に地図をダウンロードし、山の中ではオフライン(機内モード)にしてGPSで現在地を把握します。
結論からいうと、すべてのアプリで現在地を正確に把握することができます。
そのうえで、
など、気になる点をそれぞれのアプリの特徴にあわせてご紹介します。
①情報量が多く、見やすい地図は「山と高原地図」アプリ
作成:YAMA HACK編集部(Android版の表示)4つのアプリで高尾山付近の地図を表示させてみました。
見やすさという点では個人によって評価が分かれるところですが、編集部で多数決をとったところ、標高ごとのグラデーションやテキスト情報など、「山と高原地図(ホーダイ)」が最も見やすいという結果になりました。
次いで地図上に明確にルートやコースタイムが記載されているYAMAP。ポイントは地図の情報量でした。
情報量なら圧倒的に「山と高原地図」――とはいえ注意点も
提供:昭文社