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脱水症状

登山は脱水症状になりやすい!?水分補給以外にもある重要な対策方法

長い登りのあとに、乾いた喉を潤すために飲む水はとてもおいしく感じますよね。でも実は、「喉が乾いている」時には脱水症状に片足を入れているような状態なんです。今回は登山と切り離せない脱水症状に関して、原因や症状、そして登山を楽しむための対策方法を解説していきます。しっかりと脱水症状の事前対策をして、安全登山を楽しみましょう。

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目次

アイキャッチ出典:PIXTA

登山中は”脱水症状態”になりやすかった

体調の変化
出典:PIXTA

登山は激しいスポーツなので、脱水状態になることは珍しくありません。とくに、日差しが強く気温が高い夏山では、脱水状態になるリスクが高まるので、しっかりと対策をとりたいものです。

まずは、登山中に脱水症状になりやすい理由を解説していきます。

【1】登山中は水分を失いやすい

脱水症状

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長時間動き続ける登山では、予想以上に身体から水分が失われています。汗をかくことはもちろん、呼吸が荒くなることで、息からの水分排出量も増加するためです。

【2】水分の補給が難しい

脱水症状
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荷物を軽くするために水の量を減らしたり、トイレを心配して水分摂取を控えた結果、水分不足につながることもあります。また、初心者などは喉が渇いていても言い出せず、脱水状態に陥っている場合もあるようです。

【3】体調の変化に気づきにくい

登山中の脱水症状態

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喉の乾きを感じないからといって、小まめな水分補給を怠ることも脱水症状の一因です。また、登山での疲れと勘違いし、体調の変化を見過ごしやすいということも原因の一つに挙げられます。

知らないと怖い”脱水症状”

脱水症状で体調不良の登山者

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脱水症状はスポーツなどによる発汗だけではなく、気温や乾燥など様々な要因によって起こるといわれています。自覚症状がなく、知らない間に脱水状態になっていることも少なくありません。そんな怖い脱水症状について解説していきます。

脱水症状とは、体の体液が不足している状態

脱水症状

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脱水症状とは、水分、ミネラル(電解質)、タンパク質などで構成されている体液が不足した状態のこと。体液は「酸素と栄養素を体内に運搬する」「尿や汗として老廃物を体外に排出する」「発汗により体温を調節する」という生命維持に欠かせない働きを担っています。生命維持に必要な体液が不足しているという状態は、とても危険です。

水分損失率による症状

脱水症状

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人間は、体内の水分の10%以上を失うと生きていくことが出来ません。脱水症状になると喉の乾き、めまい、吐き気、手足の震え、頭痛、筋痙攣、意識混濁など命の危険につながる症状が現れます。人間にとって水分を摂ることは、生きていく上で必要不可欠なことなのです。

■水分損失率(対水分)と現れる脱水諸症状の関係

水分損失率(対水分)症状例
1%大量の汗、喉の渇き
2%強い乾き、めまい、吐き気、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退、血液濃縮、尿量減少、血液濃度上昇
3%汗が出なくなる
4%全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、いらいらする、疲労および嗜眠、感情鈍麻、吐き気、感情の不安定(精神不安定)、無関心
6%手足のふるえ、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、熱性こんぱい、体温上昇、脈拍・呼吸の上昇
8%幻覚・呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、疲労困憊、精神錯乱
10~12%筋痙攣、ロンベルグ徴候(閉眼で平衡失調)、失神、舌の膨張、譫妄および興奮状態、不眠、循環不全、血液および血液減少、腎機能不全
15~17%皮膚がしなびてくる、飲み込み困難(嚥下不能)、目の前が暗くなる、目がくぼむ、排尿痛、聴力損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる、眼瞼硬直
18%皮膚のひび割れ、尿生成の停止
20%生命の危機、死亡

登山日にできる、3つの脱水症状対策

脱水症状

脱水状態にならないためには、体調を整え、十分に水分を摂っておくことが重要です。ここでは、登山中やその前後にできる脱水症状の対策を紹介します。

【1】水分補給がとにかく大切

登山中の水分補給

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①起きてから、登山前までに500mlくらいの水分を摂る

山行で必要な全ての水を持っていく事は困難です。そのため、登山前までに300~500mlくらいの水分を摂っておく必要があります。山によっては十分に水を確保できない可能性もあるので、入山前に水分補給はしっかりとしましょう。

▼水分補給のコツはこちらをチェック

②最低2リットル以上の水分を持っていく

登山にどのくらいの水分を持って行こうか悩んだら、最低2リットルは持って行きましょう。あくまでも目安なので、行動時間や水場の有無などによって必要量は変わります。

▼山で必要な水分量はこちらをチェック

ナルゲン 広口ボトル 500ml

プラスチック製で、丈夫かつ軽量なナルゲンボトル。広口なので水場で給水しやすく、ドリンク以外にもナッツなどを入れて、行動食用のケースとして持ち歩くことも可能です。目盛りが付いているので計量もできて便利!


プラティパス プラティ2L

プラティパスのなかでベストセラーのボトル。プラスチック製のボトルよりも軽量で、何より使い終わったら小さく丸めてコンパクトにできるところが魅力的。見た目以上に強度もあり、予備としてザックに忍ばせておくのもおすすめです。

③喉が乾く前に、小まめに水分補給を

脱水症予防の基本は、小まめで早めの水分補給です。喉が乾く前に、時間を決めて定期的に飲む事が大切です。

▼ハイドレーションシステムなら水分補給が簡単

④水分補給ができる水場を確認しておこう

山行が長時間に及ぶ場合、必要な水分の全量を持っていくことは困難です。自動販売機や山小屋など水分を調達できる場所を事前に確認し、必要に応じて補給しましょう。

【2】ミネラルなどの栄養補給も忘れずに

経口補水液

撮影:YAMA HACK編集部

①水分補給は経口補水液やスポーツドリンクで

脱水症状は、水分とともに電解質も失われることで現れます。そのため、水分だけでなくミネラル類も一緒に摂取することが重要です。発汗により失われた電解質を含む、経口補水液やスポーツドリンクを摂取し体液のイオンバランスを整えましょう。

吸収効率には濃度が重要ですので、パウダータイプを溶かす時は、必ずメーカー推奨の割合で溶かしてください。

大塚製薬 OS-1

電解質と糖質の配合バランスを考慮したオーエスワンは、医療現場でも利用されている経口補水液。電解質を補給・維持するのに適しているので、登山など過度の発汗による脱水初期症状等に効果的です。

成分: 糖類(ブドウ糖、果糖)、食塩 添加物 クエン酸(Na)、塩化K、リン酸Na、塩化Mg、甘味料(スクラロース)など


大塚製薬 ポカリスエットパウダー

パウダータイプなので、水さえあればどこでもポカリを作ることができる便利なアイテム。

【1袋あたりの栄養成分】エネルギー:288kcal/タンパク質・脂質:0g/炭水化物:72g/ナトリウム:520mg/カリウム:227mg/カルシウム:23mg/マグネシウム:6mg

②塩飴やタブレットもオススメ

ミネラルバランスを保つのに、塩飴やタブレットなどで塩分を補給するのもおすすめです。歩きながら食べられるので、気軽にミネラル補給をする事ができる優れもの。

森永 inタブレット 塩分プラス

【1粒当たりの栄養成分】エネルギー:9kcaL、脂質:2.1g、炭水化物:2.1g、食塩相当量:0.051g、カルシウム:2.9mg、ナイアシン:0.084mg、パントテン酸:0.030mg、ビタミンB2:0.25mg、ビタミンB1:20.011μg、ビタミンC:0.48g、葉酸:1.2μg、ブドウ糖:1.9g、クエン酸:25mgなど

汗で流れ出やすい塩分をはじめ、ビタミンCやクエン酸などを手軽に補給できるタブレット。爽やかなレモン味で疲れている時でも食べやすい。

③朝ごはんをしっかり食べておく

体力が落ちないよう、バランスのとれた食事からエネルギー源となる糖質をしっかりと摂りましょう。エネルギーが不足すると、体調不良となり脱水症を引き起こしやすくなります。

④行動中のエネルギー補給も忘れずに

行動のためのエネルギーがなくなると体内バランスが乱れます。その結果、集中力が低下したりバテの原因にもなるので、定期的に糖質などのエネルギー補給をすることもポイント。

【3】登山中の行動でもしっかり対策しよう

水分補給をする登山者

撮影:YAMA HACK編集部

①小まめな休憩をとろう

長時間歩いていると、呼吸が荒くなり呼気から失われる水分が増加。休憩を小まめにとることで、呼吸が乱れるのを抑え、息からの水分喪失を防ぐ事につながります。

②息を切らさないペースで歩こう

息がきれるほどのペースで歩き続ければやがてバテてしまいます。ゆっくり歩くことで無駄な体力消費を抑えましょう。ただし、スローペースにしすぎて計画から遅れないように注意が必要です。

③日が高くなる前に行動する

日が昇って気温が上る前に行動することも大切です。特に暑くなる、10〜14時の間は行動を控えたいもの。ただし、暗所での行動が不安な場合は明るくなってから登山を開始すればOK。

④小まめなレイヤリングで体温調整をしよう

余計な発汗を減らすことも脱水症予防につながります。めんどくさがらずに小まめに脱ぎ着をして、体温調整をしましょう。肌に直接触れるベースレイヤは、汗を効率的に蒸発させる吸湿速乾性に優れたものがおすすめ。

▼登山の基本|レイヤリングについてはこちら

⑤リーダーは特に他の人の様子を気にかけよう

脱水症は自覚症状が少ないので、グループ全体の様子を気にかけましょう。女性が多い場合はリーダーが小まめにトイレタイムを取るなどの気遣いが必要です。

脱水症状の危険のサイン
なんだか体がダルい
ペースが遅く、集団についてこれない
食欲がでない
尿の量が少ない
イライラして落ち着かない
足がつる

下山後も水分補給と栄養補給を忘れずに

脱水症状

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長時間の登山によって体内の水分やエネルギーは大量に失われ、疲労が蓄積しています。下山直後に、水分とともに糖質とタンパク質などの栄養を補給することが疲労を残さないポイントです。

万が一の対処方法

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自分自身では脱水症状はなかなか自覚できないため、いつの間にか症状が進んでしまっていることがあります。万が一、登山中に脱水症状が現れた場合は、速やかに落ち着いて対処しましょう。

日差しを避けられる場所に移動しよう

脱水症状

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直射日光をさけるために木陰など涼しい場所に移動し、身体を横にしてザックなどに足をのせ安静にします。首筋、脇の下、鼠けい部などを冷えたペットボトルで、冷やしてください。

水分、塩分、糖質が入った飲み物を飲もう

スポーツドリンク

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意識がしっかりしていて自分で水が飲める場合は、最低1リットルは水分を摂ります。ミネラルバランスを崩さないように、水分だけでなく塩分や糖質が入った経口補水液やスポーツ飲料水を飲みましょう。

症状が回復しない場合は無理せずに下山しよう

脱水症状

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30分以上休んでも症状が回復しない場合や不快感が続く時は、無理せず経過観察をしながら下山します。体調が悪いと下山のペースも上がらないので、早めの行動をとり最悪の事態を招かないようにしましょう。

意識が朦朧としていたり、危険な場合は迷わず救助要請を

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脱水症状は熱中症などの命の危険にもつながります。手足が動かない、意識がもうろうとするなど重症が疑われる場合は迷わず警察に救助を要請し、上記にあるような処置をしながら到着を待ちます。

なお、意識がはっきりしない場合は、むせたりすると大変危険なので、無理に水分を飲ませないようにしましょう。

事前準備が大切!登山前にできる予防法

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登山当日までに体調を万全にすることも脱水症状予防において大切です。食事と睡眠をしっかりと摂り、日々のトレーニングで基礎体力を高めておくと、より安心して登山を楽しむことができます。

トレーニングで体力をつけよう

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体力をつけておくことも体調を崩さないためのポイント。日常的にランニングなどで筋力をつけるとともに、長時間歩くことに体を慣らしておきましょう。

▼忙しくてもできる登山のトレーニング方法

しっかりと寝て体調を整える

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早寝早起きが登山の基本。早起きすれば、日が高くなる前に行動を開始することもできます。しっかりと良質な睡眠をとって体調を整えましょう。

▼快眠のススメはこちら

予防と対策で”脱水症状”知らずの登山をしよう!

登山を楽しむ人

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水分を上手に摂ることは、脱水症状の予防や疲労の軽減に効果的です。さらに、体内のミネラルバランスを保つことで、様々なリスクを減らすことができます。小まめな水分&ミネラル摂取を心がけ、暑い季節も無理せず山を楽しみましょう!

■記事監修/日本登山医学会認定 国際山岳医 稲田 千秋氏

稲田医師

提供:稲田氏