九九は掛け算の入門ではない 【西成先生】3を4回足すのは頭の中で計算できますね。でも、「9を8回足せ」とか、「2980を543回足せ」になると大変です。そこで昔の人がいいアイデアを思いついたんです。「毎回足すのは面倒くさい。だったら1から9までの数同士の組み合わせを丸暗記すればいい。81パターンならなんとかなるだろう」って。いわゆる九九のことです。 【郷さん】画期的な方法を思いついたとかではなく? 【西成先生】暗記という力業にすぎないんです(笑)。でも、こうやって81パターンの掛け算を暗記したり、あらかじめメモをしておく方法が広まったことで、そろばんや筆算を使ってどんなに大きな数でも掛け算ができるようになったんです。これは革命的な出来事です。 だから九九って「掛け算の入門」みたいな位置づけでは決してなくて、掛け算の本家本丸です。昔の人からすれば「え? なんでこの計算を暗算できるの? 超天才